FAIRY TAIL ある神使い達の伝説
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第十五話***川の畔、橋の下
X791 フィオーレ地方 クロッカス
川の畔、橋の下。
黒い長い髪に、黒いマントの少女は座り込んでうつむいていて。
影と紛れて、保護色していた。
「……あの、どうしました?」
スペルは恐る恐る声をかける。
頭の中では、この人が神使いだという声が聞こえた。
「……ぇ?」
小さく声をあげ、少女は顔をあげる。
顔立ちは中の上くらいの、大きな目が可愛らしい娘だった。
「……あ、そのペンダント……鍵石か……神、使い、ですか?」
胸元には黒いマント止めの鍵石が幽かに点滅していた。
「はい……えっと」
スペルが声をかける。
「神使いって、あまり居ないから……他の人達は知らないけど、オレは見付けたら声をかけるようにしてて……ほら、何かあった時に協力、とか」
とりあえず言葉を繋げる。
言葉の神の神使いで、自分自身も言葉の魔法を使うスペルは、無音の重い空気が苦手だった。
「あー、え、と……オレは、スペル・エルウィンです!言神スペルの神使いで、蛇姫の鱗の魔導士です」
とりあえず自己紹介する。
「……名前、教えてくれませんか。嫌じゃなければ、でいいけど。意味がなくても、同じ境遇の仲間とは、出来るだけ知り合いでいたいと思ってるんです。何かあったら、助け合えるし、もし新しい情報がわかれば、伝え合えるし」
少女はふわり、と微笑む。
「あー……そういえば、そうね。私、神使いの人と、こう、話した事なかったから……ていうか、この間初めて同じ人に会ったけど、逃げちゃってたよ」
立ち上がった。
「よろしくね、スペル君ーーーー私は、ルナ。ルナ・ハヤテ。ハヤテ、っていう神様の神使いです。何の神様かは聞かないでくれる?」
立ち上がると、結構近い場所にルナと名乗った少女の顔がきて、スペルはたじろぐ。
よく見ると、ルナの黒眼は左右で微妙に色が変わっていた。
「……敬語は無しでいいわよ。また会う事があれば、ゆっくり話してみましょ。それでは」
ルナは最後にまた微笑むと、歩き去った。
クロッカス 町中
そろそろ大魔闘演武会場ドモス・フラウに行こうかと、セブンは歩いていた。
ふと、あるものを見付け、足を止める。
「何これ……鞄?」
女物の鞄が落ちていて、落とし物かと拾い上げた。
「ん?」
白い物が近くの植え込みの側に落ちているのを目に止め、これもやはり落とし物かと近寄る。
「……え?」
植え込みの陰に、青髪の少女と白い猫が倒れていた。
「……え?っていうか」
少女の肩にある紋章に目を止める。
「妖精の尻尾の魔導士……確か、ウェンデイ・マーベルさん……じゃあ、この白猫はシャルル、だっけ」
とりあえずウェンデイを背中に乗せ、おぶさらせた。
シャルルを抱き上げる。
評議員見習いとして鍛えている体は、一応同じくらいの年の少女と白猫を抱き上げることができた。
「この時間は、もう、ギルドの人、ドモス・フラウに居るかな」
ドモス・フラウの方面を見据え、歩き出した。
後書き
次話から大魔闘演武が始まる予定です。
できるだけ早くお届けできるよう頑張ります。
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