八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二十二話 秋田小町その二
「漢民族が皆殺しになったとか」
「そんな筈ないじゃない、何千万も皆殺しにって相当よ」
「それじゃあその話は」
「戸籍が戦乱で滅茶苦茶になったのよ」
「人口を出す?」
「戦乱で失われたりしたのよ、それで人口が減った様に思われたのよ」
「そうだったんだ」
その男子生徒は岩田さんの話を聞いて納得して頷いた。
「別に殺されていないんだ」
「戦乱で人が死ぬよりも戸籍がなくなってね」
それでその戸籍上でというのだ。
「人口が減ってる様に思われたのよ」
「じゃあ五胡十六国時代も」
「確かに酷い戦乱の時代だったからかなり死んだと思うけれど」
それでも、というのだ。
「漢民族は皆殺しになってないから」
「異民族と混血したんだ」
「そう、それで隋や唐の皇室も元々あっちの流れだから」
「漢民族じゃなくて」
「鮮卑よ」
これも教科書に出て来る名前だった。
「あっちのね」
「血なんだ」
「そう、北の騎馬民族なのよ」
「それじゃああの頃の漢民族は」
「今度は騎馬民族の血が入ったのよ。とはいっても北がそうで南はそれ程でもなかったみたいだけれどね」
北と南でだ、同じ漢民族でも違うというのだ。
「それで宋から元になって」
「今度はモンゴルだね」
「ここでも混血してるし。明から清になって」
「満州民族だよね」
「そう、満州民族とも混血してるから」
その長い歴史の中でそうした様々な民族が混ざっているのだ。あの国にしても。
「東南アジアも色々な民族がいて」
「ベトナムとかタイも」
「インドネシアやフィリピンもね」
東南アジアにしてもだ、本当に色々な民族の人がいてその人達が混血している。ダオさんのお国のベトナムもラブポーンさんのタイもだ。勿論テレサさんの国もイタワットさんの国もだ。
「華僑の人もいるし」
「マレーシアだってそうで」
「もうね、何かとね」
「混血していない国の方が多いわよ」
「絶対にそうだよね」
「そうだよね、うちにしても」
僕も八条荘の皆のことを思い出した。
「どの人もそうだからね」
「というか八条荘のこと言ってる?」
「今そうよね」
チェチーリアさんのことだけでなく、というのだ。
「色々な国から来てね」
「それでだから」
「日本人も多いみたいだけれど」
「外国の人達も多いから」
「ううん、半分位の人がそうなんだよね」
僕もあらためて言った。
「外国からの人だよ」
「実際にそうだよね」
「八条荘の人は」
「そうそう、ただ今のところね」
僕は実は前から八条荘についてあれっ、と思っていることを皆に言った。そのあれっ、と思ったことはというと。
「うちのアパートってヨーロッパの人はいないね」
「イギリスとかフランスとか」
「ドイツとかいった国からの人は」
「うん、いないね」
本当にいない、一人も。
「どういう訳かね」
「うちの学園ヨーロッパからの人も多いけれどね」
「うちのクラスにもいるし」
「そうそう、東欧や北欧からも来てるし」
「ルーマニアとかフィンランドからもね」
皆何故かルーマニアから留学生の人と友達になるとドラキュラ伯爵の話を聞く、やっぱりルーマニアといえばあの人なのだろうか。
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