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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二十一話 古代の都からその八

「ペルーに戻ったら」
「その時はか」
「出来るだけ交通が便利なところがいいわ」
「では首都か」
 井上さんは交通が便利と聞いてすぐにこう言った。
「やはりそうなるか」
「首都、リマね」
「ペルーの首都だな」
「ええ、リマが一番交通が便利だというのね」
「首都はその国の心臓だ」
 まさにそのものだとだ、井上さんはまさにその点を指摘してチェチーリアさんに話した。僕はどうも話が政治的になってきたと二人の会話を聞いて思った。
「だから必然的にだ」
「交通の便利がいいと」
「国の内外に向けてな」
「そういえばリマは」 
 チェチーリアさんも井上さんの言葉を聞いてこう言った。
「交通の便がよかったわ」
「そうだな」
「ペルーの中で一番ね」
「そうだな」
「リマは高い場所にあるけれど」
「高い場所?」
 僕はチェチーリアさんの今の言葉に問うた。
「というと」
「はい、ペルーはアンデスにありますね」
「あっ、そうでしたね」 
 アンデス山脈にだ、ペルーはまさにそのアンデス山脈にある。丁渡畑中さんと話をしたそこのことを思い出した。
「それでリマも」
「はい、標高が高い場所にあります」
「高山都市ですか」
「そうなります」
 まさにそのものというのだ。
「リマは」
「それじゃあ空気とかも」
「この神戸に比べますと」
「相当にですか」
「はい、薄いです」
 その空気がというのだ。
「今そのことを実感しています」
「そうそう、メキシコシチーもね」
 モンセラさんも話に加わって来た、ここで。
「高山都市だから」
「その空気が」
「そうなの、結構薄いの」
 モンセラさんはこう僕に話してくれた。
「神戸と比べたらね」
「そうだったんだ」
「そのメキシコシチーよりもね」
「リマは高い場所にあって」
「空気が薄いのよ」
「成程、そうなんだ」
「私の故郷も」
 またチェチーリアさんが言った。
「高い場所にあるので」
「空気が薄くて」
「少し動くと」
 それだけで、というのだ。
「慣れていないと息切れします」
「酸素が少ないから」
 空気が薄い、即ちそうなる。
「だからですか」
「そうです、実際に」
「日本にいるとわからないことですね」
「そうですね、その代わり」
「その代わり?」
「神戸に来るまでに地震がありました」
 急にだ、チェチーリアさんはその顔を強張らせて僕達に地震の話をしてきた。
「あれには驚きました」
「あっ、地震はペルーでは」
「私は殆ど経験してきませんでした」
「だからですか」
「揺れたので」
 まさにそのことでというのだ。
「一瞬何かと思いました」
「日本は地震が多いですからね」
「何度も大震災に遭っていますよね」
「はい」
 このことは日本にいると避けられない、それでこうチェチーリアさんに対してその真実をありのまま語るしかなかった。 
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