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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二十一話 古代の都からその五

「小野さんが作られています」
「あっ、小野さんペルー料理ご存知だったんですか」
「いえ、ご存知ではなかったみたいです」
 小柳さんはこのことは否定してきた。
「そちらは」
「そうですか」
「はい、しかし」
「しかし?」
「インターネットで検索されて」
「あっ、インターネットを使えば」
 僕も言われてはっとした、それこそインターネットで検索すれば。
「すぐにわかりますね」
「はい、ですから」
「それで、ですね」
「そうです、わかりましたので」
「それでなんですね」
「作られます」
「それでもはじめてですよね」 
 はじめて作るとだ、僕は小柳さんに尋ねた。
「小野さんがペルー料理作られることは」
「そうですね、ですが小野さんが仰るには」
 あの人ご自身が言うにはだった。
「何でもはじめてだと」
「作るにあたってはですか」
「はい、ですから」
 それで、というのだ。
「チャレンジすると仰って」
「それはまた凄いですね」
「小野さんはそうした方なんです」
「どんなお料理でもですか」
「作ろうとチャレンジされるんです」
 それこそはじめて作るものでもだ、臆することなくというのだ。
「ですから」
「それで、ですね」
「作られます」
「今日もですね」
「はい、そうです」
「それじゃあ今日は」
「ペルー料理もですね」
「楽しめそうです」
 笑顔で僕に話してくれた。
「何しろ小野さんのお料理ですから」
「あの人が作られるのなら」
「大丈夫です」
「そうですね、あの人のお料理なら」
「大丈夫です、それに」
「それに?」
「実はです」
 小柳さんは僕にこのことも話してくれた。
「もう新しい入居者の方がアパートに入られていまして」
「あっ、もうですか」
「はい、ペルーからです」
 この八条荘に入って来たというのだ。
「それでキッチンまで来られて」
「それで、ですか」
「小野さんと一緒に」
「ペルー料理をですね」
「作って下さっているので」
 それで、というのだ。
「充分にです」
「出来たんですね」
「そうです」
「それはよかったですね」
「はい、ですから」
「ペルー料理は」
「出来ます、それで今夜は」
 シェラスコと、というのだ。
「ペルー料理もあります」
「そうなんですね、ペルー料理ですか」
「中々面白そうですよね」
「はい、よく知らないですし」
 本当にどうした料理かだ、僕は知らない。
 それでだ、どんな料理なのか不安であると共にだ。期待していて楽しくもあってだ、僕は小柳さんに答えた。
「今日も晩御飯は歓迎のものなので」
「賑やかで、ですね」
「美味しいものが一杯出ることは間違いないので」
 それで、とだ。小柳さんに管理人として知っていることを話した。 
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