八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二十一話 古代の都からその三
「あそこに行きたいね、一度」
「アンデスに」
「インカ帝国の遺跡がある場所に」
「そう思ったよ」
僕は皆にこう話した、歴史の授業の後の休み時間に。この時はインカ帝国の話はこれで終わったと思った。
けれどそれでもだった、午後の六限目の授業がはじまる前にだった。
携帯に畑中さんから連絡が来た、それに出るとこう言われた。
「今しがた新しい方が来られました」
「あっ、今日は二人ですか」
「はい、ニキータ様とです」
そしてというのだ。
「その方もです」
「来られたんですか」
「今しがた」
「それでどういった方ですか?」
「はい、ペルーからの方です」
その国から来た人だというのだ、僕はペルーからと聞いて畑中さんに驚いてこう言った。
「あの、実は」
「実はとは」
「今日世界史の授業がありまして」
畑中さんにこの話をした。
「それでインカ帝国のことを教えてもらいまして」
「そのインカ帝国の場所にある国が」
「ペルーですよね」
「そうです」
「そのペルーからですか」
「来られた方です」
そうだとだ、畑中さんは携帯から僕に話してくれた。
「あの国からです」
「そうなんですね、それでペルーですから」
その国自体のことからもだ、僕は畑中さんに言った。
「スペイン語ですね」
「日本語もお話になられますが」
「それでも母国語はですね」
「はい、スペイン語です」
このことは間違いないとだ、畑中さんも答えてくれた。
「左様です」
「そうですよね」
「昨日もお話させて頂きましたが」
「スペイン語は、ですね」
「世界的に非常に広く使われている言語です」
このことをここでも話してくれた。
「中南米ならばどの国でも通じます」
「それも母国語として」
「左様です」
「本当に凄い言語ですね」
「日本では最近このことがよく認識されだしています」
「八条グループは別として、ですね」
「はい、八条グループは早い頃から中南米に進出していますので」
様々な問題があろうとも成長が期待出来るとだ、二代前の総帥が決断を下されて進出がはじまったのだ。
「それで」
「そうでしたね」
「はい、ですから」
それで、というのだ。
「八条学園でもスペイン語はかなり通じます」
「スペイン語学科が大学にもあって」
「中南米からの方も多いのです」
「そういうことですね」
「左様です」
「わかりました、じゃあ帰ったら」
八条荘に帰った時のことをだ、僕は畑中さんに話した。
「今晩は」
「ニキータ様とその方の」
「歓迎ですね」
「そうしましょう」
「では」
「今晩のことをお願い出来ますか」
「小野さんとお話をして」
それから、というのだ。
「決めさせてもらいます」
「今晩のお料理は」
「シェラスコの予定でしたが」
「あっ、あのブラジル料理の」
「はい、お肉の塊を串に入れて焼いたものです」
ブラジル料理の中で最も有名なものの一つだ、その焼いた肉を切っていって上からソースをかけたりして食べる。
「それを予定していましたが」
「シェラスコはそのままで出来ますか」
「歓迎のお祝いだからですね」
「はい」
その通りだとだ、僕は畑中さんに答えた。
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