八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二十話 サッカー少女その十三
「多分東南アジアでも一緒だけれど」
「ええ、マラリア怖いわよ」
ダオさんが実際にそうだと言って来た。
「洒落にならない位にね」
「やっぱりそうよね」
「暑いとどうしてもね」
蚊が、というのだ。
「マラリア持ってるから」
「マラリアはね。日本はないわね」
千歳さんもそれは否定した。
「その病気は」
「いえ、最近はです」
畑中さんがマラリアはないと言った千歳さんに注意する様に言って来た。
「そうも言えません」
「そうなんですか?」
「はい、近頃はマラリアや他の南方の病気も」
「日本に入ってきているんですか」
「ですから」
「マラリアもなんですね」
「お気をつけ下さい」
こう千歳さんに言うのだった。
「くれぐれも」
「わかりました、マラリアは怖いっていいますし」
「実際物凄く怖いわよ」
ダオさんが千歳さんに言う。
「だから千歳もね」
「うん、それじゃあね」
「十分以上に気をつけるのよ」
「わかったわ」
千歳さんはダオさんのその言葉にも頷いていた、そして畑中さんは僕達にあらためて言った。
「では皆さん今日も」
「はい、学園生活をですね」
「お楽しみ下さい」
「それで畑中さんは」
「もう一度眠らせて頂きます」
畑中さんの返事は決まっていた。
「そうさせて頂きます」
「よくお休みになって下さい」
僕はその畑中さんに言った。
「寝ることが第一ですからね」
「左様です、ですから私も」
「そうして下さい」
「私もよく寝るからね」
ニキータさんがここでも言う、やはり明るく。
「寝ることも趣味なのよ」
「じゃあ今日も寝るの?」
「ええ、授業中でもね」
「いや、授業中寝たら駄目でしょ」
千歳さんはニキータさんの笑顔での言葉に眉を顰めさせて返した。
「その時は起きていないと」
「まあそうだけれどね」
「じゃあ起きてるのよ」
「私一日八時間寝ないと駄目なのよ」
「結構寝る方なのね」
「そうなの、だからね」
授業中もというのだ、傍から聞いていても褒められたことではないけれど。
「寝るの」
「朝早く起きて?」
「そう、夜早く寝るの」
「早寝早起きなのね」
「それで授業中もね」
「だからそれは止めなさいよ」
千歳さんは眉を顰めさせたままニキータさんに言う、けれどニキータさんは笑顔のままだった。かくして新しい入居者を迎えた朝は賑やかに終わった。
第二十話 完
2014・11・12
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