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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二十話 サッカー少女その十二

「前は海で後ろはすぐに山じゃない」
「それで街自体が横に長くて」
「縦には短いでしょ」
 つまりまともに山からの吹き降ろしが来る、海までのそれがだ。
 それでだ、神戸はなのだ。
「余計に寒いのよ」
「神戸の気候もあるのね」
「ええ、風もあるから」
 それに海もだ。
「余計に寒いわ」
「成程ね」
「ただ、北海道とかはもっと寒いのよね」
「神戸どころじゃないわよ」
 その北海道生まれの美沙さんがラブポーンさんに言って来た。
「北海道の寒さはね」
「シベリアみたいなの?」
「絶対シベリアよりはましだけれど」
「それでもなのね」
「神戸どころの寒さじゃないから」
 このことは間違いないというのだ。
「雪は凄く積もるし夏は短いし」
「どんな寒さなのよ」
「だから。日本で一番寒いのよ」
 北海道は、というのだ。北海道で生まれ育っているだけその言葉には実感があった。
「本当に酔って外で寝たら凍死するわよ」
「凍死?」
「そう、凍死」
 ラブポーンさんははじめて聞いた感じだった、凍死という言葉に。
「するのよ、冗談抜きで」
「信じられない話ね」
「それが北海道なのよ」
「うわ、凄いわね」
「そうでしょ、北海道はそうした場所なのよ」
「凍死って」
 ニキータさんが凍死と聞いて言うことはというと。
「ブラジルでもないけれど、それでも」
「それでも?」
「酔って寝たらブラジルでも危ないわよ」
 こう言うのだった、僕達皆に。
「チスイコウモリ出るから」
「チスイコウモリって」
「そう、人の血も吸うから」
「死ぬの?」
 千歳さんは眉を顰めさせてニキータさんに問うた。
「吸血鬼に吸われたみたいに」
「いや、死なないわ」
「それはないのね」
「けれど病気になりかねないから」
「病気?」
「そう、狂犬病」 
 この病気の名前を聞いてだ、皆蒼白になった。当然僕もだ。
「それになるから怖いのよ」
「狂犬病ってあれよね」
 千歳さんもだ、狂犬病と聞いて眉を曇らせてニキータさんに問い返した。
「罹ったら絶対に死ぬっていう」
「そう、なったらね」
「化け猫は実は狂犬病になった猫だって聞いたけれど」
「それになるから」
「凄く危ないのよ」
 ブラジルでもだ、酔って外で寝るとだ。
「こっちでもね」
「死にたくないわね」
「結局何処でも外で酔って寝たら駄目なのね」
 これが千歳さんの出した結論だった、僕も聞いていて同じことを思った。実際狂犬病になんか絶対になりたくない。
「やっぱり」
「そう、後はね」
「後は?」
「蚊にも注意しないといけないのよ」
「マラリア?」
「それもあるから」
 この病気も出て来た。 
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