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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二十話 サッカー少女その七

「そこで」
「そうなのですね」
「そうです、ではオーパ!も」
「わかりました」
 僕は畑中さんの言葉に頷いてそしてだった、この日は寝た。新しい人が朝になると来ていることを楽しみにしながら。
 そしてだ、朝起きてだった。
 一階に降りるとだ、早百合先輩がピアノを弾いていて。
 井上さんが席を用意してそこに座ってだった、そのうえで。
 ピアノを聴いていた、そして僕の姿を認めると立って挨拶をしてきた。
「お早う、大家君」
「あっ、お早うございます」
「早いな」
「いえ、うちはいつもです」
「六時起床か」
「はい、そうです」
「それは何よりだ」
 六時起床と聞いてだ、井上さんは僕にこう言って来た。
「やはり朝は早いに限る」
「早寝早起きですね」
「早起きは三文の得ともいう」
 井上さんはこの言葉も出して来た。
「朝は早い方がいい」
「遅く起きるよりも」
「色々と出来るからな」
「色々?」
「見ての通りだ、既に走ってシャワーを浴びて着替えてきた」
 見ればさっぱりした顔立ちだ、おまけにメイクもしている。
「全て早く起きたからだ」
「そこまで出来たんですね」
「四時半に起きた」
 そして、というのだ。
「走ってそうしてだ」
「服もですね」
「この通りだ」
 制服姿だ、しかもシャワーを浴びた後なので清潔感に満ちている。
「全ては早く起きたお陰だ」
「そうですか」
「そうだ、私はいつも早起きだ」
「四時半ですか」
「遅くとも十時半に寝て」
 早起きと言えば早起きだ、高校生としては。
「そしてだ」
「四時半に起きられて」
「走り、シャワーを浴びて身体も清潔にしてだ」
 そしてというのだ。
「一日に挑むのだ」
「もう制服も着られているんですね」
「当然だ、尚この制服もだ」
「あっ、何か違いますね」
 僕は井上さんの制服に気付いた、ぴしっとしている。つまり。
「アイロンかけらているんですね」
「毎日な」
「毎日ですか」
「制服も整えておくべきだ」
「先輩みたいにですか」
「そうだ、こうしてな」
「ううん、しっかりされていますね」
 風紀部員にしてもだ、うちの学園の風紀部は校風が影響してそれで随分おおらかだ。けれど井上さんはなのだ。
「凄いですよ」
「当然だと思うが」
「いえ、普通じゃないですよ」
「そうなのか」
「何かそこまでいきますと」
 僕は井上さんに首を傾げさせながら言った。
「海軍みたいですね」
「大日本帝国海軍だな」
「はい、そう思います」
「海軍は理想だ、陸軍も嫌いではないが」
「そうですか、帝国海軍がですか」
「あの様に生真面目でなければだ」
 それこそとだ、井上さんは生真面目な声で僕に話してきた。早百合先輩が奏でてくれているピアノの演奏を聴きながら。 
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