八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二十話 サッカー少女その五
「全てしておきますので」
「だからですか」
「義和様はお休みになっていて下さい」
「寝ていていいんですね」
「はい」
その通りだというのだ。
「そうされていて下さい」
「それじゃあ」
流石に四時前になると起きられない、というかそんな時間に起きたことはないので無理だと確信していた。それでこう畑中さんに言った。
「お願いします」
「では六時に」
朝のだ。
「お目覚め下さい」
「有り難うございます」
「いえ、お気遣いなく」
「けれど四時前ですよね」
「四時前ですが」
それでもだというのだった、畑中さんは」
「作業が終わり次第寝ますので」
「それで六時に起きられて」
「また寝ます」
「だから睡眠時間はですか」
「確保しています」
ちゃんと寝ているとだ、僕に答えてくれた。
「ですから」
「だからですか」
「このことはご安心下さい」
「畑中さんがそう仰ってくれるなら」
「人は眠らなければなりません」
「寝て身体を休めないとですね」
「心も。さもないと」
畑中さんは僕に話してくれた。
「壊れてしまいます」
「寝れないだけで大変なことになりますからね」
「ですから私もです」
「睡眠はちゃんと取っておられるんですか」
「少なくともその日一睡もしないということはありません」
絶対に、というのだった。
「一睡もしないことが最も悪いです」
「本当に寝ないと駄目なんですね」
「そうなのです」
「その通りですね、本当に」
僕も畑中さんのその言葉に頷いた。
「僕もそうしていますので」
「気をつけていますので」
「ではそのことも」
「ご心配なく」
こう僕に言ってくれた。
「私は寝る男です」
「それもしっかりとですね」
「ナポレオンは一日三時間とありましたが」
俗にそう言われている、ナポレオンは一日三時間しか寝なかったとだ。確かにナポレオンは多忙ではあった。
だがそれでもだ、実際は。
「しかしです」
「実際は違ったのですか」
「彼はよく寝ていました」
「あっ、そうだったんですか」
「はい、八時間は寝ていました」
一時間辺り、というのだ。
「時間を見付けて」
「そうだったんですか」
「はい、ですから私もです」
「寝られているんですね」
「そうしています」
「ううん、漫画家さんや小説家さんは」
「あまり寝ておられない人もいますね」
畑中さんもそのことはよく知っていた。
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