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(仮称)問題児たちと一緒に転生者が二人ほど箱庭に来るそうですよ?

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YES! ウサギが呼びました!
  箱庭に呼ばれたそうですよ?

 
前書き
エレオノーレ、迷彩、ズェピア、飛鳥の四人のみ読み切り(前話)の設定引用 

 
 
 
 場所は転神寮エルプシャフト、時刻は真昼。飛鳥は表情を変化させる事無く(仮面付けてるから良く分からないが)、手に持つ一通の手紙を開封せずにを見ていた。
 そこには『藤丸 飛鳥 殿へ』と、達筆な字で書かれていた。


『……箱庭、か』


 そう呟くと、何かを思い付いた様に部屋から出て、大型犬並の大きさになっている愛狼を連れ、ある人物を探した。

 暫く寮内をウロウロしていたら目的の人物を発見した。良く見ればその人物の手にも飛鳥の持つ手紙と同じ物が握られていた。


『……ここに居たか、フレメダ』
『ん? どうした飛鳥さん』
『……フレメダ。……これから修行に行くぞ』
『…………急にどうした?』
『……箱庭に修行に行くぞ、と言っている』
『いやいやいや! 大体、いきなりそんなこと言われてもんけわからんって訳なんだけど!?』
『……ハァ。……これだからフレメダはフレメダなんだ』
『名前を最上級の罵倒みたいに使わないでくれるかな!? 結局、前世でとある魔術の禁書目録が連載開始してフレンダとフレメアが出てくる前からこの名前って訳なんだけど!? とあるでフレンダがフレ/ンダになってからはそのネタで弄られまくって一時期自分の名前が嫌になってたんだけど!?』
『……ンな事はどうでもいい。……お前にもこんな感じの手紙がきてるだろ?』


 そう言って手に持つ未開封の手紙を見せる飛鳥。


『あぁ。飛鳥さんのトコにも来たのか、その訳わかめな手紙』
『……ああ。……この手紙、とある世界軸に存在する箱庭と呼ばれる世界に一方通行の強制召喚するギフトが使われてる。……ヘタしたら転神寮(ここ)に戻って来るのに五年近く掛かる。……まあ、ヘレンに輪廻写輪眼貰ってるし、転神寮(ここ)はマーキングしてあるから大丈夫だろ。……てな訳で、箱庭にいくぞ』
『…………わかったよ。てか、飛鳥さんはレギオンの皆連れて行くのか?』
『……ああ。……但し、外に常在するのは的盧だけだ。……他の皆はオレの中に戻ってもらっている』
『あっそう。結局、どう見てもDiesの軍勢変生な訳のになんで特典で貰った訳でもないのに使えるのか……まあいいや。じゃあソロソロ手紙を開封しましょ』


 フレメダがそう言って話を切り上げると、二人揃ってそれぞれの手紙を開封し、その文章を読んだ。

 フレメダと飛鳥が手紙を開封して手紙を読んでいるのと同時刻。飛鳥達の居る世界とは三つの異なる世界で、同様の手紙を開封し、その内容を確認している少女が三人ほど居た。




          『『悩み多し異才を持つ少年少女に告げる。
            その才能(ギフト)を試すことを望むならば、
            己の家族を、友人を、財産を、世界の全てを投げ捨て、
            我らの〝箱庭〟に来られたし』』




 手紙を手にした五人+二匹の視界が間を置かずに開けた。そして全員に襲い来る唐突な浮遊感。
 急転直下、上空4000mほどの位置だろうか。


「わっ!?」
「きゃっ?!」
「えっ!?」
「にゃっ?!」
『……何故、空』
『知らないっすよ』
〈知らんな〉


 少しばかりの悲鳴が木霊する。
 五人+二匹の目の前に広がっていたのは、完全無欠に異世界だった。










――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――










『……フレメダ、お前は〝天翔ける王の御座(ヴィマーナ)〟にでも乗って降りてこい。……あ、序でにオレの手持ちの火薬類と煙管持っといてくれ。……オレと的盧はどうとでもなるから一緒に乗せなくて大丈夫だ』
『わかりましたよっと』


 そう短く言葉を交わすと、飛鳥は火薬類と煙管を何処からともなく取り出し、フレメダに投げ渡す。フレメダはそれら全てを〝王の財宝〟に回収し、そのまま〝王の財宝〟から〝天翔ける王の御座〟を出してそれに乗る。そうした事に寄り、フレメダのみ落下を中断。但しその他は未だ落下中。

 そして少しして立ち上る三つ(・・)の大きな水柱と一つの小さな水柱。
 フレメダはそれを見届けると、〝ヴィマーナ〟の飛行高度を落とし、〝ヴィマーナ〟から降りて〝王の財宝〟に仕舞う。そして、自分以外が落下した湖を見やるフレメダ。

 その湖面には、ずぶ濡れになっている見知らぬ三人の少女達と溺れている三毛猫、そして湖面上に当たり前のように立っている飛鳥とその愛狼の的盧の姿があった。






――――――――――――――――――――






 湖に落ちた三人と一匹は、湖面から顔を出すと口々に愚痴を言い始めた。


「し、信じられないわ!まさか問答無用で引き摺りこんだ挙句、空に放り出すなんて!」
「右に同じだクソッタレ。場合によっちゃその場でゲームオーバーだぜ。これなら石の中にでも呼び出された方がまだ親切だ」
「…………。いえ、石の中に呼び出されたら動けないでしょう?」
「俺は問題ない」
「そう、身勝手ね」


 そう言って、育ちの良さそうな少女と、金髪で鋭い目付きの少女は岸へと上がった。続いて岸へ上がろうとする猫を抱えた少女を見て、飛鳥とギンコもそろそろ上がるか、と岸へと向かった。


「此処………どこだろう?」
「さあな。まあ、世界の果てっぽいものが見えたし、どこぞの大亀の背中じゃねぇか?」


 三毛猫を抱えた少女の呟きに金髪の少女が答えた。
 服をあらかた絞った金髪の少女は、濡れた髪を掻き上げ、尋ねた。


「まず間違いないだろうけど、一応確認しておくぞ。お前らにもあの変な手紙が?」
「その通りだけど、そのお前っての訂正して。私は久遠飛鳥よ。以後は気を付けて。それで、そこの猫を抱きかかえている貴女は?」
「………春日部耀。以下同文」
「そう。よろしく春日部さん。次に野蛮で凶暴そうなそこの貴女は?」
「高圧的な自己紹介をありがとよ。見たまんま野蛮で凶暴な逆廻十六夜です。粗野で凶悪で快楽主義と三拍子揃ったダメ人間なので、用法と用量を守った上で適切な態度で接してくれお嬢様」
「そう。取扱説明書をくれたら考えてあげるわ、逆廻さん」
「ハハ、マジかよ。今度作っとくから、覚悟しとけ、お嬢様」


 言うやいなや、二人は火花バチバチの睨み合いを開始する。

 かと思いきや、数秒でやめて飛鳥とフレメダの方を向き、同じ様な質問を投げ掛けた。


「最後に、どうやったのか知らないけど、水面に立ってた変な仮面を着けた和装の貴方と、飛行機みたいな機械に乗ってたのに私達を助けてくれなかった貴方は?」
『俺はフレメダ・セイヴェルン。お前等を乗せなかったのには罪悪感を抱いていないし、反省も後悔もしていない。大体、初対面の人間を助ける程お人好しじゃない訳なんでね。まあ、こんな所か。一応謝罪はしておこう』
『……藤丸。……よろしく、とだけは言っておこう』
「あら、貴方達は逆廻さんとは違ってちゃんと挨拶出来るようね。こちらこそよろしく」


 十六夜はケタケタと笑い、久遠は顔をそむける。春日部は依然として我関せずを貫いている。フレメダは飛鳥に空で預かった煙管と火薬類を返し、飛鳥はその煙管に火をつけて煙を吹かし始めた。


 そんな彼らを茂み彼ら見ていた黒ウサギは―――

「(うわぁ………。何やら一癖も二癖も有りそうな方ばかりですねェ)」

 ―――彼らの非協力的な態度がありありと想像でき、黒ウサギは心の中で溜息をついた。


「で、呼び出されたはいいけどなんで誰もいねえんだよ。この状況だと、招待状に書かれていた箱庭とかいうものの説明をする人間が現れるもんじゃねえのか?」
「そうね。なんの説明もないままでは動きようがないもの」
「……。この状況に対して落ち着き過ぎているのもどうかと思うけど」


 呼び出した黒ウサギとしては、場がもっと混乱しているつもりであったため、出ていくタイミングを失ってしまったのだ。

 そんな時、ふと十六夜が呟いた。


「――仕方がねえな。こうなったそこにいる奴にでも話を聞くか?」
「あら、貴女も気づいていたの?」
「当然。かくれんぼなら負け無しだぜ? そっちの3人も気づいていたんだろ」
「風上に立たれたら嫌でもわかる」
『大体、真上から見たらまるわかりだった訳だしな』
『……逆にアレで隠れてるつもりか?』
「………へえ? 面白いなお前ら」


 黒ウサギは驚いて、茂みを揺らしてしまった。これ以上の不満が出てくる前に、と茂みから顔を少しだけ出した。


「や、やだなぁ。そんな怖い顔で見られると―――
『……面倒だ。……炙り出す』
『なら、俺も手伝うとしますか』
 ―――え?」


 そう言って徐ろに弓を取り出し、矢を十本以上番える飛鳥。そしてそれに同調する様に空中に投影品の刀剣類を出現させる。
 間近でそれを見ていた問題児3人は興味深そうにそれを見ており、逆に黒ウサギは驚愕のあまりに少しの間動けなくなった。


『……いいか、3秒以内に出てきやがれ。……でなきゃその飾り耳斬り飛ばす。……壱ィ』


 〝壱〟と言った瞬間に発射される矢と刀剣類。それらは寸分狂わず黒ウサギの居る場所に飛んでいった。


「フギャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!? に、二と三はどうしたので御座いますか!?」
『……弐と参? ……知らんな。……人間、壱だけ憶えてれば大体どうにかなる』
「そんな訳ないのデスヨーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!?」
「何あれ?」
「……コスプレ?」
「ヤハハ。髪を編んでウサミミ状にするとは酔狂なレイヤーだな」
「ち、違います! 黒ウサギはコスプレ等では―――
『……氷遁・黒龍暴風雪』
『ドルマドン』
 ―――イヤァァァァァァァァァァァァァァァ!!!?」


 それから小一時間程、空中召喚なんて言う非常識行為に対する制裁と言う名の飛鳥とフレメダのストレス発散が続いた。






――――――――――――






「あ、あり得ない。あり得ないのですよ。まさか冒頭の邂逅に小一時間も消費してしまうとは。学級崩壊とはきっとこのような状況を言うに違いないのデス」
『……空中召喚をせず、召喚してすぐにお前が出てくればここまでしなかった』
「せ、正論過ぎて反論出来ないのデス」


 そう言ってorz状態になる黒ウサギ。しかし、暫くしてから半泣きの状態で復帰した。


「ハァ。もういいのデス。この黒ウサギのズタボロな心に免じて一つ、穏便に御話を聞いていただけたら嬉しいのでございますヨ?」
「断る」
「却下」
「お断りします」
「あっは、取り付く島もないデスネ。もうやだァ」


 両手を上げ、降参のポーズをとりながら黒ウサギは、五人を値踏みしていた。結構ガチに泣きながら。そしてこれからの接し方を思案して―――


「えい」
「フギャ!」


 春日部に後ろからウサ耳を引っ張られていた。


「ちょ、ちょっとお待ちを! まさか初対面で遠慮無用に黒ウサギの素敵耳を引き抜きに掛かるとは、一体どういう了見ですか!?」
「好奇心の為せる業」
「自由にも程があります!」
「へえ?このウサ耳って本物なのか?」
「………。じゃあ私も」


 そう言って十六夜と久遠も揃って黒ウサギの耳を引っ張りに掛かった。


「ちょ、ちょっとま、黒ウサギのウサ耳は――アァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!」


 辺りに木霊する黒ウサギの悲鳴。それをそばで見ていた筈の飛鳥とフレメダはと言うと……


『……………』
『釣れないな』


 適当な大きさの岩に腰掛け、二人で釣りをしていた。的盧は傍で寝ていた


 
 

 
後書き
・ヴィマーナ
 Fate/の金ピカが持ってる飛行機。二十七機あるだとか、バリエーションがあるだとか。 
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