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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第十八話 馬に乗った女の子その八

「その様に」
「ジョーンさんですね」
「その様に」
 こう日本語で言ってくれた、日本語は最初からだけれど。
「今しがたこちらに参りました」
「新しい入居の方ですね」
「お話は既に聞いているでしょうか」
「はい、畑中さんから」
 僕はジョーンさんにこう答えた。
「聞いています」
「それは何よりです」
「厩の馬もですね」
「祖国から持って来ました」
「ニュージーランドからですか」
「そうです、私の家は牧場でして」
 それで、というのだ。
「そちらかです」
「馬を連れて来ましたか」
「許可を頂きましたので」
 畑中さんからというのだ、実質的に八条荘を取り仕切っているその人からだ。
「それで連れて来ました」
「そうですね、では」
「それではですね」
「はい、だからこそ」
 それで、というのだ。
「共に来ました、彼等は私の友達です」
「牧場からですか」
「祖国にいた時からの。それで厩まで用意して頂いて」
 ジョーンさんは僕に笑顔で話していく。
「有り難く思っています」
「そうですね、最初僕も馬のことを聞いて」
「どう思われたでしょうか」
「やっぱり驚きました、馬かと」
 僕はジョーンさんに本音を言った。
「これまで考えてもいませんでしたので」
「そうですね、やっぱり」
「けれど牧場にはですね」
「馬が必要なので。それで」
「ジョーンさんもですね」
「馬に乗っています」
 牧場いればだ、どうしても必要だからだというのだ。
「ですから」
「それで、ですね」
「こちらでも乗らせて頂きます」
「畑中さんがいいって言ってくれたのなら」
 僕としてもだ、あの人が決めたことならだった。
「僕はいいので」
「それでは」
「何時でも乗って下さい」
 僕は微笑んでジョーンさんに答えた。
「この八条荘におられる間は」
「ではその様に、ただ」
「ただ?」
「私は祖国では農学部にいました」
「あっ、そうだったんですか」
「はい、しかし」
 それでもだとだ、ジョーンさんは僕に言うのだった。
「こちらでは。大学は農学部に進むつもりですが」
「高校は、ですか」
「普通科となりました」
「それはどうして」
「日本の農学部に求められる学力は高いと聞きました」
「そうですね、理系で高いですね」
 実際にそうだとだ、僕はジョーンさんに答えた。
「入学してからも色々とあって」
「実技以外にですね」
「学力も求められます」
「その学力を備える為に」
 是非にというのだった。 
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