八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第十八話 馬に乗った女の子その九
「普通科を考えています」
「そうですか」
「十六歳ですので」
「えっ!?」
ジューンさんの今の言葉にだ、僕は驚いて言葉を返した。
「十六歳ですか」
「はい、そうです」
ジューンさんは僕に礼儀正しく答えてくれた。
「私は十六歳、高校一年生です」
「そうだったんですか」
「より年長に見えますか」
「とても」
十六歳にはだ、正直言ってだった。
「見えないです」
「よく言われます、実際の年齢よりも上に見えると」
「そうですよね、十八いえ」
それよりもとだ、僕はジューンさん本人に言った。
「二十歳に見えます」
「そうですね、それ位に言われることが多いです」
「けれど、ですよね」
「十六歳です」
つまり僕より年下だというのだ。
「ですから一年生としてです」
「高等部に入られるんですね」
「そうさせて頂きます」
こう僕に言うのだった。
「そしてそこで学力を備え」
「大学の農学部に進まれるんですね」
「そのつもりです」
まさにとだ、僕に答えてくれた。
「ですから」
「はい、これから」
「宜しくお願いします」
「こちらこそ、それで」
「それで、ですか」
「今夜からこちらですよね」
「もうお部屋に荷物は入れさせてもらいました」
「お部屋は何処でしょうか」
「一一七です」
そちらの部屋だというのだ。
「入れさせてもらいました」
「そうですか、それじゃあ」
「今晩からですね」
「他の入居者の人と一緒に」
僕はジョーンさんに言った。
「御飯を食べて下さい
「御飯ですね」
「はい、晩御飯です」
「御飯といいますと」
「多分お米です」
そうした意味での言葉と受け取ってだ、僕はジョーンさんに答えた。
「今晩は」
「そうですか」
「ニュージーランドではお米は主食ではないですね」
「あまりそうはなっていません」
「あまりですか」
「アジア系の方は食べることが多いです」
「ああ、ニュージーランドでも最近はアジア系の人多いんですね」
僕はジョーンさんの言葉からそうした事情も察した。オーストラリアやニュージーランドは近年アジア系からの移民も多いことを。
「だからですね」
「お米を主食とされる方も多いです」
「そうですよね」
「はい、しかし」
「ニュージーランドの多くの人は」
「パンです」
やはりだった、イギリスからの移民の人が多いのでまずはこれだった。
「それとオートミールやジャガイモも」
「ジャガイモもですか」
「主食の一つです」
「欧州がそうだからですね」
「はい、ですから」
それで、というのだ。
「主にパンです」
「そうなりますね」
「ですが私は御飯でも大丈夫です」
「そうですか」
「むしろ大好きですので」
「お米大好きなんですね」
「子供の頃にはじめて食べて」
ジョーンさんは僕にこのことも話してくれた。
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