八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第十八話 馬に乗った女の子その六
「広島とか熊本で馬刺し食べますから」
「江田島では多いですね」
広島生まれの小夜子さんも言って来た。
「居酒屋等で」
「そうですよね、広島ですと」
「江田島ではよく馬刺しを食べています」
その居酒屋でだ。
「海上自衛隊幹部候補生学校の近くのお店等で」
「海上自衛隊の、ですね」
「そうです、江田島には八条グループのホテルもありますけれど」
「あのホテルで夏休み泊まって合宿するんですよ」
僕は小夜子さんにこのことも話した。
「体育会系の部活、文化系も」
「そうなのですね」
「僕も行きました」
一年の時だ、バスケ部の合宿で。
「楽しかったですよ、お酒もかなり飲みましたし」
「広島の地酒をですね」
「そうです、浴びる位に飲みました」
自分でも驚く位にだ、とにかく飲んだ。合宿の間部活の練習が終わったらそれこそ皆でとことんまで飲んでいた。
「美味しかったですよ、とても」
「広島ははやり地酒ですね」
「そうですね、かなり美味しいです」
「昔からよく飲んでいます」
広島ではそうだ、そうしたことを話してだ。
そしてだった、僕はあらためて言った。
「とにかく馬に乗るニュージーランドからの人だね」
「どんな人かしらね」
詩織さんが僕のその言葉に応えてきた。
「今度来る人は」
「そのことが気になるね」
「本当にね、ただ」
「ただ?」
「畑中さんが選んでくれた人だから」
それで、というのだ。
「だからね」
「悪い人じゃない」
「そう思うわ、私はともかくとして」
「いや、詩織さんもね」
僕は自分を悪人といった風に言う卵丼を食べている詩織さんに言った。
「いい人だよ」
「だったらいいけれど」
「悪い人だったら本当にね」
「畑中さんは最初から選ばないのね」
「そう、だからね」
僕も畑中さんに人を見る目があると思っている、だから皆八条荘に来たとだ。
「詩織さんもね、それに実際に一緒にいても」
「私悪い人じゃないの」
「そう、だからね」
それで、というのだ。
「そのことは安心していいよ」
「だったらいいけれど」
「まあとにかく。悪い人じゃないのなら」
「それならよね」
「僕達も喜んでね」
八条荘に迎えると話した、そしてだった。
そうしたことを話しながら僕達は昼食を食べてだった、そうして。
午後の授業、部活を終えてだ。そのうえで。
八条荘に戻った、すると。
その八条荘から馬の嘶きが聞こえてきた、僕はその鳴き声を聞いてもう来たのかなと思ってだ、そうしてだった。
屋敷の端にあるその厩に行った、すると。
そこに三頭の馬がいた、厩はもう綺麗に掃除されていた。馬は白、黒、茶色の三頭いた。その馬達を観てからだった。
僕はそこにいた初老の男の人、黒い乗馬服と長靴、それに帽子と白いズボンの人を見てその人に尋ねた。
「あの」
「旦那様ですね」
「旦那様?」
「はい、この八条荘の」
こう言ってきた、僕に。
「管理人様ですから」
「様付けもいいですし」
それにとだ、僕は言葉を返した。
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