八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第十八話 馬に乗った女の子その五
「同じ乗りものにしても」
「イタワッチさん馬に乗ったことは」
「ないわよ」
はっきりとだ、僕に答えてくれた。
「そっちは」
「そうなんだ」
「自転車ならあるけれど」
「馬はないんだ」
「それはないわ」
こう僕に話してくれた。
「本当にね」
「そうなんだね」
「インドネシアって島国で」
イタワッチさんは祖国のこともここで言った、インドネシアのことを。
「しかも熱帯雨林の国だから」
「あっ、馬は」
「そう、元々乗る様な場所じゃないから」
それで、というのだ。
「昔から乗らないわよ、あまりね」
「そうなんだね」
「車は使うけれどね」
「今は、だね」
「そうなの、まあスポーツではあるけれど」
イタワッチさん自身はというのだ。
「私は乗ったことないわ」
「そうなんだね」
「そうなの」
「というか東南アジアだとね」
「そうよね」
ダオさんとテレサさんも話す。
「何処も川とジャングル多いから」
「馬はあまり使わないわよね」
「農業で牛はよく使うけれど」
「馬はね」
そうだとだ、二人で話した。見ればダオさんはハヤシライスを、テレサさんは親子丼をそれぞれ食べている。
「使わないわよね」
「牛とか水牛よね」
「ベトナムなんか水牛多いわよ」
「そういえばそうね」
「馬も何処でもあるんじゃないんだね」
僕はこのことをだ、しみじみとして知った。
「昔は何処でも乗りものとか農業に使ってたと思ってたけれど」
「国によりますね」
裕子さんもこう言ってきた、この人は長崎ちゃんぽんを食べている。長崎生まれなのでやっぱり好きなのだろうか。
「そこは」
「そうなんですね」
「はい、日本でもです」
僕達の国もというのだ。
「関東は馬が多く関西は牛が多いです」
「あっ、そうなんですか」
「はい、関東は農業で馬を多く使っていました」
「そして関西ではですか」
「牛が多かったです」
「それは知らなかったです」
本当に知らなかった、関東と関西のその違いは。
「関東は馬ですか」
「ですから馬肉もです」
「関東だとですか」
「よく食べます」
そうだというのだ。
「関西よりも」
「何か新鮮なお話ですね」
今はじめて聞いたからだ、本当にそう思った。
「それは」
「そう思われますか」
「はい」
僕は裕子先輩にはっきりと答えた。
「そうしたことも関東と関西で文化の違いなんですね」
「まさにそうですね」
「西の方が馬食べるイメージあったんですけれど」
どうして僕がそう思ったかというと。
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