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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第十八話 馬に乗った女の子その四

「私も真相はわからないですが」
「何か凄いことですね」
「八条家は古くまた世界的にビジネスをしていますので」
「そうした人達もですか」
「おられます」
 そうだというのだ。
「ただ、その真相はです」
「ご存知の人はですか」
「八条家の方々でも僅かで」
「ご当主様でしょうか」
「はい、その他にも僅かな」
 そうした人達だけだというのだ、八条家の中でも。
「私共使用人なぞは」
「知らない人もですか」
「ほぼ全てです」
 その八条家の裏で働く人達のそれについては。
「私も然りです」
「凄いお話ですね」
「そうですね、私もそう思います」
「八条家の裏、ですか」
「それは全て謎に包まれています」
 まさにごく限られた人達だけが知っている話だというのだ、少なくとも分家筋の僕には縁のない話だ。それでだった。
 僕はその話を聞いてからだ、畑中さんにこう言われた。
「それでは」
「はい、これからですね」
「登校されて下さい」
「今日も学園生活ですね」
「そうです、今日もお楽しみ下さい」
 その学園生活もというのだ。
「日常を」
「日常をですね」
「日常を楽しめること」
 それが、というのだ。
「最も幸せなことです」
「こうして普通に生きていて生活を送れることが」
「はい、幸せなのです」
 そうだと話してだ、そのうえで。
 畑中さんは僕達を送り出してくれた、僕達は朝御飯の後で歯を磨いて顔も洗ってだ。そのうえで一緒にだった。
 マイクロバスに乗って登校した、そして部活に出てだった。
 僕は学校の授業に出て午前中を過ごした、けれど。
 僕は昼休みまで何もなくてだ、一緒に食べている八条荘の皆に言った。
「いつも午前中に来てくれたりするけれど」
「今日はなのね」
 イタワッチさんはカレーライスを食べながら僕に応えた、特大のお皿の上に御飯とルーがあって物凄い量だ。
「来ていないっていうのね」
「うん、それでお話したりするけれど」
「そういえば私達ってね」
 イタワッチさん自身も含めてだった、このことは。
「大家さんと会う時って」
「午前中の休み時間に来てくれたりするよね」
「お昼休みとかね」
「朝の登校前だったりするね」
「今度の人はまだなんだね」
 僕はこう言った。
「お昼にも来ないね」
「そうね、ただ」
「ただ?」
「今来てもおかしくないでしょ」
「まあね、お昼だしね」
 言われてみればそうだ、八条荘に来る人は本当に何時来てもおかしくはない。僕にしてもそのことはわかっているつもりだ。
「それはね」
「普通に考えられるでしょ」
「確かに。ただね」
「ただ?」
「今度の人は乗馬するみたいだね」
 畑中さんと厩のことを話したことをここで思い出した、僕は自分のお昼のきつねうどんを食べながらイタワッチさんに話した。
「どうやら」
「乗馬ね」
「イタワッチさんはバイクだけれど」
「乗るっていうと同じだけれど」
「馬は生きものだからね」
「そこが違うわね」
 イタワッチさんも僕に応えて言う。 
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