八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第十八話 馬に乗った女の子その二
「その様に」
「わかりました、では前川さんにもお伝えします」
「それで、しかし馬ですか」
「そうです、馬です」
「今度の方は馬に乗られるとなると」
そのことからだ、僕はこう言った。
「今度の方は活動的な方でしょうか」
「ご実家は牧場とのことです」
「牧場ですか」
「そちらから来られたとのことです」
「そうですか、牧場ですか」
「ニュージーランドから来られたとのことです」
その人の出身地もだ、畑中さんは話してくれた。
「そちらからです」
「ニュージーランド」
その国の名前を聞いてだ、エリザさんが言って来た。
「兄弟国」
「あっ、オーストラリアと」
「そう」
こう僕にだ、エリザさんの口調で答えてくれた。
「同じイギリス連邦の国で」
「オセアニアにあって」
「ずっと一緒にいるから」
「兄弟国でしたね」
「だから仲がいい」
エリザさんの国であるオーストラリアと今度入って来る人の祖国であるニュージーランドはというのだ。
「ずっと」
「本当に兄弟国なんですね」
「無二のパートナー」
こうも言うエリザさんだった。
「私も行ったことある」
「同じ英語の国ですしね」
「そういえば牧場といえば」
ここでこうも言ったエリザさんだった。
「心当たりが」
「あります?」
「羊が一杯いる牧場に行ったことが」
「いや、羊がいるのは」
テレサさんは羊と聞いてこう言った。
「ニュージランドだと普通じゃ」
「ニュージーランドは羊の国でしたね」
小夜子さんも言った、このことを。
「オーストラリアも」
「そうよ」
これがエリザさんの返事だった。
「羊はオーストラリアにも多いわ」
「そうですよね」
「ええ、ただね」
「ただ?」
「牛も多いわ」
こちらの動物もだというのだ。
「ニュージーランドよりも。割合として」
「そうですか」
「オーストラリア人はどちらのお肉もよく食べるわ」
羊も牛もというのだ。
「ただ、マトンの匂いで怒ることはないわ」
「そんなことで怒る人います?」
僕もマトンの匂いは知っている、けれどだ。
その匂いで怒るとかはだ、おかしな人でもないと思う。逆にそうした人がいるかどうかと興味を持った位だ。
「実際に」
「日本の漫画ではいたわね」
「いたんですか」
「マトンは匂いがするから食べないと言って」
「怒ったんですか」
「喧嘩していたわ」
「その漫画の登場人物理性ないんですか?」
そうとしか思えなかった、話を聞いていて。
「短気過ぎますよ」
「そうね、日本の料理漫画でね」
「そうしたキャラが出て来たんですか」
「そうなの」
「そういうのって作者の人間性が出ますからね」
漫画のキャラクターもだ、本当に作者の人柄が影響する。造物主のそれがだ。
「その漫画描いた人は」
「かなり感情的な人」
「理性を感じないですね」
どんな漫画か知らないけれどだ、そこまですぐに激怒して喧嘩するなんて普通はない。そんなキャラが出て来るとなるとだ。
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