八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第十八話 馬に乗った女の子その一
第十八話 馬に乗った女の子
エリザさんが来たその次の日にだ、僕は皆と一緒に朝食を食べている時に畑中さんにこうしたことを言われた。
「今日は今から厩を掃除しますので」
「厩ですか」
「はい、お屋敷にありますね」
「はい、敷地の端の方に」
僕は朝御飯のおかずのオムレツを食べながら応えた。
「ありますね」
「あちらをです」
「掃除されるんですか」
「そうします」
「そうですか、ただ」
ここでだ、僕は厩と聞いて目を瞬かせてこう畑中さんに言った。
「うちには馬もいないですし」
「はい、今は」
「それに馬に乗る人もいないですね」
「今のところはですね」
「今のところは、といいますと」
畑中さんのその言葉が気になってだ、僕はこう返した。
「これからはですか」
「馬が入ります」
「そうですよね、それで」
「今日また新たに入居される方がいまして」
「その人がですか」
「馬に乗られます」
そうだというのだ。
「ですから」
「厩をお掃除してですね」
「馬が入って」
そして、とだ。畑中さんは僕に話してくれた。
「そして馬に乗られる方もです」
「入居されるんですね」
「左様です」
「馬ですか」
「宜しいでしょうか」
「僕は馬のことは知らないです」
それも一切だ、馬がどういった生きものかは知っている。それでも馬を飼ったり乗ったりすることについてはだ。
「ですが畑中さんが飼育出来るのなら」
「私に任せて頂けますか」
「馬の飼育も出来るのですか」
「厩の番の方も今日から入られます」
「あっ、そうなんですか」
「はい、八条家の」
つくづく凄い家だとだ、僕は話を聞いて思った、まさか厩の係の人までいるとは流石に思いも寄らなかった。八条家の人間の僕でもそう思った。
「そちらの方も」
「そうですか」
「はい、では今日からその方も入られます」
「八条荘にですね」
「前川さんと仰います」
その馬番の人の名前も言ってくれた。
「その方がです」
「馬のことを全てですか」
「務めてくれます」
「ではその人にお任せします」
その前川さんという人にとだ、僕は畑中さんに応えた。
「宜しくお願いします」
「わかりました」
「はい、それでは」
僕も応えてだ、そしてだった。
あらためてだ、畑中さんにこう言った。
「馬も入ってですね」
「五頭入るそうです」
「五頭ですか」
「はい」
その入る馬の数もだ、畑中さんは僕に話してくれた。
「それだけの馬が入られます」
「五頭ですか」
「そうです、それだけ入ってもですね」
「いいです、厩のことは全部お任せします」
その前川さんという人にとだ、僕は畑中さんに答えた。
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