八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第十七話 不思議な先輩その十二
「だから」
「それで、ですね」
「そう、それにね」
それに加えてというのだ。
「オカルト研究会とかにも」
「幾つも掛け持ちするんですか」
「スカウトされたから」
そういった部活全てにというのだ。
「だから」
「ううん、入学早々スカウトされたんですか」
「それで なの」
僕達にその淡々とした調子で話してくれる。
「入部届けを幾つか出してきたわ」
「そしてその全部の部活をやっていくんですね」
「楽しみたいわ」
そうした幾つもの部活を、というのだ。
「そうしていきたいわ」
「わかりました」
僕はエリザさんのその言葉に頷いた、そうしてだった。
そのうえでだ、こうエリザさんに言った。
「じゃあ頑張って下さい」
「頑張るつもりはないわ」
「じゃあ楽しまれるんですね」
「そうしていくわ」
これがエリザさんの返事だった。
「これから」
「わかりました、楽しまれて下さい」
「私は頑張らない」
このことも淡々とした調子で言った、どうもエリザさんという人の喋り方には感情がなくてそうした感じだ。
「ただ。楽しむだけ」
「そうなんですね」
「楽しみたいことを楽しむ」
こうも言った。
「そうしていくわ」
「それじゃあ」
「ええ、それと」
話が一段落したところでだ、エリザさんはこうも言った。
「晩御飯。何時でもいいから」
「はい、何でしょうか」
すぐにだ、小野さんがエリザさんに応えた。
「何かありますか」
「今度。鰐を食べたい」
料理の注文だった、ただその注文はこうしたものだった。
「それとカンガルーと」
「鰐かカンガルーですか」
「そう」
こうぽつりと言ったがだ、僕も他の皆も鰐やカンガルーと聞いて驚いた、美沙さんと円香さんがすぐにエリザさんに言った。
「あの、そういうのは」
「ないですが」
否定の言葉だった。
「鰐とかカンガルーなんて」
「オーストラリアなら知らないですが」
「ここは日本ですから」
「ありません」
「いえ、あります」
ところがだった、小野さんはエリザさんにこう即答した。
「では通販で仕入れてきますので」
「お願いします」
ぺこりと頭を下げてだ、エリザさんは小野さんに頼んだ。
「それでは」
「はい、鰐はステーキですね」
「それでお願いします」
「それとカンガルーも」
「是非」
ぽつりとした調子はそのままだった。
「そちらも」
「わかりました、カンガルーも仕入れて料理しますので」
「その様に」
「というかあるんですか、鰐の肉とか」
「カンガルーも」
美沙さんと円香さんは驚きながらその小野さんに問うた。
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