八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第十六話 ある晴れた日にその四
「安心してね」
「うん、それならいいよ」
「いや、いじめられなくなったし」
ルチャ=リブレについてだ、モンセラさんはさらに話してくれた。
「強くなったしいいこと尽くめよ」
「それは何よりだね」
「私ずっとやってるから」
「今もだね」
「これからもよ」
話は未来にも移っていた。
「やっていくわ」
「そういうことだね」
「それじゃあね」
「宜しく頼むわね、あとね」
「あと?」
「私のレスリングの時の衣装だけれど」
その話になった。
「言っておくれどレオタードとかじゃないわよ」
「水着でもないよね」
「ええ、登場時はマントを羽織ってね」
そしてというのだ。
「黒尽くめで半ズボンで仮面よ。頭には帽子で」
「何かそれって」
「ゾロみたいでしょ」
「うん、モデルにしたの?」
「実はね」
そうだったとだ、こう僕に話してくれた。
「アラン=ドロンがよかったから」
「また古い人出すね」
親日派で有名な俳優だった、格好良さの中に哀愁も含ませた実に魅力的な俳優だった。怪傑ゾロも確かにしていた。
「あの人の映画を観てなんだ」
「子供の頃にね、それでなのよ」
「ルチャ=リブレの衣装にしてるんだ」
「それをさらに派手にしたのよ」
そのゾロの服をというのだ。
「何か日本の女子プロレスってブルマ?」
「あの体操服?」
「それ着てやることもあるのよね」
「あるの?」
逆に僕がだった、モンセラさんのその話に怪訝な顔で返した。
「そんなこと」
「あれっ、そうじゃないの?」
「初耳だよ、それ」
そうした話はだ、本当に。
「そんなことあるのかな、日本の女子プロレスって」
「あるって聞いたけれど」
「僕女子プロレスは観ないから」
プロレスはそれなりにだ、みちのくプロレスが結構お気に入りだ。
「だから知らないよ」
「あっ、そうなの」
「けれどブルマなんてね」
「もう学校じゃ着てないわよね」
「うちの学校にもないよ」
「そうね、午後体育の授業出たけれど」
早速だった、タイミングがいいことに。
「ジャージとか半ズボンだったわね」
「それかスパッツだね」
「この学校って女の子の制服はミニスカートの娘が多いけれど」
「体操服はね」
「ジャージとか半ズボンなんだね」
「ブルマはないよ」
僕は保育園からこの学園に通っているけれど見たことは一度もない、昔はあったとか聞いているけれど確かめたことはない。
「誰も持っていないから」
「あれは穿くのはね」
「恥ずかしいんだ」
「最初日本のその話聞いてびっくりしたわ」
モンセラさんは明るいけれどホッとしている顔で言った。
「いや、本当にね」
「ブルマを穿くって思うと?」
「私そういうのはね」
ブルマはというのだ。
「駄目だから」
「ルチャ=リブレは肌の露出が多いよね」
「女子プロレス自体がね」
「それでもなんだ」
「だってあれ下着じゃない」
ブルマ、それはというのだ。
「どう見てもそうでしょ」
「まあそれはね」
僕も否定出来なかった、ブルマがショーツにしか見えないデザインであることは。よくあんなものを穿いて体育をしていたものだと思う。
ページ上へ戻る