八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第十六話 ある晴れた日にその二
「プロレスなのよ」
「ひいては」
「そういうことなの、実は今日もね」
「あっ、今日早速だったんだ」
「放課後プロレス研究会の人と一緒にトレーニングしたわ」
そうしたというのだ。
「それで汗流してきたのよ」
「そうだったんだ」
「やっぱり汗を流すとね」
いいとだ、モンセラさんは僕に爽やかな顔で話してくれた。
「すっきりするわ」
「確かにね、身体を動かすとね」
僕もモンセラさんのその言葉にその通りだと頷いて答えた。
「ストレス発散になるしね」
「よく寝られるわ」
「身体を動かすことはいいことよ」
モンセラさんはその顔のまま僕に答えてくれた。
「だから私このことでもプロレスが好きなの」
「運動にもなるから」
「ええ、それとこの学校ってどの部活も熱心に練習してるわね」
「うん、うちの学校はどの部もかなり真剣に活動してるよ」
多少ベクトルが違っている部活もあるにはあるけれど、その頑張る方向が。
「だからプロレス同好会もね」
「真剣に練習してるのね」
「そうなんだ」
「やっぱりやるからにはね」
「真剣にしないと怪我もするし」
このことはスポーツ全体に言えることだ、プロレスでもバスケでも。
「それに面白くないし」
「そうそう、全くね」
「だからね」
「それでなんだね」
「うちの学校は部活はね」
それこそどの部活でもだ。
「真面目にやるのがモットーなんだ」
「明るく汗をかくのね」
「そう、ただね」
「ただ?」
「暴力、いじめは厳禁だから」
このことは何があってもだ、八条学園では。
「暴力教師とかはね」
「八条学園でもいるでしょ」
「悪い奴は何処にでもいるよ」
それこそ人種や宗教、国家、組織に関係なくだ。悪人というものはそれこそどの場所にでも存在している。
「メキシコだってそうだよね」
「一杯いるよ、悪い奴なんか」
モンセラさんは口元を少し歪めさせて僕に答えた。
「数えきれない位」
「いい人もいればね」
「そうだね、いい人もね」
「悪人ばかりって場所もないけれど」
これもだ、悪人しかいない場所もそうはない。
「けれどね」
「悪人はここにもいるんだね」
「善人もね」
「だから八条学園もそうで」
「そう、暴力教師もいたし」
まずは過去形から述べた。
「そしてね」
「そうした教師はなのね」
「すぐに通報されて首になってないよ」
「成程ね」
「ただね」
「ただ?」
「いたことはいたよ」
このことは否定しなかった、僕も。
「おかしな先生もね」
「そうなのね」
「そしていじめもあったし今もね」
僕が知っている限りではない、けれど僕が知らないだけでということはそれこそこの学校には幾らでもあるから。
「多分あるよ」
「そうなのね」
「そうだよ、この学校は確かにいい学校だけれど」
「楽園じゃないのね」
「この世にあるからね」
それこそだ、北朝鮮の自称じゃあるまいし。
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