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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第十五話 テキーラの国からその十三

「そうして闘うのよ」
「覆面をしてコスチュームを飾って」
「そうしてですわね」
「そうそう、幸いこの学園プロレスもいいみたいだから」
 プロレス研究会だ、男子だけでなく女子のそれもある。
「そこに入るわね」
「プロレスねえ」
 今度言ったのはダエさんだった、どうも発音のせいかダオさんになったりする。僕の中では。そして本人の発音もそう聞こえる。
「あれ何ていうかね」
「何ていうか?」
「ダエは覆面被ってるレスラーはね」
 そのルチャ=リブレの人にしてもというのだ。
「悪役に見えるけれど」
「それね、実際ヒールはね」
「覆面の人多いわよね」
「ええ、ただね」
「ルチャ=リブレではっていうのね」
「ベビーフェイスも覆面被るから」
 そうなっているというのだ。
「普通にね」
「それがメキシコのプロレスなのね」
「私も被るわよ」
「あんたもなのね」
「そう、赤い格好いい仮面をね」
 つまり覆面を、というのだ。
「着けて闘うのよ」
「プロレスラーになるのね」
「プロじゃないけれどね」
 それでも、とだ。モンセラさんはダオさんと明るく話していく。
「私プロレスラーになるのよ」
「それでベビーフェイス?ヒール?」
 こう問うたのはテレサさんだった。
「どっちなの?」
「どっちもやってきたの」
 善玉も悪玉もというのだ。
「その都度その都度ね」
「変わってたのね、位置が」
「そうだったの」
 こうテレサさんにも話していた。
「私はね」
「成程ね」
「どっちにしても闘うスタイルは一緒なのよ」
「跳んだり跳ねたり?」
「そう、身体のバネを活かしてね」
 そうしているとだ、明るく笑って話すのだった。
「そうしてるの」
「そういえばあんたの体格って」
「小さいでしょ」
「胸は大きいけれどね」
 確かに大きい、小柄だけれど。
「背は小さいから」
「だからなのね」
「ええ、そうしたスタイルって思ったわ」 
 テレサさんはモンセラさんの特に胸を見ながら言った。
「胸が邪魔になりそうだけれど」
「胸は関係ないでしょ」
「あるわよ」
「プロレスに関係ないでしょ」
「女の子にはあるの」
 こう力説するのだった。
「だからあんたはね」
「私は?」
「その胸使って戦うんでしょ」
「それどんな技よ」
「どんな技か知らないけれど」
 言うテレサさん自身もだった、このことは。
「けれどね」
「それでもっていうのね」
「そうよ、あんたのその胸は武器よ」
「だからプロレスには関係ないわよ胸は」
「あるっていったらあるの」
 女の子には、とだ。テレサさんはあくまで力説した。
「私もそんなに自身ないわけじゃないけれど」
「うん、テレサ結構胸あるわよ」
「それでもあんた程じゃないからよ」
「胸のこと言うの?」
「全く、小柄で巨乳って」
 遂には口をへの字にさせてだった、テレサさんは憤懣やるかたないといった顔でモンセラさんを横目で見つつ腕を組んで言った。
「どれだけ恵まれてるのよ」
「プロレスやってて小柄は不利では」
「そういう問題じゃないんです」
 テレサさんは畑中さんにも力説していた、どうにも今度の入居者の娘は自分の意志に関わらず騒動を起こす娘だとだ、僕は言い合いを見つつ思った。


第十五話   完


                             2014・10・3 
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