| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第十五話 テキーラの国からその七

「実はね」
「インディカ米だと納豆は美味しくないんだ」
「お味噌汁もお刺身もね」
 そういったもので食べてもというのだ。
「卵焼きもそうね」
「お米を選ぶんだね」
「逆に炒飯とかにしたらね」
 そうした料理はというのだ。
「インディカ米の方がずっといいのよ」
「そこも違うんだね」
「そうよ、とにかく納豆はジャポニカ米よ」
 こちらの米で食べるべきだというのだ。
「和食にはね」
「成程ね」
「店長さんはお米に五月蝿かったのよ」
「だから納豆とかを食べる時は」
「ジャポニカ米だったのよ、ここで食べる御飯もね」
 そのジャポニカ米のこの朝御飯もというのだ。
「こうしたメニューだからこそ美味しいのよ」
「そうそう、ジャポニカ米の国って少ないのよ」
 ラブポーンさんも言って来た、メザシで御飯を食べている。
「日本と。日本からお米が伝わったチリ位じゃないの?」
「かなり少数派なんだね」
「台湾もそうだったと思うけれどね」
「他の国はだね」
「東南アジアの国は殆ど大抵インディカ米よ」
 ラブポーンさんの祖国タイやテレサさんの祖国フィリピンだけでなくだ、他の東南アジアの国々もというのだ。
「中国だってそうだしアメリカだってね」
「何か本当にジャポニカ米って少ないんだね」
「食べている人はね」
「ううん、美味しいんだけれどね」
「美味しいかそうじゃなくて元々の分布とか伝わったルーツの問題なのよ」
 そうしたことがあって、というのだ。
「だからね」
「ジャポニカ米の地域は少ないんだ」
「そういうことなのよ」
「じゃあ皆お米の好き嫌いあるのかな」
「ジャポニカ米も嫌いじゃないわ」
 この米もだとだ、ラブポーンさんは答えてくれた。
「けれど長年食べてきて親しみがあるわ」
「インディカ米に」
「そう、そっちの方がね」
 そうだというのだ。
「私的にはね」
「他の皆もかな」
「ええ、ワタシもネ」
「私もある」
「長い間食べてると身に着くから」
「それも当然でしょ」
 海外組の娘達が一斉に答えてくれた。
「インディカ米の方がいいわ」
「食べ慣れているある」
「そういうことでよ」
「どっちかっていったらそっちかしらね」
「ううん、そうなんだね」
 僕はあらためてジャポニカ米が少数派だと認識した。
「日本のお米の方が食べている人は少ないんだ」
「そうなのね、けれどね」
 詩織さんがここで言うことはというと。
「別にいいんじゃない?」
「別に」
「ええ、ジャポニカ米が美味しいのならね」
「それでなんだ」
「私達が好きなら」
 それならというのだ。
「別にいいでしょ」
「皆がインディカ米を好きならそれでよくて」
「別に何食べるな、って言われてないでしょ」
「うん、別にね」
「それならいいでしょ」
「僕達それぞれがそれぞれのお米を好きなら」
「食べものには好き嫌いがあるから」
 それこそ誰にでもだ。
「じゃあいいじゃない」
「そういうことなんだね」
「ええ、だからいいでしょ」
「ジャポニカ米を食べる人が少なくても」
「別にね」
 詩織さんはその納豆を御飯にかけてそのうえでメザシをおかずにして食べつつ僕に対して言ってきていた。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧