八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第十五話 テキーラの国からその六
「納豆にも梅干にも」
「うん、特に納豆にもね」
「やっぱりそうだよね」
「お豆が糸引いてたからね」
納豆のそのことを見てとだ、テレサさんも言う。今朝のテレサさんは緑と赤のかなり明るい色の制服姿だ。
「腐ってると思ったよ」
「やっぱりそうだよね」
「こんなの食べるのって思ったわ」
「それでよく食べたね」
「うん、店長さんが美味しそうに食べてるのを見てね」
それでだというのだ。
「それならって思って食べたら」
「美味しかったんだね」
「うん、御飯にかけてもね」
こう笑顔でだ、テレサさんは僕達に話してくれた。
「よかったわ、ただね」
「ただ?」
「納豆はフィリピンのお米には合わないのよね」
「そうそう、日本のお米って特別なのよ」
ラブポーンさんがその白い御飯を前にして言って来た。
「ジャポニカ米は」
「そうか、フィリピンだけじゃなくて殆どの国だと」
僕も気付いてこう言った、そのお米の違いに。
「インディカ米だからね」
「そのインディカ米の御飯にはね」
テレサさんもお話してくれた。
「納豆は合わないのよ」
「あのお米には」
「そうなのよ」
「ジャポニカ米じゃないと駄目なんだね」
「これね、多分納豆だけじゃないわよ」
「他の御飯のおかずにもなのかな」
僕はメザシを見つつ言った。
「ジャポニカ米じゃないと駄目なのは」
「はい」
いいタイミングでだ、小野さんが出て来て答えてくれた。
「実はそうなのです」
「やっぱりそうですか」
「和食はジャポニカ米から作られています」
「ジャポニカ米に合う料理や調味料なんですね」
「香辛料もです」
「それもですか」
「山葵や辛子、山椒といったものは」
こうした香辛料がというのだ。
「和食に合う様になっています」
「そういえばそうですね」
僕も言われてわかった、言われてみればだ。
「山葵にしても」
「調味料もですね」
「お醤油もお味噌も」
「左様なのです、日本の主食はお米ですね」
このことは言うまでもなかった、もう。
「そうですね」
「はい、何といっても」
「料理は主食があり」
「その主食からですね」
「形成されていくものですので」
だからだというのだ。
「日本の主食であるお米がジャポニカ米であるのなら」
「和食もですね」
「ジャポニカ米に合ったものになるのです」
「だからなんですね」
「納豆もです」
この食べものもだった。
「やはりジャポニカ米に合うのです」
「そうなるんですね」
「左様です、インディカ米で納豆を食べますと」
「これが今一つなのよ」
テレサさんは御飯の上に納豆をかけていた、いただきますをしてから皆それぞれ朝御飯を食べだしているのだ。
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