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オズのムシノスケ

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第十二幕その四

「もう大変なことになるわよ」
「悪用したら怖い力ですね」
「魔法よりもずっとね」
「だから偶然はですね」
「動かせることが出来てもね、人が」
 ドロシーもです、カルロス達に考えるお顔でお話します。
「使うべきじゃないわね」
「この上なく恐ろしいものだからこそ」
「それは駄目よ」
「絶対にね」
「そうですよね」
「人が持っていい力とよくない力があるのよ」
 それこそというのです。
「そして偶然がね」
「そうした力に他ならないですね」
「私もそう思うわ」
「そうなんですね」
「ええ、偶然は人が動かす力を持ってはいけないものの一つよ」
 あまりにも凄い力であるが故にです、そうしたことをお話しながらでした。一行は大学からエメラルドの都に向かうのでした。
 やがて草原が青からさっとです、緑に変わって。
 そしてでした、遠くにエメラルドの都が見えてきました。トトはその都を見て尻尾を振って皆に言いました。
「見えてきたね」
「ええ、そうね」
 ドロシーもトトに笑顔で答えます。
「旅に出て一番嬉しい時はね」
「都が見えて来た時だね」
「ええ、この時よ」
 まさに今だというのです。
「帰ったって思えてね」
「そうだよね」
「そしてね」
「うん、都に帰ってだね」
「また皆で楽しみましょう」
 都の中でもだというのです。
「そうしましょう」
「いつも通りね」
「今回もでしたね」
 ここで言ったのはカルロスでした。
「楽しかったですね」
「いやいや、家に入るまでがね」
「旅ですね」
「そう、だからね」
「まだ旅は続くんですね」
「そう、そしてだからね」
 それでだとです、さらに言う教授でした。
「楽しんでいこう」
「わかりました、それじゃあ」
 カルロスは教授の言葉に笑顔で頷いてでした。
 そうして一歩一歩楽しく進んでいきます、残りの旅も楽しみながら。その中でドロシーは皆にこうも言いました。
「御飯はね」
「都に着いてからですね」
「その時にしましょう」
 それからというのです。
「そして宮殿のお料理を皆で食べましょう」
「宮殿のですね」
「カルロスは何を食べたいのかいら」
 その宮殿のお料理のうちで、というのです。
「何でも食べたいものを言ってくれれば作ってもらえるわよ」
「ううん、そうですね」
 そうドロシーに言われてです、カルロスは少し考えてでした。
 それからです、こうドロシーに答えました。
「行ってから考えます」
「その時になのね」
「はい、今はまだ」
「考えられないのね」
「都に入ることだけを考えていて」
 それでだというのです。
「そこまでは」
「そうなのね」
「着いてからでいいですよね」
 何を食べたいか考えることは、と尋ねるカルロスでした。
「別に」
「ええ、いいわよ」
「それでしたら」
「その時に考えて」
「ご馳走になります」
「わかったわ、実は私もね」
 ドロシーにしてもと言うのです。 
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