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オズのムシノスケ

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第十二幕その五

「これといってね」
「考えていないんですね」
「ええ、宮殿で何を食べようか」
 そうしたことをというのです、カルロスと同じく。
「まだ考えていないわ」
「そうなんですね」
「全くね」
「じゃあ宮殿に入って」
「それからね」
「そういうことですね」
「まずは帰りましょう」
 エメラルドの都の宮殿にというのです。
「そうしましょう」
「それじゃあ」
「帰ったら」
 ボタン=ブライトもいます、今はちゃんと起きています。
「寝ようかな」
「また寝るのね」
「うん、寝ているとね」
 それでだとです、恵梨香に答えます。
「それで気持ちよくなるからね」
「寝ているだけで、よね」
「僕寝ることが大好きなんだ」
 それでだというのです。
「だから幾ら寝てもね」
「寝ることが好きなのね」
「大好きだよ」
「それで大学でもなの」
「気付いたら寝ていて」
 そしてなのでした。
「ずっと起きなかったんだと思うよ」
「ボタン=ブライトって本当に寝ることが好きなのね」
「食べることと寝ることがどっちも好きだよ」
「他のことは?」
「他のことって?」
「食べることと寝ること以外に好きなものはないの?」
「そう言われると」
 こう尋ねられてです、ボタン=ブライトの答えはといいますと。
「僕わからないよ」
「そうなのね」
「だって寝ることと食べること以上に楽しいことはないから」
「だからなのね」
「他に好きなことって言われるとね」
 それがというのです。
「僕わからないよ」
「わかったわ、そのことが」
「わかってくれたんだ」
「ボタン=ブライトの趣味は食べることと寝ることね」
「どっちも大好きだよ」
「それだったらね」
 それで、というのです。
「いいと思うわ」
「そうなんだ」
「ええ、私もどっちも好きだし」
「というか嫌いな人いないよね」
 カルロスも言います、食べること寝ることはというのです。
「それが出来るのなら」
「どっちが出来なくても困らないけれど」
「確かにそれが出来たら楽しいのだろうね」
 かかしと木樵はどちらも必要ありません、ですがそれを出来る皆が楽しめるのなら楽しいだろうと思い言うのでした。
「ずっとおしゃべりしていてもこれがまた楽しいけれど」
「食べなくてもずっと動けることもね」
「けれどそうしたことが出来るのならね」
「楽しまないと駄目だね」
「だからボタン=ブライトもですね」
 恵梨香はかかしと木樵の言葉を聞いてあらためて言いました。
「いいんですね」
「うん、そうなるよ」
「出来ることは楽しまないといけないからね」
 二人はこう恵梨香に答えました、黄色い煉瓦の道を進みつつ。
 そしてでした、皆は遂にでした。
 エメラルドの都に入りその緑の世界を進んでいってです、宮殿に入りました。そして宮殿の中でなのでした。 
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