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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第十四話 今度はメイドさん、本当に色々な人が来るその十二

「それでもなんだ」
「気に入ったからね」
「セーラーでいくんだ」
「私はね」
「わかったよ、それじゃあね」
「水兵さんね」
 セーラー服は海軍の兵隊さん、つまり水兵さんの服装からはじまっている。尚詰襟は陸軍の軍服が元だ。もっと言えばブレザーも軍服が元だ。
「それになるわ」
「それじゃあね」
「さて、それじゃあね」
 テレサさんはまた着替えた、再び右から左にくるりと一回転して。
 メイド服に戻ってだ、こう僕達に言った。
「晩御飯ね」
「本日は中華料理です」
 小野さんがここで言って来た。
「麻婆豆腐と野菜、卵のスープと家鴨の四川煮込みです」
「スープもですよね」
「はい、四川のものです」
 こう僕に答えてくれた。
「そちらにしました」
「全部四川なんですね」
「辛いものがいいと思いまして」
「唐辛子ですね」
「そこに山椒も加えました」
 それもというのだ。
「四川の味を再現してみました」
「成程、そうなんですか」
「そして御飯も炒飯にして」
 こちらもだった。
「四川のものです」
「炒飯が楽しみある」
 水蓮さんは特にこちらに注目して言うのだった。
「それを食べればわかるあるからな」
「中華料理の腕がですね」
「炒飯は中華料理のはじまりある」
「その通りです」
 小野さんも水蓮さんの言葉に応えて頷く。
「まさに」
「その炒飯頂くある」
「それでは」
「ふうン、炒飯が基礎なのネ」
 ジューンさんは今の二人の話を聞いて考える顔になって言った。
「中華ハ」
「知らなかったあるか」
「いや、言われてみれバ」
 どうかとだ、ジューンさんは水蓮さんに答えた。
「聞いたことあるヨ」
「そうあるな」
「中華街でもネ」
 そこで聞いたとだ、ジューンさんは言うのだった。
「そうした話言ってたヨ」
「その通りある、中華料理はある」
「炒飯がはじまりなのネ」
「それだけに食べたいある」
 そうして確かめたいというのだ。
「是非共」
「さて、どんな味なのカ」
 ジューンさんも楽しみだった、そのうえで。
 僕達はその四川料理を食べた、他の料理は確かに唐辛子と山椒の辛さが効いていた、けれど炒飯はそこまで辛くなかった。
 けれどだ、その味はというと。
「美味しいネ」
「そうあるな」
 ジューンさんと水蓮さんが言った。
「期待通りヨ」
「いい味ある」
 二人で言う、そしてだった。
 僕もだ、その炒飯を一口食べてから小野さんに言った。
「凄く美味しいです」
「有り難うございます」
「いや、やっぱり小野さんのお料理はいいですね」
「四川料理はあまり作ったことがないですが」
「あっ、そうなんですか」
「私は中華は広東料理がメインです」
 こちらだというのだ。
「ですから四川はです」
「これまではですか」
「あまり作ってはいません、ただ」
「ただ?」
「タイ料理はよく作ります」
 こちらはというのだ。
「ですから辛いお料理はです」
「得意なんですね」
「それでこうしたものかと思いましたが」
「うん、いい辛さよ」
 そのタイ人のラブポーンさんが答えた。
「これはね」
「それは何よりです」
「辛いものはね」
 そうした料理はとだ、ラブポーンさんは言うのだった。
「やっぱりここまで辛くないとね」
「ラブポーンさんは駄目なんだ」
「そう、甘いものは凄く甘くて」
 笑って僕にも答えてくれた。
「そうじゃないと駄目なのよ」
「それでお菓子は甘党なんだね」
「そういうこと、どっちも徹底的にね」
「それがタイ料理なんだね」
「暑いからね」
 タイの気候も関係していた、というか料理はその国の気候風土それに食材が作るから当然と言えば当然だ。
「そうなるの」
「そうなんだね」
「そう、何はともあれ食べようね」
 ラブポーンさんは麻婆豆腐をとても美味しそうに食べていた、その辛さと美味しさはタイ料理と比べても遜色なかった。


第十四話   完


                               2014・9・26 
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