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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第十五話 テキーラの国からその一

                  第十五話  テキーラの国から
 どんどん入居者の人が増えてくる、僕はこのことを実感していた。
 それで新しく入って来たテレサさんを迎えたうえでの晩御飯の後でだ、僕は書斎でこの日も畑中さんと話をした。
 僕は畑中さんと一緒に入った、するとここで。
 向かい合って座った僕達にだ、メイドの人が来てあるものを出して来た、それは。
「どうぞ」
「あれっ、これって」
「はい、ココアです」
 こう僕に答えてくれた。
「私が入れました」
「そうなんだ、そういえば」
 ここで僕はメイドさんを見た、メイドさんでもテレサさんとは違う人だ。
 長い黒髪に細面で整った顔立ち、白い肌に赤と黒のメイド服にしては変わったカラーリングのメイド服、その人を見て僕は言った。
「貴女ははじめてみますね」
「今日からこちらに入りました」
 メイドさんはにこりと笑って僕に答えてくれた。
「小柳といいます」
「小柳さんですか」
「はい」
 にこりと笑って答えてくれた。
「宜しくお願いします」
「やっぱり八条家の、ですか」
「はい、お仕えしています」
 畑中さんや小野さんと同じく、というのだ。
「父と共に」
「お父さんと、ですか」
「実は八条荘の運転手さんがです」
 その人が、とだ。小柳さんは僕に話してくれた。
「父です」
「そうだったんですね」
「そうです、宜しくお願いします」
「はい、こちらこそ」
「只今大学二年生です」
 年上だった、僕よりも。そういえば高校生より大人びていた。顔立ちだけでなくスタイルも。胸がかなり目立つ。
「八条大学文学部にいます」
「あっ、先輩ですか」
「そうですね、小学校、中学高校も八条学園ですし」
「じゃあ完全に先輩ですね」
「そうですね、義和様には」
「何か先輩に様付けされますと」
「いいんです、私は八条家にお仕えしている立場ですから」
 だからいいというのだ。
「それで」
「そうですか、それじゃあこれから」
 僕は小柳さんに応えて言った。
「お願いしますね」
「はい、義和様」
「小柳さんって呼ばせてもらいますね」
「何なら呼び捨てでも構いませんが」
「年上の人、しかも学校の先輩に恐れ多いですよ」
 僕は笑って小柳さんに返した。
「幾ら何でも」
「左様ですか」
「はい、じゃあ小柳さんと呼ばせてもらいます。それと」
 このこともだ、僕は付け加えた。
「様付けはいいですから」
「いえ、そういう訳にはいきません」
「私と同じ理由です」
 畑中さんが僕に言ってくれた。
「私達は八条家にお仕えしていますので」
「つまり僕が主だからですか」
「はい、ですから」
 それで、というのだ。
「様付けで呼ばせて頂きます」
「僕自身が言ってもですか」
「そうです、当主様が仰らない限りは」
 ご本家のだ、八条グループの総帥でもあり八条家の人間とはいえ分家に過ぎない僕から見れば雲の上の存在だ。
 その方がだ、直接言わなければというのだ。 
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