八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第十四話 今度はメイドさん、本当に色々な人が来るその一
第十四話 今度はメイドさん、本当に色々な人が来る
イタワットさんはその日のうちに入部届けを出した、そして昼休みの時に屋上で僕を含めた入居者の皆に自己紹介も含めて笑顔で言った。
「入部届は出したから」
「後は、ですね」
早百合先輩がイタワットさんに応えて言った。
「入部を認めてもらってから」
「入部届出したから入部じゃないのね」
「いえ、うちの学園はどの部も入部届を出せば」
「入部を認めてもらえるの」
「はい、そうです」
それが八条学園の習わしだ、もっと言えば校則にも書いてある。入部届を出せばそれでその生徒を特別な理由がない限り排除してはならないとだ。
「そうなります」
「そうよね、あと確か」
「確か?」
「一杉さんっていったわよね」
先輩のお顔を見ての言葉だった。
「そうよね」
「はい、一杉早百合と申します」
先輩はイタワットさんにさっきも名乗ったけれどあらためて名乗った。
「宜しくお願いします」
「三年生よね」
「そうです」
「じゃあ先輩」
日本語の口調を変えての言葉だった。
「宜しくお願いします」
「あれっ、敬語なの」
「日本、日本語では年上目上の人に敬語を使えってね」
ダエさんにもだ、イタワットさんは明るい笑顔で話した。
「そう教えられたから」
「それでなのね」
「そう、先輩にはね」
つまりここでは早百合先輩にというのだ。
「敬語よ、ちゃんとね」
「あんた意外としっかりしてるわね」
「礼儀作法はちゃんとしないとね」
それこそ、とだ。イタワットさんはダエさんに話す。
「バイク屋の娘だし」
「商売人の娘だから」
「そう、お店のね」
だからこそというのだ。
「礼儀作法はしっかりしてるわ」
「そういうことなのね」
「あんたそういうのはないのね」
「ダエ敬語駄目なの」
「使えないのね」
「そうなの、だからね」
それでとだ、ダエさんはイタワットさんに話す、
「ダエは誰にもこうなのよ」
「日本語で話す時は」
「ベトナム語ならまた違うけれど」
母国語では、というのだ。
「日本語はね」
「そういえばベトナム語も敬語なかったかしら」
「日本語みたいなのはないわよ」
どうも日本語の敬語は特別なものらしい。僕はイタワットさんとダエさんの話を聞いて思った。これも日本語の難しさの要因の一つではないかとも。
「だから日本語でもだし。ダエ自身ね」
「敬語を使う主義じゃないのね」
「そうなのよ」
「そういえばあんたそうした性格ね」
「失礼なこともしない様に気をつけてるから」
「それはいいことね」
「有り難う、とにかくこれからね」
ダエさんの方からだ、イタワトさんに笑顔出言った。
「宜しくね」
「こちらことね」
「バイク乗れるなんていいじゃない」
こうも言ったイタワットさんだった。
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