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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第十三話 バリ島からの女の人その十三

「いい人ならね」
「問題ないからね」
「民族に関わらずね」
「インドネシアって沢山の民族がいるのよ」
 ただ人口が多いだけではない、インドネシアは多くの島からなっていて民族も多い。そうした意味では複雑な国だ。
「それでそのそれぞれの民族の中にね」
「いい人と悪い人がいるものだね」
「そう、だからね」
 それでだというのだ。
「どの国の人でも関係ないわよ」
「いい人ならね」
「そうそう、ちなみに私はいい人じゃないかも知れないけれど」
 イタワットさんがここで言うことはというと。
「美人だからね」
「そこ自分で言うかな」
「言って悪い?」
「別にいいけれど、とにかくだよね」
「そう、これからね」
 あらためて言うイタワットさんだった。
「宜しくね」
「こちらこそね」
「機械、特にバイクのことは任せてね」
 とにかくバイクが好きらしくてまたこの話をするイタワットさんだった。
「好きだし詳しいつもりだから」
「それじゃあね」
「ただね」
「ただ?」
「車はまだ乗れないから」 
 このことはと言うのだった。
「私まだ十七だから」
「それはね、わかってるから」
 最初は何かと思ったけれどこうしたことは言うまでもなかった、それで僕も言うまでもないといった感じで返した。
「別にいいよ」
「十八になったらすぐに取るけれどね」
「インドネシアでも十八歳からなのかな」
 僕はこの辺りはよく知らないけれどとりあえずイタワットさんが車に乗れないことはわかった。けれどここでだった。
 イタワットさんは僕にだ、笑ってこうも言ってきた。
「法律的にはね」
「法律的にはなんだ」
「実は乗れることは乗れるのよ」
 技術的には、というのだ。
「けれど法律的にはね」
「そういうことなんだ」
「そのことは覚えておいてね」
「無免許だから運転はしないでね」
 僕はこのことは釘を刺した、大家として。
「若し警察に見つかったら大変だからね」
「そうよね、そのことは」
「日本の警察は優秀だからね」
 色々言われているにしてもだ、優秀なことは間違いないと思う。
「だから悪いことは、無免許運転以外でもね」
「しないことね」
「そのことは本当に気をつけてるね」
「わかってるわ、安心してね」
 笑顔で答えてくれたイタワットさんだった。
「私犯罪はしないから」
「そこは気をつけてね」
「神様に誓ってね」
 こう言った、けれど。
 その神様のことでもだ、イタワットさんは言った。
「ヒンズーの」
「ヒンズーって」
「バリ島はヒンズー教の島なのよ」
 イスラム教徒の多いインドネシアでも、というのだ。
「それで私もヒンズー教徒なのよ」
「何か色々だね」
「インドネシアはそうした国よ」 
 イタワットさんは笑顔で話してくれた、こうしてまた新しい人が来てくれた。八条荘はどんどん賑やかになってきていた。


第十三話   完


                          2014・9・19 
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