オズのムシノスケ
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第十一幕その四
「私は自分が何も知らないことを知ったのだよ」
「ものを知っていく中で、ですか」
「うん、そうだよ」
カルロスにもこう答えます。
「私は自分がわかったんだよ」
「自分が何も知らないことを」
「そういうことなのだよ」
「何かを知ってですか」
「知らないことがわかるのだよ」
「何かよくわからないお話ですけれど」
こう言ったのはカルロスだけではありません、恵梨香達他の四人もです。何かを知ってそれで自分が知らないことを知るということが。
「一体」
「そうよね」
「どうにもね」
「知って知らないことを知るって」
「どういうことなのかな」
「そのことを知るってことはそのことを知らなかったってことじゃないかい?」
教授が言うのはこのことでした。
「そうだね」
「あっ、そういえば」
「そうですよね」
ここで五人もこのことがわかりました。
「知らないからですよね」
「その知らないことを知るんですよね」
「それで、ですか」
「自分が知らないことも」
「そう、知ったのだよ」
そうだったというのです。
「私もね」
「そうですか」
「それで教授も」
「私は自分がわかったのだよ」
知らないということを知ったというのです。
「だから今もね」
「学問をされてですか」
「知っていかれてるんですね」
「そうだよ、ではこれからもね」
「はい、それで」
「学問を」
五人はその教授に言うのでした。
「続けていかれるんですね」
「ずっと」
「そうしていくよ、ではこの晩御飯を食べて」
そして、とです。教授はそのお野菜を食べてです。
デザートのさくらんぼのタルトも皆で食べて眠りました。そして朝に。
皆水浴びをして歯を磨いてです、綺麗になった後で朝御飯の日本のお粥を梅干で美味しく食べてでした。
そのうえで大学に向かいます、すぐにその大学fが見えてきました。
大学の多くの建物を見てです、カルロスは少ししみじみとした声で言いました。
「何か思ったよりも」
「冒険になったね」
トトがそのカルロスに応えて言います。
「そうなったね」
「オズの国の旅だね」
「そう、オズの国で旅に出るとね」
「最初考えていた以上にだね」
「冒険になるんだよ」
「これまでもそうだったし」
「今回もね」
そうなったというのです。
「けれどね」
「楽しめたっていうんだね」
「そうなったよね」
「うん、楽しかったよ」
実際にそうだったというのがカルロスの返事です。
「とてもね」
「それは何よりだよ」
「いや、本当にね」
「楽しかったよね」
「凄くね」
「そしてこの旅が終わっても」
この旅は確かにもうすぐ終わりです、けれどそれでもだというのです。
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