オズのムシノスケ
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第十一幕その五
「また次の旅があるから」
「その旅を楽しんで」
「そうして行こうね」
「それじゃあね」
こうしたことをお話してでした、そのうえで。
皆は次第に自分達から近付いていって大きくなっていく大学を見ました、そうしてその大学の正門に着いてでした。
皆で門を潜ってボタン=ブライトのところに来ました。するとです。
ボタン=ブライトは今も気持ちよさそうにすやすやと寝ています、お世話をしていた大学の職員さんに尋ねますと。
「ずっとなんですよ」
「寝ているのね」
「はい、一度も起きずに」
そうしてというのです。
「寝ています」
「ううん、この子らしいけれど」
それでもと言うドロシーでした。
「それでもね」
「それでもですよね」
「今回は特に寝ている時間が多いわね」
「そうですよね、私もそう思います」
「けれどそれもね」
その長い眠りもというのです、ボタン=ブライトの。
「これでね」
「これで?」
「終わるわ」
そうなるというのです。
「いいものを持って来たから」
「ジンジャー将軍のお家に行かれたんですよね」
「そう、そこでね」
そのバスケットの中からでした。
ドロシーは将軍から貰ったお菓子やジュースをどんどん出しました、それをボタン=ブライトの枕元に置いてです。
そうしてです、こう言うのでした。
「これでね」
「絶対にですね」
「起きますね」
「ボタン=ブライトはお菓子とジュース大好きだから」
それでと言う五人でした。
「これでね」
「起きてですね」
「そうして」
「これを食べてくれるわ」
そして飲んでくれるというのです。
「絶対にね」
「そしてですね」
「そうしてから」
「そう、起きて」
そうしてというのです。
「皆と一緒に遊べるわよ」
「じゃあ後はですね」
「この子が起きるのを待つだけですね」
「もうすぐ起きるわよ」
さしものボタン=ブライトもというのです。
「楽しみにして待ちましょう」
「それじゃあ」
「これから」
こうお話してでした、そのうえで。
皆はボタン=ブライトが起きるのを待ちました。すると暫くしてです。
それまでずっと寝ていたボタン=ブライトがでした、遂に。
目を覚ましました、そして言うことは。
「あれっ、ここ何処なの?」
「ふむ、起きたね」
「そうだね」
その彼を見てかかしと木樵が言いました。
「予想通りね」
「そうなったね」
「さて、それではね」
「起きたらね」
「あれっ、ドロシー王女に」
ボタン=ブライトは起きたてでぼんやりとした調子で言います。
「それにムシノスケ教授、かかしさんに木樵さんに」
「僕もいるよ」
トトは尻尾を振って答えます。
「それにね」
「確かその子達は」
「僕達のこと知ってるんだ」
「何処かで会ったかな」
「一度位ね」
「そういえばそうだったかな」
思い出したみたいに言うボタン=ブライトでした。
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