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オズのムシノスケ

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第十一幕その三

「机に座って本を読んだりノートに書いたりするだけじゃないんですね」
「それは学問のやり方の一つでしかないよ」
「あくまで、ですか」
「それだけだよ」
 そうだというのです。
「旅もそうだしね」
「その他にもですね」
「実験もそうだし」
 こちらもだというのです。
「それに人からお話を聞くこともね」
「学問ですか」
「あらゆることが学問だよ」
「そうだったんですか」
「学ぶことは広くて確かな形がないものだよ」
「ううんと、それじゃあ」
 教授の今のお話を聞いてです、カルロスはこんなことを言いました。
「ゼリーみたいなものですか、学問っていうのは」
「確かな形がないからだね」
「はい、そうでしょうか」
「そうだね、言われてみればね」
「ゼリーですか」
「うん、少なくとも四角四面のものじゃないよ」
 決まったものではないというのです。
「そうしたものだよ」
「そうですか」
「私もそのことがようやくわかってきたかな」
「教授も」
「学問に終わりはなくて」
 そしてだとです、教授のお話は次第にしみじみとしたものになってきました。
「何時までも続くもので」
「だから教授もですか」
「ずっと学んでいくよ」
「オズの国で一番の物知りなのに」
「一番になってもそこから先があるんだよ」
 この世には、というのです。
「ずっとね」
「一番で終わりじゃないんですね」
「この世にはゴールがあるものとないものがあってね」
「学問はですか」
「終わりがないんだよ」
 そちらになるというのです。
「だから私はこのままね」
「進まれるんですね」
「そうしていくよ」
「そうですか」
「ずっとね」
「教授も変わったね」
「そうだね」
 かかしと木樵は食べませんが今も皆と一緒にいて笑顔を見ています、そのうえで二人でこうしたことを言うのでした。
「昔はもっとね」
「知ったかぶりなところがあったけれど」
「それがね」
「変わったよね」
「自分が何も知らないことを知ったからだよ」
 教授は二人に笑って答えました。
「私がね」
「だからだね」
「変わったんだね」
「オズの国は色々な人や種族がいる国で」
 そしてというのです。
「かつて死の砂漠の外にあった国々も色々とあって」
「そうした国や人の存在を知って」
「それでわかったというんだね」
「その通りなのだよ」
 教授にとってオズマと並ぶ古い友達の二人に答えるのでした。
「私もね」
「オズの国は色々な人がいるからね」
「部族もね」
「リンキティンク王達もオズの国に入って」
「そうしてね」
「そうしたことを知っていってね」
 その知っていく中でというのです。 
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