八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第十二話 気さくなタイ人その十四
「だからネ」
「自信があるあるよ」
「そうよね、私も大丈夫だから」
それで、というのだ。
「気兼ねなく宜しくね」
「ではお願いしますね」
一番年上の早百合先輩がラブポーンさんに挨拶をした、あらためて。
「これから」
「こっちこそね、あと私敬語使わないから」
「どうしてでしょうか」
「苦手なの、使うことが」
それで、というのだ。
「書くことは出来るけれど」
「お話することはですか」
「何か出来ないのよ、気分的に」
そういえばそんな感じだ、ラブポーンさんは誰にも明るくて気さくだ。そしてその気さくさ故にということだと僕は思った。
「御免ね」
「ダエはそうしたスタイルだけれどね」
「私はそれで使えないのよ」
「それならいいですよ」
早百合先輩があっさりと認めた、ラブポーンさんが敬語を使わないことも。
「私達は同じ八条荘の住人ですから」
「年上の人にはさん付けでいくから」
「じゃあ僕もなんだ」
「大家さんって呼んでいいかな」
僕にはこうだった。
「それで」
「いいよ、じゃあね」
「うん、それじゃあ大家さん」
あらためてだ、ラブポーンさんは僕をこう呼んでくれた。
「宜しくね」
「これからもね」
「さて、ムエタイと料理ね」
この二つについてもまた言うラブポーンさんだった。
「どっちも楽しまさせてもらうよ」
「タイ料理も美味しいのよね」
詩織さんが微笑んで言う、タイ料理について。
「辛くて味がはっきりしてて」
「あの辛さがいいのよね」
「そうなのよね」
「そっちも楽しみにしていてね」
ラブポーンさんは流暢な日本語のまま話していく。
「作っていくから」
「お料理でしたら私が」
小野さんがラブポーンさんに言う。
「作りますので」
「あっ、シェフさんだから」
「はい、タイ料理も作ることが出来ます」
「じゃあ私が時間のある時とかお手伝いかな」
「そうなるでしょうか」
「じゃあその時にお願いね」
「気が向いた時に来られて下さい」
つまり何時でもというのだ。
「歓迎致します」
「それじゃあね」
「さて、これで入居者の方は十一人ですね」
畑中さんが言って来た、今度はこの人だった。
「それではです」
「それではっていいますと」
「通学はマイクロバスのままで」
「いくんですね」
「二十人以上でもいけますね」
マイクロバスなら、というのだ。
「そうですね」
「そうですね、マイクロバスでしたら」
僕もマイクロバスのことは知っている、あれならだった。
「いけますね」
「それじゃあそれでお願いします、ただ」
「ただ、とは」
「いえ、皆はともかくとしまして」
「美和様はですか」
「普通に歩いて行けますけれど」
八条荘から学園までとだ、僕は畑中さんに答えた。
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