八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第十二話 気さくなタイ人その九
「人にはどうにも出来ませんわ」
「人間にはですか」
「人間の力は知れていましてよ」
「人間のそれは弱いです」
力、それはというのだ。
「ですからこうしたことは」
「どうにもなりませんか」
「特に甲子園は」
この球場はというと。
「魔物、カーネル=サンダースの怨霊の力があまりにも強いので」
「どうにもならないのですか」
「はい」
こう言うのだった。
「一人や二人の術者では」
「どうしてもですか」
「何も出来ません」
とても、というのだ。
「百人集まろうとも」
「魔王だな、まさに」
留美さんも横で聞いていて言う。
「その力は」
「はい、おそらくですが」
ここで円香さんが言うこととは。
「役小角か安倍晴明、空海上人位の力の持ち主でないと」
「あの、その人達って」
美沙さんはその人達の名前を聞いて言った。
「日本の歴史でも相当な力の持ち主よね」
「その通りですわ」
「そんな力がないとどうにもならないのね」
「残念ですが」
円香さんの言葉は暗かった。
「どちらも相当に強いので」
「それだけの強さとなるとだ」
魔物達の強さについてだ、留美さんはこう評した。
「九尾の狐か酒呑童子位か」
「そうなりますわね」
「どちらも日本において最大最悪と言っていい妖怪達だが」
「魔物もカーネル=サンダースも人を殺めることはしませんわ」
そうした怨霊ではないというのだ、僕は円香さんの話を聞いていてそうした妖怪もいるのだと思った。そう思いながら聞いていた。
「しかし阪神に祟る力は」
「魔王に匹敵するか」
「はい」
その通りだという返事だった。
「魔王の域に達した強さですわ」
「何でそんなのが二人も憑いてるのよ」
とても嫌そうに言う美沙さんだった。
「阪神には」
「人ですか?どちらも」
「そうなるんじゃないの?よくわからないけれど」
美沙さんは自分に問い返して来た千歳さんにこう返した。
「怨霊も魂でしょ」
「はい、魂が怨念で凝り固まってですね」
「なるからね」
それが怨霊だというのだ。
「だからそうなるんじゃないの?」
「そうなりますか」
「その辺りはあたしもよくわからないけれどね」
それでもというのだ。
「そうなるんじゃ」
「そこは難しいところですか」
「まあとりあえずどっちもね」
「強いんですね」
「怨霊としてね」
「せめて巨人に祟って欲しいですね」
「だよな、そこは」
美沙さんは千歳さんの今の言葉にも頷いた。
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