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インフィニット・ストラトス ―蒼炎の大鴉―

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臨海学校2日目

朝5時半に目が覚める。起床時間まで時間があるので勉強をする。

2日目は各種装備試験運用とデータ取りがあり、レイヴン社から俺や簪に新装備が送られることになっていた。

6時半、そろそろ準備をするべきか。

顔を洗い、髪型を整えてから着替える。

それからは食事、そしてすぐ集合になる。

俺は少し早めに集合場所に行った。それからぞろぞろと集まり始め、集合時間にはボーデヴィッヒ以外の全員が集まった。

そして5分遅れてボーデヴィッヒが来た。寝坊したらしい。

「ようやく集まったか。おい、遅刻者」

「は、はい」

「そうだな。ISのコア・ネットワークについて説明してみろ」

「は、はい。ISのコアはそれぞれが相互情報交換のため(ry」

「流石に優秀だな。遅刻の件はこれで許してやろう」

九死に一生を得たな、ボーデヴィッヒ。

「さて、それでは各班ごとに振り分けられたISの装備試験を行うように。専用機持ちは専用パーツのテストだ。全員、迅速に行え」

はーいと一同が返事する。

「ああ、篠ノ之。お前はちょっとこっちに来い」

「はい」

なんだ?

「お前には今日から専用…」

「ちーちゃ~~~~~ん」

なんだあの砂煙は。バッファローの群れか

「…束」

「やあやあ、会いたかったよ、ちーちゃん!さあ、ハグハグしよう!愛を確かめ…ぶへっ」

スゲーアイアンクローだ。

「うるさいぞ、束」

「ぐぬぬぬぬ…相変わらず容赦のないアイアンクローだね」

あれから抜け出した!?

篠ノ之束(?)と思われる人物は篠ノ之の方を向く。

「やあ」

「…どうも」

「えへへ、久しぶりだね。こうして会うのは何年ぶりかなぁ。おっきくなってね、箒ちゃん。特におっぱいが」

ゴギャ

「殴りますよ」

「な、殴ってから言ったぁ…。しかも日本刀の鞘で叩いた!ひどい!箒ちゃんひどい!」

あれ絶対嘘泣きだよな…

「え、えっと、この合宿では関係者以外…」

「んん?珍妙奇天烈なことを言うね。ISの関係者と言うなら、一番は私をおいて他にいないよ」

「えっ、あっ、はい。そ、そうですね…」

やっぱり篠ノ之束か。

まぁどうでもいい。大方、妹に会いに来た程度だろう。自分の作業に戻ろう。

試験装備は…、背部大型ブースターユニットに大出力ビームスマートガン、分裂型高速VTFミサイル、リフレクタービット…それにこれは対軍用機用リミッター解除プログラムか。

軍用機は競技用より遥かに火力が高く、シールドエネルギーも桁違いだ。それに対抗するためのものだろう。おそらく、ウチの技術者が万が一の事態に備えて付けたものだと思われた。

とりあえず全てインストールする。まぁ15分で終わるだろうな。

そういえば簪はどんなものを送られたんだ?

「簪、お前は何をもらった?」

「…和也くんと同じジェネレーターユニットとビームアサルトライフル…」

ジェネレーターか…。それにビームアサルトライフル…、新型か。

「これで稼働時間は大幅に伸びるな」

「…うん…」

いつの間にビームアサルトライフルなんてものをウチは作ったんだ?

「やあ、イレギュラーくん」

突然背後から話しかけられる。

「これはこれは篠ノ之束博士。僕のような者に何の用です?」

「君の機体のことで話があるんだよ。ちょっと来てくれるかな?」

「いいですよ」

俺と篠ノ之束は旅館の裏に来た。

「単刀直入に聞くよ。そのISのコア、私の作ったものじゃないね?」

「よく分かりましたね。その通りですよ」

「この束さんにかかればそんなこと朝飯前だよ」

「それで、この機体をどうしたいんです?」

「少し調べさせてくれるだけでいいよ。でも束さん驚きだよ。まさか私以外がコアを作るなんてさ」

「偶然作られたものと聞いています。それがたまたま男に使えるものだった。それだけです」

「かなり独特なフラグメントマップを構築してるね。いっくん以上に。やっぱり私が作ったものじゃないからかな?」

「やっぱり僕がこれを使えるのもそれに関係が?」

「たぶんそうだろうね。それにしても面白い機体だね。性能は束さんの作った紅椿にも劣らない。特に機動性は遥かに上回っている。火力も桁違いな上に防御力は水準値を維持している。それを支えているのが核融合炉か」

「核融合炉は元々、社内発電機として作ったものを流用したと聞いています」

「確かにそういう痕跡があるね。それにこのリミッター解除プログラムも興味深いね」

「これでも御曹司ですから、有事に僕を守るために積んだと思われますね」

「面白いね。束さんもこれを紅椿に積めば良かったなあ」

「そういえば、紅椿もかなり立派な機体ですね。あらゆる点で既存の機体を大きく上回っている。ただ、燃費が悪い点が欠点でしょうか」

「そのへんはワンオフアビリティで補えているんだなあ」

「ほう…」

「ま、教えないけど」

ガクッとなりそうになる。そこは教えるのが筋だろうに

「データをもらったお礼にインストール中のデータを全て処理しておいたよ」

流石は天才と言ったところか。

「ありがとうございます」

社交辞令的なお礼を言う。

「じゃあね~」

さて、戻るか。

戻ると簪がビームアサルトライフルの試射をしていた。

威力はビームライフルに若干劣るが速射性は優秀か。

「簪、そのライフル、どうだ?」

「…いい感じ」

ん?なにやら山田先生が慌てている。何事だ?

「全員注目!!」

やはり何かあったのか?

「現時刻よりIS学園教員は特殊任務行動に移る。今日のテスト稼働は中止。各班、ISを片付けて旅館に戻れ。連絡があるまで各自室内待機すること。以上だ」

何がおきているんだ…

女子一同が騒がしくなる。

「とっとと戻れ。以後、許可無く室外に出たものは我々で身柄を拘束する。いいな」

「は、はい」

女子一同は片付けを始める。

「専用機持ちは全員集合しろ。織斑、オルコット、デュノア、ボーデヴィッヒ、凰、黒鉄、更識。それと篠ノ之も来い」

「簪、行くぞ」

「…う、うん…」



俺含む専用機持ちは旅館の大座敷に集められた。

「現状を説明する」

設置された大型ディスプレイが稼働した。

「2時間前、ハワイ沖で試験稼働にあったアメリカ、イスラエル共同開発の第三世代型の軍用IS[シルバリオ・ゴスペル]が制御下を離れて暴走。監視空域より離脱したとの報告があった」

軍用ISが暴走…?何があった…

「その後、衛星による追跡の結果、福音はここからニキロ先の空域を通過することがわかった。時間にして50分後。学園上層部からの通達により、我々がこの事態に対処することとなった」

まだ時間はある…か

「教員は学園の訓練機を使用して海域の封鎖を行う。よって、本作戦の要は専用機持ちに担当してもらう」

そういうことか…

「それでは作戦会議を始める。意見があるものは挙手するように」

「はい」

オルコットが挙手する。

「目標ISの詳細なスペックデータを要求します」

「わかった。ただしこれらは2ヵ国の最重要軍事機密だ。けして口外はするな。情報漏洩した場合、諸君には査問委員会による裁判と最低でも2年の監視がつけられる」

「了解しました」

データが開示される。高機動高火力の機体、オールレンジ攻撃も可能か。

「広域殲滅を目的とした特殊射撃型…わたくしのISと同じくオールレンジ攻撃を行えるようですわね」

「攻撃と機動の両方に特化した機体ね。厄介だわ。しかもスペック上ではあたしの甲龍を上回ってるから、向こうの方が有利…」

「この特殊武装が曲者って感じはするね。ちょうど本国からリヴァイヴ用の防御パッケージが来てるけど、連続しての防御は難しい気がするよ」

「しかもそのデータでは格闘性能が未知数だ。持っているスキルもわからん。偵察は行えないのですか?」

「無理だな。この機体は現在も超音速飛行を続けている。アプローチは1回が限界だろう」

超音速飛行?時速何キロだ?

「それは時速何キロですか?速度によっては俺が出ます」

「マッハ2、時速にして2450キロだ」

なら十分やれる。

「それなら俺に任せてください。僕の機体は通常でマッハ4、大型ブースターユニットを装備し、さらにリミッターを解除すれば最高でマッハ12が出せます」

「…だが、それでお前の身体は保つのか?いくらISでもそれほどの速度を出せば搭乗者は相応の負荷を受けるぞ。それにそんなことをすればエネルギーがもたないだろう」

「なにも常時マッハ12で機動するわけではありません。あくまで最高速度が、って話です。それに俺の機体には武装、スラスター用の核融合ジェネレーターを積んでいます。エネルギー切れはおきません」

周囲の空気がかわる。当然だ。核融合炉を積んだISなど他にない。もし、それを軍事利用すれば間違いなく世界最強の兵器になる、それほどのものだ。

「なら任せよう。だが無茶をするなよ。IS学園の生徒に死者が出たらたとえ日本人であっても国際問題になりうる」

「わかってます」

一応保険はかけとくか

「それと、後詰めとして他の専用機持ちを戦闘空域付近に待機させておいてください。ジェネレーターはシールドエネルギーだけは回復できませんから」

「そういうことらしい。いいな?」

「はい」

他の全員が返事をする。

「待った待ーった。その作戦はちょっと待ったなんだよ~」

天井の板が1枚外れ、篠ノ之束が逆さに出てきた。

「山田先生、室外への強制退去を」

「えっ!?は、はい。あの、篠ノ之博士、とりあえず降りてきてください…」

「とうっ」

空中で1回転しながら着地。スタッという軽やかな音がなる。

「ちーちゃん、ちーちゃん。もっといい作戦が私の頭の中でナウ・プリンティング!」

「出ていけ」

山田先生が篠ノ之束を室外へ出そうとするが、躱された。

「聞いて聞いて!ここは断然、紅椿の出番なんだよ」

「なに?」

「紅椿のスペックデータを見てみて!パッケージがなくても超高速機動が出来るんだよ」

突然表れた数枚のディスプレイが織斑先生を囲う。

「紅椿の展開装甲を調整して、ほいほいほいっと。ほら、これでスピードはばっちり」

展開装甲?新装備か?

「説明しましょ~そうしましょ~。展開装甲っていうのはだね、この天才のさんがつ作った第四世代型ISの装備なんだよ」

第四世代型だと…。じょ、冗談じゃ…

「この紅椿でいっくんの白式を運んで零落白夜で仕留める方が安全だよ」

ふむ…。だが…

「しかし、いくら最強の機体でも篠ノ之は乗り換えたばかりです。今の話は機体性能を最大に引き出したことを前提としているはず。それは流石に盛りすぎです」

「その辺は問題ないよ。これまでの箒ちゃんの戦闘データは全て入れてあるから」

「…分かりました。ここは任せましょう」

「それにしてもアレだね~。海で暴走っていうと、10年前の白騎士事件を思い出すね~」

当時のことは保存された映像で見たことがある。白騎士事件では自衛隊に配備されていたレイヴン社の最新型ステルス戦闘機も参加していた。高コストだが性能は世界トップクラスとさえ言われたあの機体でさえISにはかなわなかったのだ。しかもそれに乗っていたのは日本最強のエースパイロット達だったという。

その後やり取りがいくらかあり、俺は"もしもの時"のために簪と一緒に戦闘空域付近での待機という形になった。

 
 

 
後書き
追加装備一覧

大型ブースターユニット
背面のウィングバインダーを外し、EX-Sのバックパックを取り付ける。機動性が2倍になる。

リフレクタービット
サイコガンダムMk-Ⅱのあれ。4基装備している。

ビームスマートガン
EX-Sのライフル。出力はZZのハイメガキャノンより上らしい

分裂型高速VTFミサイル
その名の通りの代物。射出後、一定距離接近でミサイルの外装が剥がれ、中から4基の高速VTFミサイルを発射する。

リミッター解除
発動すると機動性1.5倍、火力6倍、ジェネレーター出力5倍、シールドエネルギー18000になる。さらにナイトロと併用可能 
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