| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

インフィニット・ストラトス ―蒼炎の大鴉―

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

臨海学校初日

賑やかなバスの中で、ウォークマンを着けた俺は寝ていた。

多少うるさくても音楽を聞いていれば割りと寝れる。ちなみに俺が流しているのはロボットアニメOP.ED曲集だ。昭和、平成問わず気に入ったロボットアニメの曲が入っている。

「そろそろ目的地に着く。全員ちゃんと席に座れ」

その声で俺は目を覚ます。

ほどなくして目的地に着いたときには完全に覚醒していた。

4台のバスが止まり、各車両から1年生がぞろぞろ出てきて整列した。

「それでは、ここが今日から3日間お世話になる花月荘だ。全員、従業員の仕事を増やさないように注意しろ」

「よろしくお願いしまーす」

全員の挨拶

「はい、こちらこそ。今年の1年生も元気があってよろしいですね」

女将が返してくる。

「あら、こちらが噂の…?」

「ええ、まあ。今年は2人男子がいるせいで浴槽分けが難しくなってしまって申し訳ありません」

「いえいえ、そんな。それに、いい男の子たちじゃありませんか。しっかりしてそうな感じを受けますよ」

「黒鉄和也です。よろしくお願いします」

「感じがするだけですよ。お前も挨拶をしろ、馬鹿者」

織斑が頭を押さえられる。

「お、織斑一夏です。よろしくお願いします」

「ご丁寧にどうも。清洲景子です」

「不出来の弟や自分勝手な御曹司でご迷惑をおかけします」

ひでぇ…。そこまで言わなくても

「それじゃあみなさん、お部屋にどうぞ。海に行かれる方は別館で着替えられるようになっていますから、そちらをご利用なさってくださいな。場所がわからなければいつでも従業員に訊いてくださいまし」

はーいと答えて、女子たちは各々の部屋に入っていく。

「そういえば俺の部屋は?」

「お前は個室だ。お前なら容易に女子を入れないだろうからこうした」

「俺はってことは織斑はどうなんです?」

「あいつの場合は女子が押し寄せるから私との相部屋だ」

「なるほど」

「お前は教員区画の一番端だ」

「わかりました」

俺は自分の部屋に行く。

部屋は1人で使うには広かった。とりあえず荷物を置く。

さて、これからどうするか

俺は暑いのが苦手だ。正直なところ、出たくない。よし、勉強しよう。受験生に遊ぶ時間などないのだ。

勉強道具を取り出していざ勉強しようとすると織斑先生が入ってきた。

「勉強熱心なのは関心するが、こういう時くらいはコミュニケーションをとれ」

「いや、俺暑いの苦手なんで…」

「いいな?」

ヤバい。従わないと殴られる。

「…わかりました」

とりあえず海パンと以前遊びで作った狙撃用大型水鉄砲とタンクを持ち出す。バッテリーは充電済みだ。

着替えは一番奥の更衣室だったな。途中で女子更衣室を横切り、黄色い声の会話が聞こえるが無視する。

ここだな。更衣室でズボンとパンツ(トランクス)を脱いで海パンを履く。シャツも脱ぎ、全て簡単に畳んでロッカーに入れた。

日焼け止めを塗り、水鉄砲とタンクを担いで更衣室を出る。

あ"~暑い…。とりあえず水を確保しよう。

ちょうど水道がある。俺はタンクに水を注ぐ。タンクは25L入るので、限界まで入れるにはそこそこ時間がかかるのだ。

40秒ほどで満タンになった。

25kgのタンクは重いが、背中に背負えば少しは楽になる。

適当な日陰に入り、タンクと水鉄砲をチューブで繋ぐ。

流れ着いたと思われるかい木片発見。膝立ちで水鉄砲を構え、狙い撃つ。

ジュビビビビ

直撃した。

そして木片は水圧で僅かに動いた。

「…和也くん…何してるの?」

「ん?簪か。見ての通り水鉄砲撃ってる」

「…貸して…」

「いいけどこれ、結構重いうえに反動が大きいぞ」

「…構わない…」

「ならやってみろ」

俺は水鉄砲を簪に渡す。

「…重いね…」

「言った通りだろう。それ確か12kgはあるから」

だが簪も俺と同じように膝立ちで構えて、さっきの木片を撃った。

「…すごい…!」

威力の高さに感動したのか。

それにしても…、水着姿の簪も可愛いなあ。思わず抱きつきたくなる。

「そういえばなんでここに来たんだ?遊び相手は他にもいるだろうに」

「…彼氏のところに来るのに理由が必要…?」

すごいカウンターだ。

「いや、いらないよ」

「…なら…いいよね…」

「好きにしろ。あと水着、似合ってるぞ」

「え…う、うん…ありがとう…」////

仕返しだ。

「まだ水はあるし、しばらくこれで遊ぶか」

岩場の穴を見つけたので、そこを狙い撃つ。

水は針の穴を通すように穴に吸い込まれていった。

今度は簪に水鉄砲を貸す。

簪は同じように穴を狙い撃った。

しばらくいろんなものを順番に撃っていると、のほほんさんが来た。

「てっつー、かんちゃん何してるの~?」

「暑いの苦手だから日陰から自作の水鉄砲で狙撃してる」

「…私は和也くんと一緒にいるだけ…」

「面白そう~。貸して」

「絶対人に向けるなよ。それはただの水鉄砲じゃないからな」

「わかった~」

ジュビビビビ

水が明らかに人がいる付近を通過する。

「人に向けるなって言ったよな」

「…本音は射撃が下手なだけ…」

「簪…、そういうことは先に言ってくれよ」

のほほんさんから水鉄砲を取り上げながら言った。

「…ごめん…さっきまで忘れてた…」

「いいんだが、被害が出てからじゃ遅いからな」

今度は沖のブイを狙い撃つ。ギリギリ届いた。

「もう水がないな。補給してくるかな」

「…それより他のことしたい…」

簪にはつまらなかったか。

「わかった。ちょっとこれ片付けてからな」

俺は空のタンクと水鉄砲を担いで更衣室に行き、置いてから簪のところに戻る。

「お待たせ」

「…早く行こ…」

以降は大体海で泳いでいた。なんか凰が溺れていたりしたが、どうでもいいことだ。

あと、海の家のラーメンが割りとうまかった。


そして夕飯の時間。俺は端っこの席に座り、隣に簪が座った。

「このカワハギ…なかなかいいものを仕入れているな」

私生活でいいものを食べてきた結果、かなり肥えた俺の舌がいうんだ。間違いない。

「小鍋も食材の一つ一つが選び抜かれたものだな。ここのこだわりが見えてくる」

なんだこの孤独のグルメは…。俺はいつの間に井之頭五郎になったんだ?

「…和也くん…何か五郎みたい…」

簪からも言われた。

「俺自身そう思ってたところだ」

織斑の付近が騒がしいが気にしない。

「…気持ちはわかるよ…」

「そうか」

鍋のだしは何を使っているんだ?昆布はわかるが…

なんだかんだで食べ終わった俺に残されたのは、満腹感と鍋のだしに何を使ってたのかという疑問だった。


部屋の風呂で適当にシャワーを浴び、勉強を始める。こういう日に勉強をしたかが、受験の結果を左右するのだ。それに俺はただ合格するだけではだめだ。あくまでも首席合格。次席以下など論外だ。

コンコン

ノック音が聞こえるが関係ない。俺は勉強中だ。

「…和也くん…いる…?」

簪のようだ。出ることにする。

「どうした?」

「…一緒にトランプしようと思ったんだけど…」

「悪いが今勉強中だ。また今度にしてくれ」

「…うん…ごめんね…邪魔しちゃって…」

「謝るほどのことではないさ」

簪は戻っていく。正直なところでは遊びたかったが、今は忍耐の時期だ。

その日は0時まで部屋してから寝た。



 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧