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聖魔弾の銃剣龍神皇帝と戦姫

作者:黒鐡
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第2巻
  山頂の道×ミラと遭遇

一歩進むごとに、足元から重い音が響く。空は灰色で地面はほぼ真っ白な状態だ、雪道としてではない道ではあるが俺は雪道を進んでいた。今回はハンドガンじゃなくて猟銃であるショットガンを持っている。まあこういうのも悪くはない、たまに雪道での訓練をする時があるからか雪道でも慣れた足取りで歩いていた。格好からして戦闘服に顔は隠していない状態だ、冷気を感じないのはエアコンスーツ着用している。人間の周囲の気温を調節し、暑い環境や寒い環境でも活動できる、極地環境でも効果を持つ服を着ているからだ。神の力ではなく、ある道具を改良した服なのでこんな雪道でも寒くないしヘルメットは現在の位置を示している。本来のストーリーでは単独で雪道を歩くリュドミラと遭遇するからだ。

「ティグルは私を単独で行動しないと止めたはずなのに、自分が行くというのか?」

「雪道に慣れているし、防護服もいらない。見つかったとしても人間の記憶操作で遭遇してないと思い込ませる。山道以外の山頂に辿り着ける道を俺が知っていると言ったらどうする?」

「知っている道があると?」

「知っているかは分からないが、この目で確かめに行くだけだ。エレン単独で行くと死ぬ確率が高いだけだ、こういうのは大人の対応に任せろ。それとしばらく頭を冷やしていろよな。リム、俺が戻るまで見張っていろよ」

そう言った後に、俺は山道じゃないところを歩いている。今日で三日目というのは腕時計で分かるし、今どの位置にいるかは把握している。それに食料はまだあるし水もあるから問題はないが、一応猟銃持ってきたからな。時間はあまり気にしていない、神国に索敵レーダーや網をあの時テナルディエ軍以来ずっと網をかけている。反応があればディフェンスモードレベル5からドームディフェンスモードとなり、ブリューヌのマスハスがいるオード地方とオージュがいるテリトアール地方の辺りも領土を広がっているはずだから大丈夫と言いたい。

遠くにキツネを発見した、大きさは50センチほどではあるが手土産の一つに撃っとくかと思いショットガンを向ける。弾は追尾型にしているから、もし逃げても追って来る仕組みとなっている。一見普通のショットガンに見えるが、これは偽装コーティングをされたIS用武器のショットガンだからな。IS用の武器を素手で持てるのは俺一人だけだ。キツネからの距離は、約200mだから大丈夫と思い撃った。逃げたが、すぐに死んだとされたが何かがおかしいと感じたからだ。倒れ方が不自然だったが、狐の近くに寄ってみるとショットシェルが当たった穴と一本の矢があったからだ。その時人の気配を感じたらそこにリュドミラがいた。ビンゴと思いながら、こちらにやって来るリュドミラだった。

「あなたはヴォルン大公!どうしてこんなところに!」

「気晴らしをするためだ、他に何をやるというんだ?」

「あなたは寒くないの?どう見ても軽装に見えるんだけど」

「俺は平気だ、それにリュドミラだって同じようなもんだろう?ラヴィアスで冷気を遮断しているから、そんな軽装なのだろう」

「そう。それよりあなたが撃ったのはそれかしら?見た事ない武器ね」

「そうだ。ちなみに威力はあの木に命中させてみようか」

ショットガンを変えてある映画で使われたショットガンを使い撃った。そしたら木々を倒れるくらいの威力を持っていたからだ。それを見たリュドミラは、狐の処遇についてを聞かれたので俺は肉をもらいリュドミラは毛皮を貰う事になったけど。肉と臓器と毛皮を手早く捌いた後に毛皮と肉を分けた。今はもう歩き疲れたので互いは攻撃しないという約束で、休憩をする事となった。当初の予定は成立しているからな。

小さな鍋の中で、先ほど撃ったキツネの肉をことことと煮えている。先程会った場所から少し離れて、川の近くに俺とリュドミラはいた。雪の中で薪に火を付けるのは楽勝だった。火の精霊に頼んでから火を付けてから、量子変換された鍋を取り出して二人で鍋を囲んでいる。

「慣れた手つきなのね、ヴォルン大公は『ティグルでいい、それと大公もいらん。今は敵同士だが、俺はどっちも味方ではないからだ』じゃあティグルって呼んでいいのなら、私の事もミラでいいわ。愛称をあなたに呼ばせるのも変な気はしないわ」

何か本来のストーリー考案から凄く外れた方向になったが、リュドミラをミラと呼んでいいとは俺としては早いなと思った。そういえば内情を探ったら、俺にもう一度会いたいとか言ってたような気がした。まあ神様は人が思っている事を手に取るように分かるとはこの事だ。

「俺は料理好きでな、こういう雪道での訓練で料理作る時もあるにはある」

「男が料理好きってのも何だか不思議よね、ティグルは何でも出来るのね。エレオノーラみたいな感情を優先などしていないようだった、だからまた会ってみたいと思ったらもう会えるなんて神様が導いてくれたのかしらね」

「これも何らかの縁なのだろうよ、そこにあるラヴィアスは我が神国の王である黒鐵様が創った竜具だ。しかもプトレマイオスの者ならば、持ち主以外の者でも使用可能」

「それが不思議なのよ、どうしてティグルがラヴィアスを使えたのかがとても不思議だったわ。それも竜技まで使えるんだからさすがに驚いたわよ」

ラヴィアスの竜技は一瞬で氷を作りだし、無数の槍状にして敵を貫く竜技、『空さえ穿ち凍てつかせよ(シエロ・ザム・カファ)』、穂先で突いた水を瞬時に凍らせる『静かなる世界よ(アーイズビルク)』などが使えるんだったか。まあ俺のエレメンツも氷は使えるが、水から氷にしたりそれを戻して水にする事も可能だ。普通の狩人かライトメリッツの者だったら山から降りれないか、ミラの気まぐれで生かしたとしても城砦に閉じ込めるのだろうが、今はそんな感じはしない。基本的にこの戦は後方支援をするだけだからな。

「あなたはどうしてエレオノーラに仕えているの?」

「さあな、隣国がライトメリッツだったというのが一つの理由だ。もう一つはエレンと一騎打ちをして勝ったが、俺を客将扱いとしてライトメリッツへ向かい我が神国に攻めてくる者がいたら、エレン達と共に敵を一緒に叩きのめすのが一番の理由だ。あとはプトレマイオス神国はジスタートと友好やら和平を行っていた」

「だからあなたはエレオノーラに仕えている、という訳ではないのね。今はブリューヌ内乱という火の粉を払うべく、協力している訳か。隣国はブリューヌとジスタートだったわね」

そんで解体は既に終わっているので、俺とミラはキツネの肉を鍋に入れたスープごと食べたらミラは予想通り落ち込んでいた。簡単な料理なのになぜこんなにも美味しいのかと言われたが、料理好きだから日々料理研究をしていると言ったら納得してくれた。水のエレメンツで鍋を洗う俺を見たのか、どういう原理なのかを知りたがっていたがこれについては簡単には教えられないと答えた。余った肉は、量子変換で空間に入れて臓器は地面を掘ってから埋めた。その間に洗った鍋で新たに湯を沸かしていた。

「もしかして紅茶でも作るのか?」

「あら?よく分かったわね、プトレマイオスにも紅茶はあるの?」

俺はまあなと言っている間に、ミラの腰に下げていた二本の瓶の一つを開ける。乾燥した茶葉なのだろうな、それを取り出すと用意したコップに入れた。その中に湯を注いでから、湯が紅茶色に染まった。それで完成かと思いきやもう一つの瓶にジャムを掬うと、紅茶の中に入れるのだった。

「そちらではジャムを入れる事になっているのか?」

「ティグルのところでは入れないの?ジャム。まあ飲んでみると分かるわよ」

出来上がった紅茶のコップを渡されたので、冷ますように息を何回か吹いた後に飲んでみた。なるほど、ジャムを入れる事で更に美味しさを増すという事なのか。

「これはこれで美味しいな」

「私らは紅茶の事をチャイと言うんだけど、そっちではどのようにして飲むの?」

俺が飲む時に使うモノで、作ってみた。紅茶返しとも言うかもしれないけど、実際に砂糖とミルクを入れたのを同じコップで入れてみた。俺らのはティーバックなので、湯を入れると茶葉を捨てるのに楽だが、ミラは不思議そうに見ていた。そんで注いでから、ミラに俺特製のミルクティーを作った。

「・・・・美味しい、ジャムとは違った甘い味にシチューみたいにクリーミーだわ」

「俺らではこれをミルクティーと言う。ミルクは牛乳と言う、甘いのは砂糖を入れているからだ」

「まさかこれほど美味しい何て思わなかったわ、今度神国に行ったら作ってくれるかしら?」

俺は喜んでと言った後の神国に入れるのは俺の許可で入れるようになっていると言ったので、今度俺の国を案内する事になった。ミラは自分で淹れるのが趣味らしいが、俺は料理好きなので作る料理を美味しいと言ってもらえるととても嬉しいと言うとミラもそうだと言った。エレンと一緒の時には見られない無邪気差と誇らしさとを同居させた笑顔で言うので俺も笑みを浮かべて話合う。敵同士なはずなのに、こんなに話が合うとは思わなかった。

「ところでなぜティグルはこんなところにいるの?一応今は敵だけど」

「俺は表では傭兵としてライトメリッツに扱われているから、この先にあるところを探索していた。まあ俺がなぜここにいるくらいは分かるだろうに」

「確かにそうね、ここは戦場で麓にも大勢の兵を見ているはず。それにこんな所まで人が来れるのなら、色々と考え直さないと。それにあなたはどうせ城砦への道を探しているのでしょうけど、まあ教えてやってもいいけど」

「ならさ、ミラが抱えている事を俺にぶつけてみろ。少しは楽になると思う、それにこういうのは守秘義務というのがあってな。エレンのところに戻ったとしても話す機は更々ないさ」

ここで別れを告げた後に、本来のミッションに戻ってもいいが何やら抱えている事があるらしい。俺は神国の者だからか、人に話したくない事を俺を神だと思って心に溜まったモノを吐き捨てるというのも俺の仕事だと言ったら優しいのねとそう言った後にぽつぽつと話始めた。代々受け継いで来た戦姫としての矜持、それによって押し殺されている感情、嫌いな相手と、それでも交流を続けていかねばならない己の立場。特に、連絡の際の目印に使用するとはいえテナルディエの野郎が野盗に甲冑を渡した事については烈火の如く怒りをぶちまけたのだった。

「それでオルミュッツ製の甲冑が、あの盗賊団の中にいたのか。今聞くと納得がいく、なぜあの場にオルミュッツ製の甲冑があるか分からず仕舞いだった」

「ホントは交流を潰したいと思いはあるけど、長年の交流をそう容易く絶つ事は出来ない。私がこうして一人で狩りに出る事が出来たのは・・・・兵達が許してくれたのは、それを察してくれての事なの。せめて一時でも気晴らしを、って」

「今は敵味方ではない俺の立場から言わせてもらうと、話してくれた事だけでも気持ちは落ち着いたと俺は思う。いつまでも心残りだと戦に支障が出る、たぶん部下たちがそう思って狩りを許したんだと俺は思うな」

ミラの話に俺は意見を言ったり相槌をしたりと、いつの間にか自然的な微笑みを見せるようになってきたミラであった。そして休憩が終わったのでミラとは立ち去る予定ではあったが、ここから山頂に出れるところを案内してあげると言われたのでそのままついて行く事になった。俺同様に雪道を軽い足取りで歩いていたからか、俺の力かラヴィアスがそうしているかは不明ではあった。ただラヴィアスから聞こえた言葉は、主の凍った心を溶かしてくれてありがとう、と聞こえたように聞こえた。

「ここまでのようね、ティグル」

「ああ、ここまで案内してもらった事感謝する。今度会う時は城砦での戦の時に会おうじゃないか、まあ戦姫同士の戦いを邪魔はしない。思い切ってやって来い」

「そうするわ、じゃ、また会いましょう。ヴォルン大公」

「じゃあな、リュドミラ」

崖の上で別れた俺は、そのまま下山して行った。と言ってもここから下山するのは面倒なので、空間から出したスノーモービルを出してからライトメリッツ軍がいる陣地まで降りた。夜の内に帰って来て待っていたのはエレンとリムだったが、俺が山頂の道を探索中は変わらず山道を攻め続けたようだ。俺的には予想通り成果を上げられずに済んでいたのか、俺が帰ってくるまでエレンとリムの対立が続いていたらしい。 
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