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聖魔弾の銃剣龍神皇帝と戦姫

作者:黒鐡
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第2巻
  城門破壊からの突撃×エレン対ミラ

「俺が帰ってくるまで大人しくしろと言ったろうに、とりあえず山頂に行く道を確認した。百人程度なら、城砦へ連れて行けるだろう。まあ兵達の体力温存するためには俺らの乗り物で山頂まで連れて行ってやるよ」

「乗り物というのは車というのですか?」

「車ではない、小型の飛行する乗り物だ。とりあえず外に出てから兵士達を準備している間にこちらも準備する。城門については俺が何とかしてやる」

山道の防御は完璧だが、城砦自体の守備は大した事がないと告げた。俺がミラと会った事は言わずに、きっとあちらも城門を補強している所だろう。城門や城砦を巡回する兵達はあまりいない。それと現在の城砦についてを無人偵察機からの映像を見せると、城門強化と城砦前に防御陣地を周辺に設置する所を見たエレンは早速案内しろとの事だったので、俺は空間からスナイプ・ゼロを出してVTOL機に変身した。それは百人程度を輸送できるぐらいの大きさだが、山頂付近で降ろすから問題はない。

「これが飛行する乗り物なのか?」

「ああそうだ、百人くらいは余裕で輸送できる。それに冷気対策は継続中の様子だな」

エレン達と兵達を見るとマントを羽織っていない状態で武器を持ち込んでから、VTOL機の中に入って行った。中は暖房を付けているのでとても暖かい、オルミュッツ軍は二千騎だが、半分以上は山道に配置している。城砦には一千騎以下しかいないと思われる、全員乗り込み完了だとエレンが告げたのでこちらも発進する事になった。リムは残っ兵士達を山道を攻め続けると言う任務のため残ったが、あんなに小さな物が浮かんで飛んで行った光景を見た兵士達とリムはご武運をと静かに告げた。山頂付近に到着すると、全員外に出て山頂付近の崖上に集まった。

「・・・・ティグル。予想通りの展開となりそうだな、警備が厳重になっている。だがティグルの乗り物のお陰で兵達の体力温存されたからか、いつでも行けるが城門はどう破壊する?」

城砦の裏側にある門。昨日見た感じで準備されていたが、今日になって防御陣地が構成されていて高台は城壁が高台の代わりとなっている。城壁上の兵が増えていたからなのか、俺らが攻めてくると言ってそうさせたのかなと思われた。だが城門を見る限りある程度は補強されているようだが、俺の前では無力に等しい。

「破壊ではなく、城門ごと筒抜けにさせてみせるさ。まずは夜になってから兵達を崖上から降ろす、まあその作業も俺がやるから任せろ。リュドミラ相手はエレンに任せる」

筒抜けという意味が分からない顔をしていたが、いずれ分かると言ってから夜を待った。そして夜の闇を利用して百人とエレンをサイコキネシスで、一気に崖下まで下降させた。喚くなと言った後に、兵全員がいる事を確認してから俺は言った。

「今回は支援だけだが、あの城門については俺が何とかしよう。城門を排除したら、突撃せよ」

実現不可能なはずなのに、一切反論しない兵達とエレン。疑問も持たないのは、城門を排除可能だと思っているからかもしれん。

「さてと行きますか」

俺は城門へ行き、静かに歩く。城門まで近付いたら側に焚かれている篝火の明かりで、オルミュッツ兵は俺に気付くが遅い。武器を構えるが、俺の方が早い。防御陣地に目線を向けると消滅して行ったので、ここまで近付く事が出来た。そんで城門に来たら手を当てると、一気に消滅させたのだった。城門で構えていた兵士達を銃で射殺してから、それが合図となりエレン率いる兵達は突撃開始した。分厚い鉄の城門を簡単に消滅させたのをきっかけに、俺はエレン達を中に入らせてからそれに続いた。そしたら通信機から通信があった。

『一真さん!一真さんの近くにドウター出現です!』

「何!ドウターだと、そうか。この世界でも現れたか、対処は俺がやっとくからどこに出現するか監視しといてくれ」

『了解です!』

今の声はミレイナだったが、この世界でもドウターが現れたとはな。相手は小型ドウターでタイプゼットンだそうだ、こりゃ早くもこれの出番かもしれないと思った俺であったが今は目の前の事に集中するために城門から中に侵入したエレン達の援護に向かった。城壁で見ていた者にとっては悪夢ような感じだと後程語れたが、壕や柵や壁さえも向いた目線で消滅させていったからだ。死神みたいに見た者を死に至らしめる感じだったと。ちなみに城門は鉄板三枚用意し、その間に分厚い樫の板を挟み込んでいたようだが、俺の消滅魔力に消滅出来る物はないからだ。

ある男は、乱戦の中に身を置きながら、陰鬱な視線をエレンとティグルの背中に送り続けていた。依頼された標的は彼女ではなく、黒髪の男で国の大公をしている者。六人いた仲間が全ていなくなり、自分一人だけになるとそんな事はどうでも良かった。戦姫と神国の大公という巨大な獲物だけに、男は意識を狙いを定め続けていた。男の腕には、鎖の形状をした刺青があった。

プトレマイオス神国大公であるティグルヴルムド=ヴォルンが現れたという報告を城砦奥の司令室で受けた時、リュドミラは驚きをしないまま次の報告を待っていた。あの時ヴォルン大公をあそこまで案内したからだ。そして間をおかずに防御陣地が消滅していき、城門さえもなかった事になっているという状況を聞いたリュドミラは絶句というよりわずかな時間で消滅させたなんて事は神国しか出来ないと思いながら、敵がこの城砦に侵入してきたのでリュドミラも司令室から出た。

「(さすが神国の者ね、わずかな間で防御陣地と城門をない状態にしちゃうんだもの。今はエレオノーラと戦う事だけを集中しないと)」

城門付近にいたオルミュッツ兵は驚愕しながら、こちらへ向かってくるヴォルン大公の銃の射程距離から離れるために城門付近を見捨てた。この城砦は城門を抜けたとしても、川から水を引いて形成された濠がある。濠にかかっている橋の上で、彼らは敵を食い止める事にした。剣や槍を討ち交わしての戦となれば、ライトメリッツの兵は強い。特に、ここ数日は戦場にありながら思うように戦えず、苦汁を舐めさせられていた。

一人一人の中にヴォルン大公の姿もあるのか、上手く戦えないままとなっていた。ヴォルン大公の武器射程距離は1ベルスタ以内なら、撃てる距離だとここの主が警戒をしていたからだ。それと先頭にはライトメリッツ兵の先頭にいる銀閃を振るうエレンの姿を確認している。長剣で死の世界へ送りながら隣にいるヴォルン大公の銃により攻撃で、射程範囲内で次々と撃たれて倒れて行く同胞たち。ヴォルン大公の存在に気付き、矢を放つがその矢を撃ち防いでから弓兵を撃ち抜く。不意にオルミュッツ兵が左右に分かれて細い道を開くのだった。

「エレオノーラ!」

怒りを伴った叫びというより、やっとサシで戦える所なのか何かしら嬉しそうに見えた俺だった。ラヴィアスを構えてリュドミラが姿を現し、長剣と槍が激突する。轟音が大気を軋ませ、閃光が兵士達の目に向けられてた。

「ライトメリッツ兵とオルミュッツ兵!全員下がれ、戦姫同士の戦いを邪魔する者は俺が許さん!」

俺が叫んだ事により、両軍の兵達は武器を振るうのを止めて甲冑を鳴らして後退する。一応俺の国とは忠誠を誓っているからか、敵軍の兵だとしても俺の言う事はある程度聞くようだった。仕える主の一騎打ちを邪魔しないためでもあるが、俺は真上を警戒していた。先程の通信でドウターが来るようだからいつ来てもおかしくないように剣を手に持っていたけど。

「まさか、あなたが乗り込んでくるとはね。また無様な姿を見せに来たのかしら?」

「ティグルの前でそんな姿をさらす訳ないだろう、手土産は敗北だ。有難く受け取れ」

「神国の者が一騎打ちを見届けるのは、私も同意見・・・・だけどお断りよ。氷漬けにしてライトメリッツへ送り返してあげるわ!」

再び激突。剣と槍、一撃ごとに眩い閃光を飛散し闇の中に白い残光を描く。全く俺の目の前での竜具同士での戦い、あまり見たくないがこれも一興。風圧で僅かな傷を負わせ、刃の衝突が大きい音のように聞こえる。一進一退の攻防が続き、二人が発する熱と光は、夜の冷気と闇に吸い込まれる。この辺りの冷気を兵達に纏わせないため継続中だけど、この戦いの裏には何があるかは分からない。この戦を邪魔する者はドウターか?エレンがこんなに長く戦っていたのはディナント平原で俺と一騎打ちしている時以来だと思った兵達は多い。

リュドミラは短槍を巧みに操り、突き、打ち払い、掬い上げてエレンを攻めたてる。そして互いの竜具(ヴェーダ)を使うようだった。双方とも互いの竜具を叩きつけた衝撃で、双方とも後方へと跳躍した。エレンの口元に不敵な笑みが浮かんでいた。

「『大気ごと薙ぎ払え(レイ・アドモス)』!」

アリファール周囲の風を吸い込み巻き取るような感じで、凶悪な刃へと変えて撃ちだす。リュドミラに向かわず、橋の中央を粉砕したと同時に瓦礫が濠に落下し橋は真っ二つとなった。これに関して何事もなかったかのようにリュドミラが駆けると同時に竜技を使う。

「『空さえ穿ち凍てつかせよ(シエロ・ザム・カファ)』!」

一瞬よりも速く大気を凍結し、氷の塊が橋を繋いだ。それででは留まらず、氷は橋を侵食していきエレンの足元へと迫っていくが、氷の槍をアリファールで粉砕しながら氷上を滑ってリュドミラがエレンに接近し鋭く槍を突きだす。氷使いなら出来る事をしている、滑って行く事はスケートで滑っているかのように見えた。エレンは風で宙に浮き氷の槍を防いでからリュドミラの服を掴んで橋から引きずり落とした。槍の柄が勢いよく伸び、水面に穂先が触れると突き刺さる。

「『静かなる世界よ(アーイズビルク)』!」

ラヴィアスの穂先中心に水から一気に氷と化した、さすが氷使い。水を一気に氷にするとは、まあ俺が創ったからこれぐらい出来ないと竜具とは言えない。水面が氷とかしたからか、氷の足場に難なく着地した。

「相変わらず品の無い戦い方をするのね、あなたという人は」

氷を思わせる鋭い眼差しで、リュドミラは橋の上にいるエレンを睨みつける。エレンは長剣を肩に担いで悠然と応じた。

「私は勝つために戦っている。手段を選ばないとまで言う気はないが、余計なものを考慮に入れたりはしない。そんな事よりも、いつも他人を見下しているお前が、上から見下ろされているのはどんな気分だ?いや、視線の高さでいえば、お前は見下ろされてばかりだったか」

「・・・・ラヴィアス!」

リュドミラの声に応えるように、彼女の持つ槍の柄が伸びて槍の柄を掴むリュドミラの姿は橋の高さとなり、空中へと躍り出る。空中で槍の長さを元に戻した後、気合の声を出してリュドミラは槍ごとぶつかる勢いでエレン目掛けて落下する。ラヴィアスの周囲大気を凍らせながら穂先に凍気を纏わせる。大剣を遥かに凌ぐ巨大な刃がラヴィアスの先端に生まれていき、エレンは回避しようと一瞬考え込むが回避をやめた。エレンも相当消費しているように感じたからだ。アリファールは風を吸い込み旋風を幾重に束ねた銀色の刀身に纏わせていき、ラヴィアスに劣らぬ巨大な風の刃となる。

「・・・・ここで終わらせる!斬り裂け、アリファール!」

「・・・・全てを片付ける!貫け、ラヴィアス!」

あらゆる物を粉砕する暴風と全てを穿つ氷塊が衝突した、一騎打ちを観戦していた兵達もこのような戦いを見るのはあまりない事だろう。氷塊はエレンに向かって突き進みながら暴風に削られかき氷の刃となり、暴風はリュドミラに襲い掛かりながら氷塊で防御する。二匹の巨大な風と氷を操る属性使いは、お互いの肉体を喰らいついているかのように見えて、属性使いは力尽きたのだった。大気が膨張し、雷鳴に似たような轟きを響かせて弾け飛ぶ。エレンは後ろに吹き飛ばされてその場で膝をつき、リュドミラもまた空中で姿勢を崩して橋の上に背中から落下した。兵達が近づこうとしていたので、俺は双方の兵達に向かって威嚇射撃を行った。 
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