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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第九話 はじめて見たツンデレその六

「全然」
「そうなの?」
「うん、似てないから」
 とにかく否定した、それも必死に。
「そんな筈なのよ」
「何かお父さん嫌いみたいね」
「嫌いっていうかね」
「というか?」
「まあ複雑なところだね」 
 親父に対して抱いている感情、それは今はこう言うしかなかった。昔は即座に大嫌いだと答えられたものだけれど。
「どうにも」
「嫌いじゃないのね」
「昔はそう言えたよ」
 まさに即座にだ。
「迷わずにね」
「それが今ではなの」
「暴力は振るわないしね」
 このことは絶対にしない、あの親父は相手が誰でも。
「それに意地悪でもないし」
「けれどなのね」
「うん、女癖がね」
 とにかくこれだった、あと浪費癖だ。
「それがあんまりだから」
「それでお父さんをなのね」
「好きにはなれないよ」
 こうダオさんに答えた。
「とてもね。けれどね」
「嫌いかというと」
「軽蔑するものはないからね」
 はた迷惑なことこのうえないだの困ったところがあるだの思ってもだ、それでも僕にとって親父は軽蔑する対象かというと。
 そこまでいかない、尊敬出来るところもわかってきたからだ。
「お酒飲んで暴れもしないしね」
「それ人間として最低じゃないノ?」
 ジューンさんが酒乱についてこう言って来た。
「あとギャンブルとかもだけれド」
「うん、お酒を飲んで暴力を振るうとかね」
 僕が見てもだ、そうした人は。
「人間の屑だよね」
「アメリカにもそういう人いるけれどネ」 
 何処にでもいるらしい、こうした人は。
「最低だネ」
「本当にそう思うよ」
「借金はしていないあるな」
 水蓮さんは僕に親父のこのことを尋ねて来た。
「それは」
「稼ぐ範囲で遊んでるよ」
「そこも救いあるな」
「それこそブラックジャック並の謝礼を取るけれどね」
 取る相手はお金持ちだけだ、この辺りもしっかりしている。
「そのお金で遊ぶんだ、僕も養ってくれてたよ」
「人としての道は外していないあるか」
「下半身に節操はないけれどね」
 まさに人妻や幼女以外はだ、寝取りだのそういう趣味も親父にはない。
「あとお料理も得意で」
「最低の人間かというと」
「そこまではいかないから」
 小夜子さんにも答えた。
「絶対にね」
「一度お会いしたくなりました」
 小夜子さんは僕の話に興味を持ったらしい、それでこう言ったけれど。
 僕は小夜子さんのその言葉に仰天してだ、小夜子さんに慌てて言った。
「あっ、駄目だよ」
「駄目ですか、お会いしたら」
「うちの親父女子高生も大好きだから」
「大好きなんですか」
「一月で四十人の女子高生と出来たとかね」
 一クラス分だ、軍隊だと一個小隊分らしい。
「そういうこともしてきたから」
「一月で、ですか」
「そう、四十人なんだ」
「それだけ女子高生がお好きなんですね」
「女子高生『も』ね」
 『も』とつくところが親父だ。 
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