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聖魔弾の銃剣龍神皇帝と戦姫

作者:黒鐡
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第1巻
  去った後の会話×自国との通信

俺は部屋に戻ったが、執務室にいるエレンとリムの声が聞こえてくる。部屋に入るや防音結界を張りエレンとリムの会話を聞いていた。これは盗聴器や超小型偵察機を飛ばしている訳ではないんだ、エレンが持っている長剣アリファールは元々俺が創りだした武器である。

七戦姫に送った武具は独自の意志を持っているが、精霊の力を持つ武器としている。創造主である俺が聞く権限は、この数百年後でもあるからだ。という訳で耳に付けている通信機で聞いている。

『ヴォルン大公を送ってきました』

『ご苦労、それにしても外なら「伯爵」で私とリムだけなら「大公」と呼ばなければいけないのは少々面倒だな』

水を一口飲んでから、エレンは率直な言葉で部下に労いの言葉をかけてからそう言った。これは俺が客将になってからそう言ってくれと頼んだのは俺、プトレマイオス神国だけでも一般兵や侍女達が話しかけて良い相手ではない。俺は大公と言う階級=爵位だけど、軍なら階級だが貴族社会なら爵位とホントに面倒な世界に来たと思っている。

『それはしょうがないでしょう、相手が敵国なら公私で伯爵と通りますが相手はプトレマイオス神国の大公であります。ジスタートなら王と同じくらいの権力と権限を持っていますし、ジスタート王とプトレマイオス王を守護するのも戦姫の仕事かと』

『ジスタートを建国させた初代王の言葉だったな、それからジスタートとプトレマイオスは今の時代でも和平を持ち敵が攻めてきたら守るだったか。確かブリューヌも和平をしていたと聞くがそれは本当か?』

『我が国であるジスタートが出来る前に一度亡き国にしようとしたようですが、歴史書によりますと創造神による鉄槌を喰らったそうです。それからは和平と停戦のようです』

まあそうだな、最初に喧嘩売って来たから兵を一瞬にして滅殺してあげた。あれは確か約五万いた兵らを、創造神の神罰により一瞬して屍となったからな。俺はそんなの覚えていないけど、ブリューヌ王国や他の国での歴史書ではそう書かれている。神々を見た事あるのは、戦の時と他国の信者達や使者または特使が来て解決をしてきた。

『それでヴォルン大公の自由行動を許してよかったのでしょうか?』

おっと・・・・会話はそこまで進んでいたようだったから聞いていた。

『この公宮内に限ると言ったから何も問題はないと思うぞ?』

『一応確認なのですが、大公の神国とこのライトメリッツはヴォージュン山脈を挟んで隣接しております。脱走するかもしれません』

まあそうだな、俺だったらドライグ召喚して山脈を越えるか空間切断で俺の国と繋げてすぐにでも行ける。俺が絶対に脱走するとは考えていないが、エレンはすぐに答えた。

『確かに隣接はしているが、ティグル大公の国であるプトレマイオス神国が危機に迫った時ならば脱走ではなく、私らライトメリッツの者達と共に行くさ。それに奴が簡単に帰国すると思っている。奴は竜を使役しているから、赤い竜を召喚して帰る事も予想はしている』

『客将になる条件でしたね。もし危機に迫った時は即刻帰国すると・・・・ですがここから神国まで、一日や二日で帰国できるとは考えられません』

『脱走したとしても、奴の速さはヒトよりも早い足を持っている。それに剣術の技量は知っているだろう?』

『剣術の技量は私やエレオノーラ様以上と見ていいでしょう。とりあえずプトレマイオス神国に何か危機があるのならば何時でも出れるようにはしておきます』

こりゃ有難いな、俺の国に何かあれば出撃してくれるのか。それだけは感謝したいが、俺らの国は例えドラゴンが来たとしても倒せる余裕があるし味方となってくれる戦姫に、ジスタート王が笑い事にするのならば俺が許さん。ジスタート王は俺の事を一切知らん、名を知ったとしても神国の者というのはエレンに伏せている。

『ところで、ヴォルン大公と良き友になる事は本気でしょうか?』

『隣国とはいえ、ジスタートと戦姫に与えられた武具は元々プトレマイオス神国の創造神が創ったとされている。大公とは良き友として付き合いたいし、もしジスタート王から文句を言われようともそれを守護してくれるのは神国の者しか進言できないからな』

『戦姫が功績を上げたとしても、それは王の功績でもあるという事は承知しております。が、勝手に隣国である大公と仲をよくしていると・・・・』

『そこまでだリム。大公と仲を良くすると、ジスタート王を一喝できる人物でもあると私は思う。それにプトレマイオス神国との連携すれば、例え敵に囲まれたとしても遠距離攻撃で圧倒されてから私率いる騎兵が敵の将軍や隊長を片っ端から排除できる。ティグルの銃の腕前は、前々からの噂で聞いていた通りとなったがな』

なるほど、俺らが遠距離攻撃で歩兵を倒しまくってから騎兵で一網打尽か蹂躙する事が出来る。俺達のは基本的に中遠距離攻撃を得意としているし、量産型聖剣エクスカリバーを持たせているから近接から来たとしても剣術で何とかなる。零距離から撃てる者は俺らの部下がほとんどいるし、俺もそうだが狙撃銃並みに撃てるのは流石に俺だけの技術。

『私の戦いが、常に軍と軍のぶつかり合う戦場とは限らない。個人の武勇を必要とする局面も出てくるが、リムは弓矢だとどれくらい飛ばせる?』

『ただ飛ばすなら160アルシン。敵に傷を負わせるつもりなら100アルシンに届かない、と言った所でしょうか』

『この公宮で最も優れた弓矢の使い手は?』

『ルーリックですね。270アルシンの距離まで飛ばした記録を持っています』

ああ、あの時粗悪な弓を渡したのがルーリックと言うのか。黒髪が目立っていたかな、しょうもない悪戯で危うく首を刎ねられそうになったので俺が許したんだったか。

『つまりだ、お前もルーリックも弓矢の技量ならティグルより優秀に見える事は分かるだろう。だがティグルが持つ銃器と言う武器なら、それ以上にいる敵を倒している事を知った周辺から見るとティグルより劣っていると言われても当然の結果だ。戦では1ベルスタから攻撃したと言ってたし、私が馬で走っていると500アルシンでやっと見えたからな。正確に馬の眉間を狙撃したと言う事は聞いた事がない』

冷厳な事実を突き付けられて、更に信じがたい事を目にしたリムにとってはあれは本当に人間かと言いたいくらいだ。人の目が1ベルスタまで見える者など聞いた事がないに等しい。実際500アルシン辺りで、気付かないくらいの見えない弾が馬の眉間に当たって落馬してしまった。

あの時エレンでも気付かなかったが、300アルシンくらいでやっと気付いたと言っていたがその時は微笑ながら狙撃していたとエレンが言っていた。

『ヴォルン大公は・・・・』

『私とリムだけの時だけだぞ?私らの部下が見ている間はティグルでいいのではないのか』

『ティグル様が言っていた危機というのは、一体何時頃になるのでしょうか?』

『さあな。それは私にも分からないが、プトレマイオス神国は神が住んでいたとされている国だからティグルを呼ぶのではないかと思われる。風や何らかで知らせるのであろうな』

とまあそんな話をしていたが、しばらくは俺の事は様子見だそうで俺の反応を見れば、すぐに分かるのではないかと言っていた。そんで一礼してからリムは執務室から出て行ったので、執務室の会話からプトレマイオス神国にいる部下とメイドに通信した。ベッドに投影型のを置いた小型投影機での通信。

「こちらライトメリッツにて客将扱いされているティグルだ、ティッタにニールよ応答せよ」

『こちらティグル様の屋敷からティッタである私とマスハス卿とニールがおります』

「マスハス!っと大声を立てられないんだった、そちらは無事だそうだな」

投影型の機器であちらにいる屋敷の中にて、メイドであるティッタと真上にトレミーにいるはずのニールと無事に帰還したマスハスの姿を見る事が出来たのでホッとした。こちらからの映像も見えるので、俺の無事な姿を見た部下達からの安堵な声が聞こえてくる。

『こちらは何とか帰還出来ましたが、そちらはどうなったのですかな?ニールから聞くと二十騎いた馬を、1ベルスタから狙撃したと聞きましたが』

「まあな、と言っても俺の目ではなく神の目によりスコープとして見てからの狙撃だ。人間業では出来んよ」

『まあティグル様のご正体は我らしか知りませんからな、他から見れば人間業とは見えまい』

今回の事で、ブリューヌ王国は最大の人数と王子を失ってしまった。国王が失意の余り政務を放棄してしまった為、テナルディエとガヌロンと言う二大公爵家による内乱が起きると予感される。ウチの隣国ではあるが、内乱が起こると俺らも内乱に参加して鎮める任務になるかもしれないと思った。

今後はしばらくマスハスは自分の国に戻った。通信終了後、投影機と通信機を空間にしまってから結界を解除したが、外からは一切聞かれていない様子から安心した。 
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