聖魔弾の銃剣龍神皇帝と戦姫
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第1巻
今後について
俺が呼び出されたのは、次の日の昼だった。昨日は謎の武器に剣術を見せたのか、すぐに部屋に戻されてしまったがそれっきりだ。部屋でドライグと会話しながら銃の手入れをしていた。手入れ不要だが、たまには自分のは自分で手入れをするという事なのでな。今日もリムが来る前に起きていたが、変わった事と言わば公宮内にいる兵士や侍女達の目線が昨日と違う事だな。
『昨日と違って随分と人気者となったな相棒』
『そうだな・・・・だがすぐには慣れんよ。謎の飛び道具で賊を撃ったのだから、それにお前にもそういう目線が行っているが?』
リムに先導されながら俺の頭上にくつろいでいるドライグがいた所為なのか、俺とドライグを見る目線で一杯だった。目線の多くが興味や畏敬だったり、あとはドライグに向けられていた。どうやらこの世界ではドラゴンは非常に珍しい。普段は森や山奥に奥深く生息している為、人が目にする事はほとんど無いので伝説上の生物を信じる人間も少なくない。
様々な色や種類の竜が存在しており、ジスタート王国では黒竜と幼竜への危害を加える事を禁じている。身体は非常に頑丈で通常兵器では傷つける事は不可能。最大で150チェート(15メートル)まで成長すると聞いている。
『この世界では地竜・空竜・火竜・双頭竜(ガラ・ドヴア)・海竜と呼ばれているそうだ』
『何だそれしかいないのか?この世界より俺達が居た世界の方がドラゴンは沢山いたぞ、タンニーンが管轄領地にはな』
「エレオノーラ様。ヴォルン伯爵をお連れ致しました」
会話していたら目的地に到着したようで、扉をノックしながらリムが言うと『入れ』の一言が返ってきた。扉を押し開きリムに続いて入ると、ここはどうやら執務室のようでここの主であるエレンは仕事中のように見えたが俺の部屋よりかは広い部屋。
床には絨毯があり、黄金造りの燭台や書見台、籐?を編んだ椅子が置かれている。窓も大きいけど、俺の事は他の兵士がいると伯爵と呼ぶらしいがエレンとリムがいる場合のみ大公になるそうだ。
「もう終わるから少し待て」
エレンは執務机の前に座って、書類にペンを走らせていた。俺らだったら、直筆ではなくパソコンで打ってしまえば間違いない状態で印刷されるが、机の端には書類の山と言うの曰く処理済という感じだ。膨大な量ではあるが俺でもあれぐらいは熟していたさ。毎日のようにサインをしては、判子という作業を拠点にてやってた。
ここではそう言う作業をするのは、我が国であるプトレマイオス神国だけだろう。住んでいる者達は全員軍人で俺と同じく異世界から来た者だから。エレンの後ろには二つの軍旗があったけど、一つはジスタート王国象徴である黒竜旗で二つは黒地に銀の剣をあしらった旗なのでエレン個人の旗なのだろう。
旗の下にはいつでも剣を持てる位置に剣があった。書類に視線を落としていたけど、書類を丸めてから手慣れた手つきでゴミ箱に投げたのだった。
「紙は貴重なのですから、無駄遣いはなさらないで下さい」
気を付ける、と叱られていたがどうやら紙も貴重なアイテムらしいな。俺らの国には有りまくりなのだが、この世界では違うらしい。しばらく待つとようやく仕事を終えたようで、ペンを置き長剣を手に取ってこちらに来たのだった。
「昨日はすまなかったな」
神妙な態度で頭を下げられたのだからそりゃ驚くって、ここの主が簡単に頭を下げるとは。リムの方を見るが、顎を引いていたので素直にエレンの方を向けという感じだった。
「何の事だ?」
「ヴォルン大公に貸した弓の事だ。特に考えず兵に任せたが、まさかあんな粗悪な弓を渡すとは思わなかった」
「アレの事か、やはりあれは悪い弓のようだな」
ジスタードで標準ではなく、やはりわざとだったらしい。次に聞いた時はマジ?と聞き返す程だったが、戦前に刈り取ったのを思い出せば軽い事だなと思った。
「あれを考えつき、実行したのは三人だ。頸を刎ねておくから・・・・」
「ちょっと待ちな。あんなしょうもない悪戯くらいで首を刎ねるのか?」
「悪戯、って・・・・ヴォルン大公は怒っていないのか?あの三人は多くの者が見ている前で大公を笑いものにし、不名誉と屈辱を与えようとしたのだから死を持って償わせるべきだろう」
確かに兵士達の前で不名誉と屈辱を与えたが、その後からは非を認めたかのような驚き振りではあった。既に過ぎた事だから怒りはしないが、エレンの視線でどう答えようとしたら代わりにドライグが答えてくれた。
「今回は相棒の顔で勘弁してくれないか?俺もあれはしょうもない悪戯で怒る程、俺の相棒は器が小さい訳ではない」
『竜が喋った!』
「そういえば龍は喋らないんだったか?だが俺のドラゴンは喋るし俺の相棒だ、ドライグの代わりに答えたが今回は俺の顔で勘弁してほしいな。それにあの後きっちりと腕前を見せたのだからな」
「ヴォルン大公が言うのであればそうしよう。だが『二度目はないだろう?』ああそうだ、神は一度目だけだと聞いている」
俺の頭上にいるドラゴンに興味があるのか、じっくり観察したいと言ったのでドライグは飛んでいき何もない机に着地してエレンとリムはゆっくり観察していた。ドライグの目から映るエレンとリムを俺とリンクする事で、そう見えるようにしてからか二人共胸は大きいんだなと思った。まあ戦場でも思ったが、じっくり観察後に俺の頭上に戻ってきたドライグだった。
「ところで昨日は腕前を見せるために見世物にでもしたのか?それとも戦の時のがまだ信じられなかったからか」
「俺は前者だと思うぞ相棒」
「そこの赤い竜の言う通りだが、リム」
主に名前を呼ばれたリムは、愛想ない表情ではあるが青い瞳をこちらに向けながら渋々と言った感じであった。
「私を始め、将軍や部隊長が貴方を客将にする事に不満を持っておりました。あの場にいた兵士達の記憶はなく、実際貴方の腕を見たのは私とエレオノーラ様だけです。それにエレオノーラ様が戦姫となられる以前から幾多の戦を駆け抜けてきましたが、これまで捕虜または客将とした事は一度とてありませんでした。それに戦姫に勝つという事自体がとてもあり得ない光景でもあるのです」
「なるほど、つまり俺が一度目の捕虜じゃなくて客将か。あと記憶を消したのはこの俺だ、余り見せたくなかったのでな」
「はい。本来であればヴォルン大公が、エレオノーラ様を捕虜となる形になるが逆に客将となったので、兵士達からはくだらない噂が広がったのです」
「噂?もしかしてエレンが俺に一目惚れしたとかじゃないだろうな?」
「よく分かったな。戦場での恋だとか、敵同士の間に生まれた愛だとか・・・・武勲詩や戯曲を見ればいくらでもあるものだ。皆そういう話が好きらしく、まあ間違ってはいない、私が惚れたと言えば惚れたな」
「惚れた、ねえ。主にどこをだ?」
「ヴォルン大公自身と銃というのと剣術に惚れたのさ、今まで戦をしては一騎打ちをしてきたがあんなに気持ちのいい負け方は今までなかった」
自然と出た微笑にやはりと思った俺であったが、まさか剣術と銃と俺を惚れる何て流石にそれは予想外だった。時間をかけて惚れさせるのはよくあったが、初めて会ってからの一騎打ちで惚れるというのは俺でも驚きを隠せないでいた。知っていると思うが妻子持ちで、側室なら沢山いる艶福家である。というか一夫多妻制にしたのは俺だ。
「それで噂が過剰反応をした部下達が、噂の元を断つ為にいっその事殺してしまえと言ってきてな。だが私の部下であるリム以外の者達からの記憶が消されていたので、腕前を見せようと思っての事だ。戦よりも腕前を見せたから結果的には治まったからな。ヴォルン大公を客将にしたのは、大公から言ってきた事を私が言った事にしたのさ。そして楽しませてくれた」
「楽しませた、か。まああの戦は余りにも酷い戦ではあった、俺としては上空にいたから無傷だったけどな。ドラゴンの背にいたから」
俺の言う通りであったが、ホントにつまらない戦だった。マニュアル本に謝れと言いたい程の酷さだ、五千対二万五千は普通なら策を使って来る所。援軍無しでのだったが、たった半日で終わった戦史上最速記録とも言いたいくらいだ。
「それは楽に勝てたとは言えるが、いくつか策はあったのだろう?背後からの奇襲とやらを、前衛は士気は高かったが後衛は士気は低かった。偵察もしていると思ったエレンは、後衛を突いて突破・分断まで出来たが王子の戦死というオマケ付き、だったんだろ?」
「どこでその情報を!大公がこちらに来てからの情報をどうやって!?」
「俺の国は神々が住んでいると言われている神国だ、俺も神々の一員だって言ったら信じるか?」
そう言ったらエレンもリムも首を横に振った、人間に化けている魔物ならいるが人間に化けている神様がいると言うのは流石に信じられないか。まあ俺は全てを創ったとされる創造神だというのは秘匿情報だ。無論ドライグにも口を固くしてもらっている。
「・・・・こほん、話を戻そう。そんで俺は戦が終わったと思い、上空から待機していたので一番酷い場所に降り立った。そんで浄化を周辺やって行くと、俺から先に1ベルスタに敵がいると聞きながら死んでいった魂を黄泉路に送り、血まみれの地を浄化して元通りとなった所で俺はエレンに気付いた、で合ってるか?」
「浄化という力は知らんが、あの時は500アルシンあったというのに前方後方にいた馬を正確な腕前で絶命させた。弩や弓かと思ったが、私達は分からず仕舞いだった時にこちらへ向かってくる一人の大公がいた。あの時はリムとルーリックが左右にいたが、走りながら馬だけを絶命させてから私に剣術での一騎打ちとなった」
「そんで俺はエレンに一騎打ちをした後に勝ったが、客将にして欲しいと願った。一騎打ち前からの記憶はこちらで弄らせてもらったよ、戦姫が負ける事は今までないと思ったからだ。記憶や浄化にエレンの見た事ない飛び道具で馬を絶命した事と馬を蘇生させたのも、俺の力の一つだと言っておく」
剣で矢を撃ち落とす者はこちらにもいるから、余り驚かなかったが3発共ちょっとした試験だったと言うと矢とはとてもじゃないが速くて見えなかったと言う。3発目でやっと自分の剣で弾き返した事は試験だったから、非殺傷でやったにすぎん。
「それでだな、大公が使っている銃とやらを見せてほしいのだが?」
「銃か、まあいいだろう。セーフティーロックしているから引き金は引けないようにしてるから、まあ大丈夫だろうよ」
ホルスターから抜いたハンドガンに弾が入っていない状態で、引き金が引けないようにしてからエレンに渡した。カートリッジも抜いてる状態で、すると銃を持つと何やら観察をしていたがどうやって撃ったかどうかは昨日見たからもう知っている。
弾丸をいくつか見せたが、貫通弾に軽い弾から色々とな。銃の種類も豊富で、1ベルスタ以上離れていても狙撃できると言ったら最初は信用していない顔だった。詳細な事を話したら信じたように見えて、充分に観察後に返してもらった。
「ホントなら大公を私に仕えないかと言おうとしたのだが、そちらはブリューヌ王国の者なら兎も角プトレマイオス神国の大公だ。そう仕えてくれないとは分かっているつもりだ」
「まあそうだろうな、エレンがジスタート王に笑いものにされるなら、俺から王に文句言えるくらいの権力は持っている。これは初代ジスタート王が進言した。あと聞きたい事がある、昨日の賊が何者だというのを知りたいくらいだ」
「あいつなら私の命を狙う暗殺者だ、まあ一ヶ月に一匹に現れるくらいだがそちらではないのか?」
「敵が来る前に要塞化してしまうからな、もし敵が来たとしても頑丈な壁と結界があれば安全だ。国に入れる事が許されるのは信者達か俺の知り合いが唯一入れるとも言われている。あとは王か俺である大公から許しを得た者達だけを入国許可を与える」
暗殺者が誰なのかは知らんようだが、命を狙われるとは物騒な所なのだな。それと昨日のは自害したそうで、閻魔に聞いたがどこの国かまでは聞き出せなかった。まあいいだろう、他の国だろうとジスタートの戦姫であろうとも俺らの権限は大きい事だ。一度敵と見なしたら、殲滅か国ごと滅ぼすつもりでいるからな。
それから聞くと俺は公宮内なら自由に動く事が出来るらしいが、城壁に近づいたら脱走と見なすそうだがそれは俺の国に敵が現れたら脱走ではなく出撃するとな。だが一人で出撃するのはダメだと言い、せめて兵らと一緒に動いてもらいたいと注文が入った。質問はないので、俺は近くにいた兵により部屋へ戻った。
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