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聖魔弾の銃剣龍神皇帝と戦姫

作者:黒鐡
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第1巻
  戦前の会話×銃の腕前

ディナント平原にて戦前、俺と護衛である者達とマスハスと共に鍋をかき混ぜていた。無論俺が何者かは、ここにいるマスハスしか知らないようなので自動的に余所者扱いとなる。

ま、ここにいると言う事はブリューヌ王国に力を貸す者だろうと思うが、食事の時間なので俺ら以外の者らは呑気に食事をしている。ため息が出そうだが、呑気に食事してる暇があったら少しは敵の奇襲に気付きやがれと言いたい。すると数人の若者がこちらにやってきた。

「お前は誰だ?ブリューヌ軍の中でも見た事がないな」

顔を上げるとムカついた顔をしていたバカと腰巾着の若者で、名前は確かザイアン=テナルディエだった気がする。テナルディエ家公爵は古くからの名門と聞いているし、親族に有力な貴族を数多く抱えていて、所有領土は俺らの神国より大きいと聞く。

プトレマイオスに野心は無いけど、総動員出来る兵数は最大一万と聞いていて今回四千を率いて来たそうだ。ザイアンはテナルディエ家の長男で次期当主とされているからか、俺が誰なのかは知らないようだけど当たり前だ。俺の顔を知っているブリューヌ人はほんの十数人、あとの者は余所者と言われている。

「おい!ザイアン様が聞いているのに無視するのか、余所者めが!」

「余所者?おいおい、テナルディエ家の者が俺を余所者扱いとはな。一応自己紹介しとくが、俺の名はティグルヴルムド=ヴォルン。プトレマイオス神国の者で大公をしている」

「プトレマイオス神国!貴様のような者が、大公な訳ないだろう。第一戦前に鎧も着ていないが、どう戦うんだ?鎧や剣や槍も持っていないとみる」

腰巾着が大声で言った所為か、俺らの周辺にいた他のブリューヌの者達が俺らを軽蔑するかのような目線で見てきた。なので護衛者達よって殺傷能力はないが、魂のみ持って行くデスサイズで刈り取られたブリューヌ軍の兵達。

『我らの者に対してそれは失礼なのでは?軽蔑していると今度は貴様の魂を刈り取ろうか?』

そう言った夜叉達の言葉で、俺らのとこから離れて行った兵達とザイアン&腰巾着。刈り取られた兵士は消滅の力により、骨まで消滅させてから魂を黄泉路へと送ったのだった。そうして護衛者は、俺らの傍に離れないようにしてた所でようやくマスハスが口を開いた。

「申し訳ないヴォルン大公『別に構わんさ、俺らはブリューヌの者ではないからな』私も止めようとした所ではあったが、もう軽蔑な視線を送る者など居りませんでしょう。実際刈り取られた者を見たのですから」

「夜叉にデスサイズを持たせているからな、俺をそういう眼で見ると夜叉達が刈り取る。それに神国の者達を見るのは信者達か数少ない友人がいるからだ」

俺らを避けて食事や武具の手入れをしていると、近くにいた塊に噂話が飛んできたのだった。ガヌロン公爵が今回の戦で臨時の税を徴収しているようだが、税を収められない家があれば若い娘を攫って自分の館に連れ去るか家を燃やすとの事だ。

全く野心漏れ漏れだな、今の話を聞けたから証拠となるんでデータとして保存。ガヌロンはテナルディエと並ぶブリューヌ王国の大貴族で、権力や権勢は国王としては無視出来ないがガヌロンは堂々と破っては税を徴収している。

「この国は駄目だな、臨時に税を徴収するとは」

「この世界は貴族社会ですので、しょうがないと思われますな。テナルディエ公は禁酒をさせているが、禁を破った者は若い娘を攫うまではガヌロン公爵と変わりません。見せしめに、父と子または夫妻に剣を持たせて殺し合いをしているそうですぞ」

「全く嫌な社会がある所に来てしまったが、過去を振り返ってもしょうがない。俺は俺でこの世界を変えて見せるか、ドウターも今回は出てこないそうだからな」

とまあ戦前での事だが、こうして起きるとここはプトレマイオス神国ではなくジスタート王国にいるのだと再確認した。室内を見渡すがトレミーにあるベッドではないし、小さな窓があり床は石が剥き出しとなって扉は自分で開けられそうだ。俺がここに来た時、他の兵士は俺を捕虜扱いな目で見ていたが俺がそうさせた。プトレマイオス神国の大公と知ると変な空気になる為だからな。

『おはよう相棒。相変わらず起きるのは早いんだな』

「まあな。いつもの朝鍛錬をしたいが、今の俺は捕虜扱いらしい。それに言われるまで外に出ると脱走の罪で死刑だそうだ」

『厄介な国だな。それにしても相棒が創造神だと知ったら、どのような顔をするんだろうな?』

「さあな?今の俺は人間で国の大公だ、もしブリューヌのバカ共達が俺らの国に攻め込もうとしたら俺は即この国から行くようにしてある『おはようございます、ティグル様』お、定時通信か。おはようさん」

『そっちは今どういう感じでしょうか?』

「今の所問題はないが今だけ捕虜扱いだ。客将扱いは実力を見せてからだそうだ」

『こちらは現在ディフェンスモードレベル3にしてあります』

「そうか、おっと人が来るんでまたな」

通信機をポケットに入れてから、量子変換機から戦闘服に着替えた俺。先程まで寝間着だったのでな、しばらく本を読んでいると人の気配がしたので本を閉じるとドアを開けて入ってきたのはリムと呼ばれた者だった。

「おはようございます、ヴォルン大公」

「おはよう、えーと何て呼べばいいのかな?」

「改めて紹介しますが、私はエレオノーラ様の筆頭家臣をしておりますリムアリーシャと言います。呼び辛ければリムで結構です、それとここでは大公と呼ばせて頂きますが外に出ると伯爵と呼ぶので」

「それは理解しているつもりだ、それで?俺に用かな」

「エレオノーラ様がヴォルン大公を呼んでおります。私について来て下さい、ヴォルン伯爵」

リムと名乗る者の服装は、スカートと一体になっている服装で赤い半袖で肘まである長手袋に膝上まである長靴という格好。腰に剣の鞘があるが、俺よりも年下の女の子に見えた。年下とは思えない程の美貌を持っているようだが、ここの主である戦姫も似たような美貌を持っていたな。

リムは美人で間違いなさそうだが、感情が乏しいようにも見えるが実際はどうなんだ?と思いながらこの子について行く。俺が大公だと言うのは隠してもらった。知っているのはエレオノーラとリムしか知らんと思うし、近くにいた兵士達は記憶消去したから問題ない。

「・・・・ここです」

連れて来られた場所は、城壁の傍にある屋外の鍛錬所と言うより訓練場の方が近いかな?この建物は結構な作りとなっているが、俺らの所の方が一番いいと言われている。俺が住んでいる屋敷が一番大きいと言われている所で、その屋敷には神々が住んでいると信者や国々の使者達がそう噂をしている。

話を戻すが、三~四十人の武装した兵士に混じってエレオノーラが立っている。青を基調とした服装だが、俺の服質も違うし現にホルスターには銃があるし擬態の聖剣によりアクセサリーにしてある。

「おお、来たか」

俺らを見ると、上機嫌な様子でこちらに来る。

「ご苦労だったが、思ったよりも早かったな」

「ヴォルン伯爵が既に起きていたので、起こす手間が省けました」

「そうか。早速だが・・・・ティグルヴルムド=ヴォルンだったか。名前が長いのは何か由来でもあるのか?それと聞いた事が無い名前のようだな」

ここでブリューヌ人と言うと目の色が変わる兵だったのか、わざと言わなかったようで。

「由来、ねえ。特にないが、長いからティグルでいい。それに俺の名は今まで秘匿してきたからな」

ホントはブリューヌ人のはずだけど、今回は名しか設定がないので俺はそう応えた。最も俺の名は今まで秘匿しといた名であり、プトレマイオス神国から来た者だと気付かれると色々と面倒だ。初代王は戦姫より上位者を、ジスタート王とプトレマイオス神国の者と言わせた。発言力は戦姫より強いので、例え王が協力してくれた戦姫がいても俺が居る事により文句一言言えない。

「それなら私の名もエレンでいいぞ。私もこの方が慣れている」

「その方が助かるような気がする、まあお互い長い名を持つ者だ。俺もエレンと呼ばせてもらおうか」

「エレオノーラ様、本日分のお仕事は残っているのですから早めに済ませる事かと」

で、周辺一帯に居る兵らに捕虜扱いから客将扱いとなった事をここで発表したのか空気が変わった。多分聞かされて無かったと思うし、俺がブリューヌ王国の者かと思えば傭兵軍団の長として招いたとね。

身代金はブリューヌだが、ここでの俺としては契約金と言う感じでしばらく客将としてしばらく暮らす事になる。条約に従い、正式にエレンのモノとなるとどの兵士からも聞かされていたようであると風の精霊からな。

「それで?俺をここに呼んで何の用だ、それを話す為にここへ呼んだのではないだろう?」

俺の態度とセリフで、エレンは感心したような感じだ。紅の双眸から楽しそうな感じに輝いていた。

「無論これだけではないぞ。お前に是非ともやってほしい事がある」

エレンが指差した場所は弓の訓練所だ。

「ここから矢を射て、あの的に命中させてくれ」

「それだけか?生憎弓は得意ではないのだが」

用件が俺の腕を見せる為だったらしく、ここから的に当てればいいのだが生憎と弓は得意ではない。逆にハンドガンやライフルを得意とするけど、この世界に銃と言う技術が無い=知らないようだ。風の噂によると俺が1kあった距離から狙撃した事に関してらしいし、俺の腕を知る為に弓を射れとの事だ。何か企みを持つ兵がいたけど、気にしないで弓と矢四本を持ってきた兵の心の声では恥を知れとな。

「何だこの弓は・・・・これじゃ飛ばねえし、あの兵士が一番弓が得意と聞いたな」

『恐らく相棒を試しているんじゃないのか?銃の腕前は相棒と部下達だが、弓の技量はそこそこ上手だからな』

弓を見た瞬間に分かったが、弓の素材に握りの具合が最悪。弦の張りも良くない物だとハッキリと理解したが、これを渡したのがアイツなので戦姫エレンではなさそうだ。横目で見るとまるで子供のような期待に満ちた目をしているけど、エレンの仕業ではないとすればこの国の標準なのだろうか。

「どうしましたか?」

「確認だが、四本全てを的に射てばいいのか?それとも一本だけか?」

「私らの馬を500アルシン以上の距離から一矢で絶命させたのに、随分と弱気な発言をするのですね」

「この弓は俺が使うモノではないし、実際アレは弓ではない。信じられないと思うが、今回は一本だけにさせてくれとエレンに言ってくれるかな?」

リムは頷いて一度エレンに言ったら頷いたのを確認すると、了承を得て戻ってきたので始める事とした。1本目を放つが失速し地面に落ちる。兵士達の間からは嘲り笑いだが、2本目は失速しなかったけど的よりも上。やはり弓より銃の方が、正確に狙えるんだけどなーと思ったらリムからの一言。

「真面目にやっているのですか?」

「正直弓よりアレの方が得意だがな」

アレと言っても分からんから弓で腕前を見せろと言うくらいだが、正直これだと腕前は見せられない。兵達は口元を手で覆っているし、まだ続けるのかと言いながら恥を晒すのかとか言ってきた。

「俺が代わってやりたいな。流石に的には届きはせんが、アイツよりは矢を飛ばす事が出来るぞ。真っ直ぐにな」

「戦姫様も何だってこんな奴を客将にしたんだ?昨日までは捕虜と聞いていたのに」

兵士達が聞こえるように陰口を叩いていたが、俺の正体を知る前に刈り取っている。この弓に関しては何とかなりそうだなと思うと、周辺を見て回る怪しい奴を発見した。目を凝らして見るとあれはボウガンか?エレンを標的にしていたので、俺はボウガンが放たれる瞬間にドライグを召喚しボウガンの矢をドライグの火炎弾で燃やした。

「あの賊を捕えよ!」

エレンも気付いていたらしいが、俺以外の者は一瞬にしてドラゴンを召喚したのに対し驚いていたが今は目の前の賊を捕まえる為に動いた。ドライグは俺の頭上に停まってから賊を見ると逃げられそうだなと思った。

リムが叫んだと同時に弓兵は矢を放つが、ここからだと城壁にすら届かない。剣や槍を持つ者達は急いで賊を捕えようと城壁に駆けて行き、城壁を警備していた者達も今気付いたかのように走り出した。

「・・・・アイツは生かして捕えた方がいいのか?」

俺は弓を地面に置きながらそう言ったら、リムは悔しそうに言う。

「そんな贅沢が言える状況ですか・・・・!」

そう言いながら城壁上の影を睨みつける。ここからだと弓よりも銃だからここで見せるか、と思いホルスターから銃を抜いた。弓兵やリムは何だと思いながら俺は静かに言う。

「だったら今回は足の関節にでもしとくか」

何でもないような事を言ってから弾を貫通弾にし、二発引き金を引いたので爆音と共に賊の影は倒れていた。銃口から煙が出ていたが、それを口で吹くとリムの目はまさか?と言う疑惑と驚愕に変わった。薬莢は自然消滅したが、俺が持つ銃の方向に賊は倒れていた。

「何・・・・だと?」

城壁を見上げて走っていた兵の一人が、俺を振り返り愕然とした面持ちで呟いた。それ以外の言葉が出てこないのが本音だろう、他の兵達も皆俺を見るが俺より銃と頭上にいるドライグの方だ。

「龍使いと言うのでも度胆を抜かれたが、こんな馬鹿な事が起こったとでも言うのか!」

「あの位置から城壁まで300アルシン以上はあるぞ!塔の高さを考えればそれ所の問題ではない。あり得ん!」

「それにあの場所から、正確に足の関節部分を貫通させている!あの飛び道具は何だ!弓矢以上の道具で弩以上だ!」

口々に言葉を発するが共通しているのは目と声・驚愕と衝撃に、言葉もなくその場に立ち尽くす者もいれば額に手をやって空を仰ぐ者。神々の名を唱える者もいるが、俺も神の一員何だけど、これは最後の隠し球でもあるからな。

「で、出鱈目だ・・・・あんな見た事がない武器で撃ち抜くとは・・・・」

俺に弓矢を渡した兵達も恐怖に顔を青ざめていたので、俺は改めて的に向かい銃を連射した。爆音で今度は何事だ!という顔をしていた兵士達は的を見ると、的には真ん中に穴が当たっており地面に落ちる弾があった。4発全てを見た事のない武器で、的に当てた事と恐怖を覚えた兵士達とリム。目の前で引き金を引いたので相当うるさいはずが、耳に手を抑えずに銃を見ていたけどな。

「おやおや、これを見た事がないのように見るな。ま、当然か」

俺は銃をホルスターに入れたけど、エレンに向かっていくが誰も止めようとしなかった。頭上にいるドライグを元に戻して、今度は剣術を兵達の目の前でやってみせろと言うので俺は何もない空間から剣を取り出す。

相手はリムだったがすぐに勝負は決した。俺の動きが速すぎてどこにいるか分からないようだったので、リムの背に手刀の構えと共に頸に当てていた。どうやら俺の姿は周りの兵達も捉えきれずにいたらしい。

「銃の腕前と剣術を見せたが、これでいいのか?」

「もう充分だ、あとは嫌味にしか聞こえない。それとまた後でゆっくりと銃?だったか、それを見させてほしい。よくやったぞ、先程の龍はどこに行ったのだ?」

こうして俺の腕前を見せたが、ドライグを出さなくともエレンが持つアリファールが守ってくれるだろうと思っていたが余計なのを見せてしまったな。赤い龍ドライグや神滅具赤龍帝の籠手に、聖剣エクスカリバーについてはまだ言わない方が良さそうだ。 
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