オズのムシノスケ
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第四幕その一
第四幕 大学の中を
一行は教授の学長室にも入りました、そのうえでこの立派なお部屋も隅から隅まで探しました。ですが。
ここに彼はいませんでした、手掛かりもありません、それでカルロスが自分達と一緒に探している教授にこう言いました。
「とりあえずお部屋の中にはですね」
「うん、いないね」
教授もこカルロスにこう答えます。
「どうやら」
「そうみたいですね」
「それではね」
教授は天井を見上げて言いました。
「今から」
「天井裏に入って」
「そこを探そう」
「天井裏ですから」
カルロスは天井裏ということから考えられることを言いました。
「やっぱり」
「埃だらけで汚れているというのだね」
「それに鼠やゴキブリがいて」
「いやいや、天井裏は綺麗だよ」
そのカルロスにです、教授は答えました。
「大学の他の場所と一緒でね」
「お掃除してるんですか」
「そうだよ、天井裏もね」
「そうなんですか」
「月に一度程度だけれどね」
他の場所よりも掃除をする頻度は少ないけれど、というのです。
「ちゃんと掃除してるからね」
「綺麗なんですね」
「つい三日前にもお掃除したばかりだよ」
「じゃあ大丈夫ですね」
「うん、だからね」
それでだというのです。
「中に入っても汚くはないよ」
「わかりました、それじゃあ」
カルロスは教授の言葉に頷いてでした、そうして。
お部屋の中を見回してです、こうしたことを言いました。
「じゃあ今から脚立を出して」
「その脚立を使ってだね」
「はい、天井の隅を開けて」
そうして、というのです。
「中に入ります」
「そうするといいよ、ではね」
「はい、それじゃあ」
こうお話してでした、そのうえで。
カルロスは脚立を探しました、するとドロシーがすぐにその脚立を持って来ました。結構高くしっかりとした造りの青い脚立です。
その脚立を持って来て、です。ドロシーはカルロスに言いました。
「お部屋の隅にあったわよ」
「有り難うございます、じゃあこれを使って」
「ええ、天井の隅を開けてね」
「今から天井裏に入ります」
「貴方だけで行くのかしら」
ここで、です。ドロシーはカルロスにこのことを尋ねました。
「そうするのかしら」
「あっ、それは」
そう尋ねられるとです、カルロスはそこまで考えてはいませんでした。それでドロシーにどう答えようか困っていますと。
教授がです、こう言いました。
「ここは皆で行こう」
「皆で、ですか」
「実は天井裏は広いんだ」
その天井を今も見上げて言う教授でした。
「だから一人か二人で探してもですね」
「彼は見つけにくいですか」
「そう、それに私達は友達で今回の搜索のパーティーだから」
パーティー故にとも言うのです。
「あまり別れたらよくないよ」
「パーティーは別れたら駄目なんですね」
「必要に応じて別行動を取ることはあってもね」
基本は、というのです。
「そうあるべきだからね」
「だからですね」
「ここもね」
天井裏を探すこともだというのです。
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