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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第八話 お団子頭の女の子その十二

「実は八条荘は男の方もです」
「入居出来るんですね」
「はい、そうです」
「そうだったんですか」
「ですが入居者の方々がです」
 皆そうだったというのだ。
「希望されてきた方が」
「どの人もですか」
「はい、女の人でして」
「それでなんですか」
「今の様になっています」
「ううん、そうだったんですね」
 僕は畑中さんのお話してくれた理由を聞いて言葉で頷いた。
「偶然なんですか」
「いえ、偶然ではありません」
 畑中さんはそれは否定した、偶然ということは。
「実は近くに。八条学園の男子生徒の方の為にです」
「いいアパートがあるんですね」
「そうです、それでなのです」
「男の人は皆そっちにいったんですね」
「そちらも八条グループが経営しています」
 そこもだというのだ。
「学生用のです」
「そうしたアパートなんですね」
「そこに男の人は皆行かれて」
 それで、というのだ。
「こちらにはです」
「女の子だけが来たんですか」
「紳士用トイレも用意しているのですが」
 けれどそれもというのだ。
「残念なことに」
「使われないんですね」
「今のところは」
「使うのは僕達だけですね」
「そうです、そうなっています」
 そうだというのだ。
「私は入居者の方々は性別もです」
「差別されていなかったんですね」
「そうでした、ですが男性の方はそちらに持って行かれました」
「何でそうなったんですか?」
 どうして男の人はそちらに行ったのか、僕は畑中さんにその訳も尋ねた。
「またどうして」
「はい、そこの管理人の方のお写真をアパートのホームページに掲載したのですが」
「その人がですか」
「はい、こうした方です」
 写真の人はいうと。
 物凄い美人だった、奥二重の切れ長のやや垂れ目で左目の付け根に泣きボクロがある。黒髪は長くて波を描いている。
 唇は小さめで紅色だ、頬は白く細面だ。髪と髪の間から出ている耳までがあだっぽい。
 そして上半身だけ映っているけれど胸がやけに目立っていてウエストも引き締まっている、エプロン姿が余計にだった。  
 その人を観てだ、僕は畑中さんに言った。
「凄い綺麗な人ですね」
「はい、お歳は二十八歳です」
「二十八ですか」
「ご主人に不幸にして先立たれ」
「未亡人なんですね」
「そうなります」
 この綺麗さで若さでしかもそうくるとはとだ、僕は心の中で唸った。
「調理師免許も持っておられます」
「そこまで揃いますと」
「おわかりですね」
「男の人なら」 
 まさにだった。
「こちらに行きますね」
「それでこちらはです」
「僕が管理人ですね」
「義和様のお写真は掲載していませんでしたが」
 八条荘のホームページにというのだ。 
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