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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第八話 お団子頭の女の子その十一

「卵を入れてね」
「葱を忘れるなよ」
「御飯のおかずにするのよ」
「いやいや、鍋の締めだろ」
「お野菜たっぷり入れてね」
「チャーシューは忘れたら駄目だろ」
 皆僕の席の周りでインスタントラーメン談義をはじめた。
「胡椒はたっぷり」
「いや、少しでいいだろ」
「一振りじゃないのか?」
「二振りだろ」
 こう皆それぞれ話す、けれど。 
その話が一段落したところでだ、皆は僕に言って来た。
「それでいいか?」
「八条荘のことだけれど」
「何か女の子ばかり入ってるよな」
「それも可愛い娘か綺麗な娘ばかり」
「あれどういうことだよ」
「あんたが選んでるの?」
「いや、僕は選んでないから」
 入居者の人はとだ、僕は皆に素直に答えた。
「別にね」
「そういうことしてないのかよ」
「別に」
「うん、そういうことはしていないから」
 このことを保障した、神様に誓ってもよかった。
「本当にね」
「けれど何でなんだよ」
「可愛い女の子ばかりなんだよ」
「それはどうしてなのよ」
「不自然でしょ」
「そう言われればそうだけれど」
 それでもと言う僕だった。
「その辺りはね」
「御前は知らないのかよ」
「そうなのね」
「うん、入居者を決めているのは僕じゃないから」
 違う人だと答えた。
「だからね」
「それでかよ」
「選ぶ人はあんたじゃないから」
「だからその辺りは知らないのか」
「女の子ばかりになってる理由は」
「けれど。考えてみれば妙だね」
 僕は腕を組んで皆に言った。
「その辺りは」
「羨ましいけれどどうしてなんだよ」
「何で女の子ばかり来るのよ」
「その辺りかなりな」
「気になるけれど」
 しかも可愛い娘、美人さんばかりだ。タイプはそれぞれ違うけれど。
「ちょっとそのことな」
「執事さんよね、実際に仕切ってるの」
 ここで畑中さんの顔を思い出した僕だった。
「その人に聞いたら?」
「そうしたら?」
「そうだね」
 僕も皆のその言葉に頷いた、そしてだった。
 そのうえでだ、学校の後でだった。僕は畑中さんに実際に尋ねた。
「あの、うちのアパートのことですけれど」
「何でしょうか」
 今回は庭を歩きながらだ、お庭も綺麗に手入れされていてしかも色とりどりの花達が見事に咲き誇っている。
 そのイギリスのお庭そのままのお庭を二人で歩きながらだ、僕は畑中さんに尋ねた。夜に入ろうとしているお庭は赤さの中に紫を増してきている。
「はい、女の子ばかりですよね」
「入居者の方がですね」
「しかも可愛い娘ばかりで」
 本当にだ、外国から来ている人達も。
「それはどうしてなんですか?」
「はい、そのことですが」
 畑中さんは僕にすぐに答えてくれた、池のほとりに咲いている白百合を観ながら。白百合も夕闇の中に消えようとしている。 
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