八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第八話 お団子頭の女の子その十
「野球をする人も増えているあるよ」
「ああ、それはいいことだね」
「スポーツで汗を流すこともいいことあるが」
それと共にというのだ。
「スポーツを観ることもいいことある」
「それはその通りだね」
「日本でいい球団はないあるか?」
「そうだね、それだったらね」
そう聞かれてだ、僕が勧めるチームは一つしかなかった。
「阪神タイガースかな」
「そのチームがいいあるか」
「その辺りは感性とかだけれどね」
あと地元だ、地元のチームだから応援することも自然にある。
「あのチームは観ていて華があるよ」
「華のあるチームあるか」
「勝っても負けてもね」
「そうあるか、それならある」
是非にと言う水蓮さんだった。
「そのチーム観させてもらうある」
「そうするんだぜ」
「私面白いチームを応援するあるよ」
「じゃあ今度の日曜野球観に行こうね」
ここで僕は水蓮さんを誘った。
「甲子園に」
「その阪神あるな」
「うん、阪神タイガースの試合観ようね」
「わかったある」
水蓮さんは僕ににこりと笑って答えてくれた、そしてだった。
僕は水蓮さんとの話の後でクラスに戻った、すると自分の席に着いた瞬間にクラスメイト十人位に囲まれて口々に言われた。
「おい、八条荘また可愛い娘入ったらしいな」
「今度は中国からって?」
「国際色も豊かになってきて」
「美人ばかりで」
「どんどん羨ましくなってくるな」
「大家君ちょっと恵まれ過ぎでしょ」
「いや、恵まれてるとかはね」
それはとだ、僕はクラスメイト達に返した。
「そこは主観じゃないから」
「それぞれっていうのね」
「主観か」
「じゃあ御前は幸せじゃないのか?」
「不幸だっていうの?まさか」
「いや、幸せだと思うよ」
僕は皆にこう返した。
「別に食べるものがないとかお金がないとかじゃないから」
「まあそれってな」
「普通に不幸よね」
「漫画の主人公じゃよくあるけれど」
「赤貧なのは」
「確かに親父は最悪だけれど」
家族には恵まれてないと思う、どう考えても。
それでもだ、僕はこうも言ったのだった。
「家があって学校にも通えてお金もあって美味しいものも食べられる」
「それだけでもう幸せ」
「そう言うのね」
「充分だよ」
僕は皆に答えた。
「大好きな塩ラーメンを食べることにも困らないから」
「ああ、サッポロ一番の」
「あれね」
「あのインスタントラーメン確かに美味いよな」
「太めの麺がまたいいのよ」
皆で言うことだった。
「そうか、大家塩ラーメンが好きか」
「私はワンタンメン、エースコックの」
「俺は好きやねんかな」
「私は出前一丁よ」
何か皆が皆好きなインスタントラーメンのことを言い出した、どうも僕は皆の味の秘孔を突いてしまったらしい。
ページ上へ戻る