八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第八話 お団子頭の女の子その五
胸が結構目立つ、脚もすらりとしていてウエストも締まっている。黒の切れ長の長い睫毛の目に白がかった桃色の肌と紅の唇にだ。
琥珀の瞳に黒を頭の上の左右で団子にしている、その女の子がだった。
僕達を見てだ、まずは右手を振って笑顔で言って来た。
「今晩は」
「はい、今晩は」
「ええと、確か大家さんは」
僕達を一通り見回してからの言葉だった。
「私と同じ位の年齢と聞いたあるが」
「あるっていうと」
この言葉でだ、僕はすぐにわかった。
「ひょっとして」
「そう、私中国から来た留学生あるよ」
「そうだよね」
「そう、開封から来たあるよ」
そのものずばりだった。
「宜しくある」
「潘様ですね」
ここで畑中さんが女の子に問うた。
「ようこそ」
「貴方が執事さんあるな」
「はい、こちらにおられる八条義和様にお仕えしています」
僕を右手で礼儀正しく指し示してくれての言葉だった。
「畑中と申します」
「畑中さんあるな」
随分流暢な日本語だった、ジューンさんと同じく。
「宜しくある」
「はい、そして」
「こっちの人が大家さんで」
今度は僕を見て言って来た。
「八条義和さんあるか」
「左様です」
「私の住むアパートの大家さんだから大家さんあるな」
中国語で大家さんをどう呼ぶかはわからないけれどそれでもだった。僕をこう呼んでくれた。
「そう呼んでいいあるか」
「うん、それでお願いするよ」
「わかったある、それであるが」
中国からの女の子は僕にさらに言って来た。
「私まだ名乗っていなかったあるな」
「潘っていうのは苗字だネ」
ジューンさんが女の子に尋ねた。
「そうだネ」
「そうある、潘というのは私の苗字ある」
その通りだとだ、女の子も答えた。
「潘水蓮ある」
「潘水蓮さんだネ」
「歳は十七歳ある」
僕達と同じ年齢だった。
「宜しくある」
「お部屋はもう決まっていますので」
それは既にとだ、畑中さんが潘さんに言った。
「今すぐにでも入れます」
「有り難うある」
ここでも謝々と言わない、日本語で通している。
「じゃあすぐに入らせてもらうあるよ」
「それでは」
「それと私の呼び方あるが」
何かジューンさんに似ていると思った、潘さんが自分のペースで話を進めてきているからだ。
「水蓮でお願いするある」
「水蓮さんで」
「それで宜しくある」
右目をウィンクさせて僕達に言って来た。
「これから、あと部活は決めているあるよ」
「部活は?」
「料理部とある」
それに、というのだ。
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