八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第八話 お団子頭の女の子その三
「そうしてきていますので」
「巨人がお嫌いなのですね」
「まさに怨敵です」
畑中さん、ひいてはホークスファンにとってというのだ。
「ですから巨人についてはお嫌いですね」
「はい、そうです」
「僕も巨人は嫌いですけれど」
「義和様は阪神ファンとしてお嫌いですね」
「そうです、阪神ファンイコールですから」
関西での黄金の定理である、それはまさに一+一は何になるかということと同じ位決まっている定理である。
「それで巨人が嫌いですけれど」
「それとはまた違いまして」
「畑中さんはですね」
「怨みがあります」
その嫌悪の中に、というのだ。
「球界再編の時は危うく合併させられそうになりましたし」
「でしたね、ホークスは」
「何が一リーグ制でしょうか」
巨人が頂点に立ちたいが為の一リーグ制だ、そんな制度あのチームのオーナーか会長か何か知らないけれど日本の金正日と言っていいあの老害とその太鼓持ち連中しか喜ばないだろう、僕もそう思っている。
「全く以てふざけた連中です」
「本当に巨人がお嫌いなんですね」
「鷹党として」
「成程、そうなんですね」
「ですが阪神については」
関西のこのチームにおいてはというと。
「特にです」
「お嫌いではないんですね」
「むしろ好きな方です」
阪神はそうだというのだ。
「あのチームには素晴らしいものがありますので」
「だから今や日本全国で愛されてるんですね」
「巨人にあるものはマスコミによるまやかしの魅力だけです」
僕jはこのことにも同意した、所詮マスコミの誇大広告そのものプロパガンダで強引にファンを獲得しているだけだ。
しかしだ、ネットが普及している今はというと。
「それは真の魅力の前には敗北します」
「だから巨人は人気が落ちているんですね」
「そうです、そして」
「そして?」
「巨人の人気が落ちると野球の人気が落ちるかといいますと」
「違いますよね」
「巨人イコールプロ野球ではありません」
このことも同意だった、僕は。
「他にもチームがありますし」
「巨人一辺倒でもですよね」
「何の進歩もありません、むしろ」
「巨人を常に粉砕しその無様な姿を晒すことがですよね」
「球界にとってもいいのです」
畑中さんは断言した、
「ひいては日本にとっても」
「巨人を嫌いな人は本当に多いですから」
「その嫌いな相手の無様な敗北を見ることは至上の喜びです」
本当にそう思う、巨人が負ける姿を見ているとそれだけで幸せに思える。親父は巨人が負けるとよくキャバレーに繰り出していた。
「そして誰もが奮起し」
「学業に仕事に打ち込みですね」
「日本はあらゆる分野で未曾有の繁栄を迎えるでしょう」
「そう思うと巨人は」
「負けるべきなのです」
勝つのではなく、というのだ。
「そうした意味で球界の、ひいては日本の中心となるべきです」
「巨人が負けると景気がよくなるってことですね」
「そうです、巨人が勝っても何にもなりません」
それでバーゲンになるのか、実際に巨人が日本一になっても景気がよくなったことはないと思う。阪神優勝の際の経済効果は聞いているが。
「ですが負けると」
「誰もが奮起して」
「いいことになります」
そうなるからだというのだ。
「ですから私はいつもです」
「巨人の敗北を願われているんですか」
「左様です」
今の発言にも強い意志があった。
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