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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第八話 お団子頭の女の子その二

「それは」
「あっ、そうですか」
「あそこはいい場所です」
「畑中さんも阪神ファンですか」
「いえ、好きではありますが」
 それでもというのだった。
「私は野球は阪神ではありません」
「ではどのチームですか?」
「八条リーグの大阪バファローズです」
 このチームを応援しているというのだ。
「私は」
「あっ、八条リーグ派なんですか」
「プロ野球でしたらホークスです」
 あのチームだというのだ。
「昔、南海時代から」
「南海ホークスですか」
「あの頃からいいチームでした」
 正直僕の生まれる前だ、その頃のホークスのことは知らない。
「それで応援しています」
「鷹党だったんですね、畑中さんは」
「尚巨人は大嫌いです」
 この人もだった、このことは。
「昔から」
「ああ、やっぱり」
「やはりですか」
「そうじゃないかと思っていました」
 こう畑中さんに答えた、そして僕はそれはどうしてかも畑中さんご自身に対してお話した。
「畑中さん大阪生まれですから」
「大阪人は巨人が嫌いというのですね」
「少なくとも人気は少ないですよね」
「関西は元々アンチ巨人の地域ですが」
 おそらく広島や名古屋以上じゃないかとさえ思う、とにかく関西では巨人ファンは少ない。十人に一人位だろうか。
 そしてだ、その中でも大阪はというと。
「人口の九割五分が阪神ファンです」
「そしてその残り五分でもですよね」
「広島や中日の方はおられますが」
「巨人いないですよね」
 何でも大阪のある予備校で何処のファンか聞いたところ本当に九割五分が阪神ファンだったらしい、そしてその残り五分にすら巨人ファンはいなかったという。
「それこそ」
「はい、巨人はです」
「超不人気ですよね」
「憎まれてさえいます」
「ですから」
「私がアンチ巨人と思われたのですね」
「それでその通りでしたね」
 僕は自分から言った。
「畑中さんもですか」
「南海を応援していましたが」
 話はその南海ホークスの話になった、僕の記憶ではソフトバンクしかない。福岡に行ってからかなり経ってからだ。
「別所投手の件がありまして」
「確か巨人にですよね」
「はい、強奪されました」
 このことは僕も聞いたことがある、球史に名高い別所強奪事件だ。当時巨人の監督だった三原脩さんが巨人に引き抜いた話だ。
「詳細は色々ありますが」
「何かあの話ややこしいんですよね」
「しかし結果として」
 結果が全て、この論理で言うと。
「別所投手は巨人に強奪されました」
「それでその別所投手が巨人で大活躍したんですよね」
「忌々しいことに」
 何と三百勝まで達成した、文句なしの大投手だ。
「そうなりましたので」
「そのこともあってですか」
「巨人はこの世で最も嫌いです」
 関西の人がよく言う言葉だ。
「九州に移ってからも」
「日本一になる度に主力選手強奪されてますからね」
「あの手この手で」
 冗談抜きで巨人のやり口はあまりにも汚いと思う、阪神相手にしたならば間違いなくファンが暴動を起こすレベルだ。 
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