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オズのムシノスケ

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第二幕その五

 グラウンドの中をとても楽しく駆け回るのでした、ドロシーはそのトトを優しい目で見送りながら
五人に言いました。
「じゃあ私達はね」
「はい、今からですね」
「教授のところに」
「ええと、棒高跳びの場所は」
 そこを探すのでした。
「何処かしら」
「あそこですね」
 カルロスがグラウンドの右のところを指差しました、とても広い競技場の中を。
「あそこで皆」
「あら、そういえば」
「はい、あそこにですね」
 ムシノスケ教授がいました、緑のジャージを着てそうして棒を使って跳んでいます。その教授を見てでした。
 一行はその棒高跳びのところに行きました、するとです。
 教授がです、棒を右手に一行に左手で挨拶をしてきました。
「やあ、暫く」
「ええ、こんにちは」
 ドロシーが一行を代表して挨拶を返します、五人も頭を下げます。
「お邪魔しに来たわ」
「何用で」
 少し勿体ぶったみたいな感じで尋ねてきた教授でした。
「この度は」
「ええ、実はね」
「実は?」
「ベンキョー錠のことで聞きたいことがあって」
「そうなんです」
 カルロスも教授に言うのでした。
「あれは僕達が飲んでもいいかなって」
「飲んで君達の世界の勉強にだね」
「効果があるのかなって思いまして」
「ふむ、確か日本語に」
 教授は右手を顎に当てて言うのでした。
「算数、理科に社会だね」
「あと図工とかも」
「そうしたものだね」
「はい、どうでしょうか」
「そうした錠剤もあるよ」
 教授のカルロスへの返事はこうでした。
「そして飲めばね」
「覚えられるんですね」
「そうだよ。ただ」
「ただ?」
「私の見たところ君達には必要ないね」
 五人を見ての言葉でした。
「飲む必要はね」
「ないんですか」
「もう覚えているものは覚えているんじゃないかい?」
 こう五人に言うのでした。
「困る位悪い成績とは見えないよ」
「どうしてそのことがわかるんですか?」
 カルロスは目を瞬かせて教授に問い返しました。
「僕達の学校の成績が」
「いや、私と話していて学校の勉強の話が出るよね」
「はい」
「その受け答えを聞いていたらね」
 そこからだというのです。
「悪くない、むしろかなりいいから」
「だからですか」
「そう、君達はね」
 五人の子供達はというのです。
「そうした心配はいらないね」
「ベンキョー錠を飲むことも」
「実はなんです」
 ここで恵梨香が教授にお話しました。
「私以外の子は留学生で」
「日本以外の国から来ている子達だね」
「はい、他の国で勉強についてこれるだけの」
「学力があるんだね」
「だから留学出来ています」
「それで皆だね」
「少なくとも四人共」
 カルロス達四人は、というのです。 
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